「ブラック・スワン」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

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人間は理論化できない「異常なこと」や数値化できない「不確実性」を排除して、理論化できる範囲の「通常のこと」や数値化し測定可能な「リスク」のみを分析し、安心してしまっている(ベル型カーブとか、ポートフォリオ理論とか)。だから、異常なこと、ありえないこと、外れ値、には非常にもろい。

ブラック・スワンの特徴は、①予測できない異常なこと②それが起こると大きな衝撃があること③後から振り返ると説明がつけられること、の3つ。ヒトラーの登場、ソビエトの崩壊、インターネットの浸透、9.11テロ、サブプライム・ショック、などが当てはまる。

世界的に大きな衝撃を与えているといってもいいグーグルやフェイスブックやツイッターも事前には誰も予測できなかったと思う。でも、今やこれら企業の成功をさもわかっていたかのように語る人は大勢いる。

人間特有の知性(左脳による分析)は動物的な本能(右脳による感性とか直観)に比べると、影響力は本当に小さくて、場合によっては障害にさえなる。グーグルやフェイスブックやツイッターが成功した要因は、めちゃくちゃ市場分析をしたからではなくて感性とか運とかだと思う。

データの分析が全く無意味だとは思わないが、重要なことは「人間は予測できない」「わかっていることよりもわかっていないことがたくさんある」ということをわかった上で物事を分析しその結果をみていくことだと思う。



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◇参照「まぐれ」