「身銭を切れ」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「身銭を切れ」(ナシーム・ニコラス・タレブ)

 

 

タレブ氏の「ブラック・スワン」を読んだ時、結構衝撃を受けた。“Black Swan”という言葉自体に、神秘性というか、引き込まれる不思議な響きがあり、その現象を鮮やかに解き明かす内容には、感動に近いものがあった。

 

「身銭を切れ」の原題は“Skin In The Game”。初めて聞いた言葉だったので調べてみると「成果を得るための投資、個人的な関与、企業などで高い地位にいる者が事業を成功させるために自費をつぎ込んだりすることを指す」とのこと。have skin in the game で「〔自費をつぎ込んで事業などに〕直接関与している、自らリスクを背負っている、一枚かんでいる」といった意味になるそうだ。※出所

 

 

口だけじゃなく、考えるだけじゃなく、行動すること、実践すること、冒険すること、の大切さを改めて強く感じた。それが、人間としての価値、人間の格を決める。口だけの人間にはなりたくない。

 

 

 

※参照

「まぐれ」

「ブラック・スワン

「強さと脆さ ブラック・スワンにどう備えるか」

 

 

 

以下、備忘

 

 

 

身銭を切る/身銭を切らない

 

行動/口からでまかせ
実践/理論
専門知識/ペテン
具体的/抽象的
中身/うわべ
商人/官僚
起業家/最高経営責任者
強さ/強がり
人間/経済学者
作家/編集者
品質/宣伝
集団/個人



◆アドバイスが間違っていた場合の罰則が存在しないかぎり、アドバイスを生業としている人間のアドバイスは真に受けるな。
※不確実性に関する物事には、ランダム性にだまされるバカ者と、ランダム性を逆手に取るペテン師が必ずいる



◆考えるだけでは行き先がわからなくても、実践すればわかる。
※人々が“考えて”いることはあまり重要じゃない。私たちが注目すべきは行動のほうだ



◆語る者は実践するべきであり、実践する者だけが語るべきである。



◆身銭を切らない連中の設計した物事は、どんどん複雑になる傾向がある(そして、最終的に崩壊する)。
※複雑な解決策を売り込む人々の干渉主義のせいで



◆身銭を切らない人々は、シンプル性そのものが理解できない。



◆自分の意見に従ってリスクを冒さない人間は、何の価値もない。
※リスク・テイクは人間と機械との違いを決める問題であり、人間としての格の問題でもある




◆モノを作る能力と売る能力は別物だ。



「知的バカ」
じっと講義を受けるよりも自ら身銭を切る(たとえば自転車に乗る)ほうがよっぽど世界の理解に役立つということがわからない人種。シンクタンク、メディア、大学(社会科学系の学部)、などに存在。



◆あなたが害をこうむっても何ひとつ影響を受けず、しかも本当は自分のためでもあるのに、“あなたのためですよ”などと言ってアドバイスしてくる人間には要注意。



リスク・テイカーは社会的に予測のつかない人間。自由は常にリスク・テイクと絡みあっている。リスクを冒すと、歴史を作っている気分になる。リスクを冒すのは、野生動物の本能。



人生とは犠牲とリスク・テイク。リスクを引き受けるという条件のもと、一定の犠牲を払わないかぎり、それを人生とは呼べない。取り返しが利くかどうかにかかわらず、実害をこうむるリスクを背負わない冒険は、冒険とは呼べない。



◆傷跡は身銭を切っていることを示す一種のシグナルである。
※成功した人間よりも、失敗した本物の人間のほうが優れている
(ex:ドナルド・トランプ)



◆同僚たちの意見と食い違う研究、研究者自身が名声への被害や何らかの代償をこうむるリスクのある研究こそ、より重要視するべきだ。

◆リスクを冒して、物議を醸すような意見を述べる著名人は、たわごとの押し売りである可能性が低い。



おばあちゃんや年配者のアドバイスは、9割方、正しいと考えていい。対して、心理学者や行動科学者が書いたものは、1割も正しくない。



洗練された見た目の医者(銀縁メガネ、すらっとした体格、上品な身振り)、肉屋のような見た目の医者(ぽっちゃりした体格、下品な話し方)、選ぶとしたら迷わず肉屋のほう。ある程度成功していると仮定した場合、イメージ面で大きなハンデを乗り越えてきたということだから。


実力が同じなら、いちばん学歴の見劣りする人間を雇うのがいい。その人は高学歴なライバルたちに混じって成功し、人よりずっと高いハードルを乗り越えてきたということだから。



ビジネス・プランは、カモを説得する物語に過ぎない。

近年成功した企業(マイクロソフト、アップル、グーグル、フェイスブック)は、身銭を切る(魂を捧げる)人々によって始められ、有機的に成長していった。資金調達は起業の最大の要因ではない。



「干渉屋」
“助けるため”だと言って他人の問題にちょっかいを出したがる連中
 

 

 

◆勇気は偽ることのできない唯一の善である。
※みんながやりたがらない行為
ex:常識から見て袋叩きに逢うような立場をとる
ex:人気のない真実を支持する



◆あるものをどれくらい本気で“信じて”いるかは、その人がその信念を貫くために冒すリスクを見ればわかる。