人造砥石

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人工の砥石が届きました!

 

この砥石は、刀剣職人が日頃使っている天然砥石とは違って、人工的に作られた砥石なのです。何でも製造元は、昔は陶器を作る窯元であったとか。

天然の砥石があるのになぜ人造のものを使うの?という疑問がありますが、人が作った砥石は品質が均一です。天然砥は、石の中に固いところや柔らかいところがあるため、刀身に引掻き傷をつけてしまうことがあり、イシケが多いと前の砥石まで戻らなければなりません。人造砥は、時には粗い砥石目を消すために部分的に用いたり、砥石の面摺りに使ったりといろいろと用途があります。

 

今回入手した砥石は、天然砥石でいうところの備水と改正のちょうど中間あたりの番手で、1000番あたりの粗さです。あたり・・・というのは、製造元によって番手が同じでも研ぎ味が違うことがあるため、大体1000~2000番周辺の砥石は使ってみないとオリの感触がわかりません。

 

この砥石はとても素直で、力加減でサクサクと研ぐことが出来ます。現代刀などの硬い刀身と相性が良さそうです。金剛砥を使うまでもないが若干整形を施したい時などに使ってみようと思います。

 

さてさて、以前包丁研磨のプロと称する方から、砥石の使い方に関する質問を頂いたことがありますが、おそらく人工砥石と天然砥石を混同されているご様子でした。本来、プロと称する以上、そんなことも知らないのでは失格と思います。人造と天然とでは、刃物が研げる道理が違うのです。そのため、使用法にも若干の違いが生じます。人造砥は、上記の砥石の様に窯で焼いて作られます。当然、内部の研磨粒子は陶器の様にトゲトゲしています。そのため、水をかけ流しで刃物を研ぐこともできます。

ところが天然砥石は地球の大気が作り出した芸術品です。内部の研磨粒子は、長い時間を掛けて水の流れに乗ってコロコロと転がって堆積したものです。つまり、粒子の角が取れて丸くコロコロしています。このコロコロした粒子を刃物に作用?させるには砥汁といって、研磨時に発生する泥をうまく活用しなければなりません。

 

最近では、刀剣研磨用に天然粒子を焼き固めた人造砥石も発売されているそうですが、貧乏三流職人には手が出ません(笑)。