過日、県外で開催されたインフラメンテナンスの今後のあり方について検討する会議に参加した。
この数年関わっている、大学の先生、発注者、建設コンサルタント会社、そして私のような施工会社で構成された会議体で、私は自分の経験や立場でしっかり意見を言うように心掛けて参加しているつもりだ。
今回は時間が短く議論もほどほどになって次回に持ち越されたが、その後の懇親会でさらに深掘りしたディスカッションが続いた。
その中で私が言ったのは、こうして直接的な関係者で議論するのも大事だが、関係者以外の方をもっと混ぜて話す必要があるということ。
関係者はそれぞれの状況を分かってはいるが、客観的な考え方に気づかないことが往々にしてある。
関係者以外の方とはいえ住民の誰もがインフラの利用者なのだから決して部外者ではない。その方々の意見をもっと取り入れるべきと思うのだ。
8年前(早い!)に福島にて、やはりこの課題をテーマとしたシンポジウムを企画、運営した。
その際に私は知人でもある世界を舞台に活躍するアスリートを登壇させたのである。
当時、東京オリンピックを目指していたトライアスロン選手の菊池日出子さんは、世界各地のレースに出場しあらゆる道路を自転車で、足で走っている。
レースの前には必ず舗装の具合や段差の有無など、道路の状況を細かく調べているから、利用者側目線で世界の道路現状を熟知しているのだ。
そんな彼女の素直な発言は、内部での話には出てこないヒントが多数あった。
↓↓以下参照
「三方よしのインフラメンテナンス in 福島」開催 | 寿建設 社長ブログ
そんな話をすると「なるほど!」と強く共感いただいた方もいた。
有意義な懇親が終わってホテルに戻り、しばしなんとなくテレビを見た。
自宅にテレビを置いてないので、外泊する際にはついチャンネルを変えながらいろいろ見てしまう癖がある。
すると、まさに今後のインフラの課題について芸能人が議論する番組をやっていたので、興味深く鑑賞した。
それは初めて知った「カズレーザーと学ぶ。」という番組で、出演者が社会課題を解決するための新しい法律のアイデアを真面目に提言し議論するという特番だった。
その最後に「災害が起きた時に危ないので町から離れて暮らす孤立住宅をなくす法」というのが提案されたのである。
芸人さんが、茶化すことなくしっかり老朽化の問題を説明。



そして税金で引っ越し費用を負担して孤立住宅は都市部などに集めることで、災害リスクやインフラへの費用負担を減らすべき、という意見なのである。


番組ではこの提案に賛成か、反対か、という議論が始まるわけだ。

政治家や関係者がこのようなことを発言すると、「その地域は捨ててしまっていいのか?」というような強い意見が出てなかなか進展しないものだが、バラエティ番組なのでそのあたりは対立するのではなく、それぞれの立場でしっかり意見を言っているのがとても好ましく思えた。
某政党が掲げた「対決より解決」という言葉に私は共感しているが、この番組にもそういう雰囲気を感じた。
意見の対決をせず、いろんな考えを交換することでお互いの思考を深め、現実に何らかの方向性を決めて動かないと、いずれインフラの機能が維持できなくなるのはもう遠い未来のことではない。
最近、いろんなインフラの機能が停止して経済にもレジャーにも不具合をきたす事件が相次いでいるが、作った施設は日々朽ちていくのに対しメンテナンスに対応の人数は年々減っていくのだから、この流れは基本的に拡大してしまうはずのだ。
だからこそ、早く解決方法を決めて具体的に進めていかなければならないと強く思う。
そのため一つのヒントになる番組だったと私は思った。
以下で1週間程度は見れると思うので、関心のある方はご覧いただきたい。
新法律をガチ提案!…高齢者運転免許の取り消し法・早く結婚すれば減税法 | TVer