今から30年以上前に、毎月発行し全国の薬局の一部に配布される健康系冊子に「おまけの駄文」のようなエッセイとして連載を持ったことがある。
冊子内のほとんどの文や情報は真面目な内容なので、「ここだけちょっとふざけてもいいよ」と知人経由で声をかけていただき、それほど評判が悪くなかったのか5~6年ほど続いたと記憶している。(ネット検索したところ、現在その冊子はないようだ)
年末の慌ただしい中だというのに、ふと当時どんなことを書いていたのだろう?と思い浮かんでしまい、データが入っているであろう過去データが保存された外付けハードディスクを探してみると存在していた。
まさにどうでもいいことを言葉をいじって書いたような「若気の至り」の文の数々で恥ずかしくなったが、一部20代の茶目っ気があって面白い箇所もあった。
その中に記憶にはまったくなかったが、まさに本日である「クリスマス」について書いた文があったので、あえて恥を忍んで公開したい。
「去年結婚した」と書いているので29年近く前に書いたことになる。現在の感覚で読むとかなり思想を誤解される表現があり(当時はそのまま掲載されたのだが)、さすがにそこは削除修正するが、可能な限りそのままにした。
1990年代、超ひねくれた青年だった私のしょーもない一人よがりの屁理屈文章(←かなり言い訳がましい)、ご興味あればご一読下さい。(※当時の若者の一般的な感覚ではまったくないです)
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この文章が掲載される頃には時期がはずれるけれど、毎年12月の末、世間がなにやら浮かれた調子になってしまう「クリスマス」という行事に僕はまったく関心がない。
実はこの原稿を書き始めた本日はまさしくクリスマスなのだが、会社の年末の事務処理をやって9時30分に帰宅し、ストーブに火を点け、先週親戚から送ってもらった奄美大島の黒糖焼酎「昇龍」をチビチビ飲みながら一人ワープロに向かっているのである。
去年の春に結婚をしたが、妻とは職場が離れているので新婚早々別居している。当然ケーキやシャンパンなんぞ出てくるはずもなく黒糖焼酎をストレートで飲んでいるのである。
こういうクリスマスを過ごす人を世間は「寂しいねえ」と言うようだが、関心のない人間には特に普段と変わることもない。余計な心配をしないでね、としか言いようもない。
最近、「洗脳」という言葉がひんぱんに使われるようになったようである。
ある思想を持った教祖のような人が、それを取り巻く団体に同じ考え方を持たせてしまい、何らかの行動を始めた場合、世間は批判的な目で「洗脳されている」という言葉を使うようである。今では小規模でも、ある特殊な集団が妙なことを始めると「洗脳されている」と白い目で見られてしまうのだ。
僕はクリスマスで浮き立つの世の中の様子を見ていると、「洗脳」という言葉を思い出してしまう。
普段キリスト教となんの関係も信仰もない人々が、クリスマスという時期を迎えると突然ツリーを飾り始めたり、プレゼントを買い求めたり、恋人と泊まるホテルを予約したりする。
そもそもクリスマスとは何なのかこの方々は知っているのか知らないかは分からないが(ちなみに僕はキリストの誕生した日ということしか知らない)、特にそのことで日本国中大騒ぎするような根拠があるわけでもないというのに大騒ぎしているのである。クリスマスの数日前は天皇誕生日(※注…当時)なわけだけれど、我が国にとっての本家本元のほうは特に大きな動きはない。
これはどう考えてもこれは何者かによって「洗脳」されているとしか言いようがない、と思うのだ。 こういうことを妻に話すと「あなた心にはロマンチックな部分がない」とか言って怒るのだが、なぜクリスマスに張り切ることがロマンチックなのだか全く分からない。テレビでは「メリークリスマス!」なんて声ばかり言っているけれど、何がメリーなのかもさっぱり分からないのである(正月に「あけましておめでとう」は理解できるけれど…)。
サンタクロースさん、なんていうのは●●●●氏が白髪になったような顔しているけれど実在はしてないのですよ。それを世の親は、あたかも実在しているかのようにふるまって子供をだましてクリスマスという日を正当化している。これはまさしく「洗脳」ではなかろうか?とわたくしめは推測するのである。

「あんたは屁理屈ばっかりをこいている」と私の妻はいうけれど関心のない人が見るとこのように見えるということも分かっていただきたい。それは一般の人が「なぜ●●教はあんな奇妙な行動をしているのか全く理解出来ない」というのと同じことである。
関心がないから普段通り過ごしているのに、
「プレゼント買わないんですか?愛がないんじゃないですか」
と妙な事を言われたり、
「クリスマスに奥さんと過ごさないの?寂しいねえ」
と蔑(さげす)められたり、なんだか異常な人の扱いされるのも嫌な気持ちにさせられる。
こちらとすれば、逆の考え方であり、まったく失礼なことである。
やっぱり教祖サンタクロースにクリスマス教を洗脳されているのである。
もうすぐやってくる、バレンタインデーというのも同種の洗脳である。こちらはサンタ氏のような教祖すらいないが、1か月くらい前からチョコレートを販売する店はポスターやテレビでいろんな洗脳活動を始めるのである。そして見事洗脳されてしまった女性たちはチョコレートを買いあさって大勢の男に配るのである。
まことに不思議な行動である。
週刊誌やワイドショーなどで一度取り上げて徹底究明していただきたいと思う次第である。







