「まぐれ」 | Jiro's memorandum

Jiro's memorandum

泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆


結構、目からうろこに近いものがあった。


偶然にだまされないように。異常値を排除しないように。また、過去積み上げてきた利益を一瞬で吹き飛ばしたり、企業を倒産させたり、してしまう稀な事象に十分気をつけよう。



備忘録


黒い白鳥

ノイズとシグナル

中央値は語らない

稀な事象

生存バイアス

ヒューリスティック(経験則)

経路依存症



お金持ちはみんな粘り強くてよく働く人だからといって、粘り強くてよく働く人がみんなお金持ちになるとはかぎらない。失敗した起業家はたくさんいるけれど、多くの場合彼らだって粘り強くてよく働く人たちだ。P.ⅸ
億万長者に共通する特徴を探し、彼らが皆、リスクをとることを厭わない人たちであることを発見した。(中略)調査したのが破産した人たちだったとしても、やっぱり元々リスクを厭わない人たちであるのを発見しただろう。P.ⅹ


リスクに気づいたりリスクを避けたりといった活動のほとんどをつかさどるのは、脳の「考える」部分ではなく「感じる」部分なのだ。P.58


(短期国債の)任意の1年間で儲かる確率は93%になる。でも、短い期間で見ると、任意の1秒間で儲かる確率は50.02%になってしまう。P.90
同じ考え方で、なぜニュース(短い期間)は雑音がいっぱいで、一方、歴史(長い期間)は雑音がほとんど取り除かれているのかが説明できる。P93


人間は刺激の大きさよりも刺激の有無に敏感な傾向がある P.143
※損失の額よりも損失の回数


生存バイアスは当初の母集団の大きさに左右される
※コイントスを5回勝ち続けるか10回勝ち続けるか。母集団が大きければ10回勝ち続ける人が多くなる


一番高い評価をした書評を一書評と混同してしまいがち(中略)出版社は一番褒めている書評しか表紙に載せない。P.200


(企業の増益が)3回にもなると買い推奨が出始める。P.204


ソロスのような本物の投機家とそうでない人たちを分けるのは、前者の行動には経路依存症が見られないことだ。彼らは過去の行動からまったく自由である。P.289


仕事や、偶然を相手にするための専門知識を手に入れるべく膨大な時間を費やしてきたのに、私は自分が知っている誰よりも偶然にだまされやすいと思う。でも、一つだけ例外がある。私は自分がそういう点でとても弱いことを知っている。P.266




■最近の身近な事例


7/28に決算を発表したDeNAについて


ニュースメディアはネガティブな見方が多かったようだが
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/29/news010.html


アナリストは総じて強気継続(大和のみ格下げ、ただしスタンスは強気)

・UBS 7/29付 Buy継続 目標株価788000円継続
・日興CG 7/29付 1S継続 目標株価95万円
・みずほ証券 7/29付 1継続 目標株価910000円継続
・三菱UFJ 7/29付 2継続
・モルガンスタンレー 7/29付 Overweight継続 目標株価960000円継続
・JPモルガン 7/29付 Overweight継続 目標株価90万円継続
・いちよし証券 7/29付 1-A-MR継続 妥当株価945000円

・野村證券 7/29付  1継続 妥当株価100万円
・大和証券 7/30付  1→2


さて、その後の株価は、7/28 689,000円 → 8/5 478,000円 ▲31%、6日続落
(同期間の日経平均は▲3%)


過去の評価を否定したくない、過去の株価に引きずられる、といった経路依存症やアンカリング効果によって、アナリストの判断が誤っているのか。


それとも現在のDeNAの株価は超割安圏に突入しているのか。




まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか/ナシーム・ニコラス・タレブ
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