「何者」(朝井リョウ)
朝井リョウさんの小説を初めて読んだ。
読み始めから3分の2くらいまでは、なんて事のない、どちらかと言えば退屈な話だったが、残り3分の1くらいから、だんだんと登場人物たちの深層真理のようなものが見え隠れしてきて、ラストにかけて思いもよらない展開に。
読み終わった感想は、なるほど… これは面白い うん面白い、という感じ。(まさに、解説で三浦大輔さんが表現した感想と同じ感じ)。
デジタルネイティブだからこそ、SNS世代だからこそ書ける内容だったりするところも、古い小説ばかり読んでいる自分にとっては新鮮だった。
朝井さんの作品は、人間誰しも心に忍ばせている、矮小な自我を容赦なく暴き、「ほら、みんなもこいつらと一緒だろ」と、読者の襟首を掴むかのように突き付けてくる。
(解説・三浦大輔)
主人公の拓人のように、イマイチな自分から目をそらし、他人を観察し、冷めた分析をし、なんとなく折り合いをつけて、日々をやり過ごす。
わかる感じがする。
自分の生き方を再評価し、前向きにさせる、よい機会になった。
別の朝井リョウ作品も読んでみたい、と思っている。