刀剣外装(刀装)の制作工程は、多岐に及びます。

中でも最も面白い工程は何か?と問われたならば、私は俄然「染色!」と答えます。

 

染色とは、伝統工芸に限らずものつくりの中で最も気軽に扱われている工作の一つで、最も科学的な解明が進んでいる分野でもあります。一言でいうと、水溶性の染料の分子と、繊維(ここでは柄糸)の分子との間で起こる電気的な綱引きに基づく親和性の化学反応なのです。

 

ここ数週間、超こだわりの外装制作のため、来る日も来る日も染色に明け暮れています。

一時も目を離せないので、寝不足気味です(笑)。

 

もう何度色を重ね続けているのでしょうか?段々とわからなくなってきましたが、毎日目指す色味に向けて調整を続けてきました。そして、今夜が最終工程です(その予定です)!

 

どんな色でもかけ合せていくと、最終的には黒になります。

ところが、黒っと言っても無限の種類があり、明るい黒や暗い黒、赤みを帯びた黒や青系の黒、染色を行う季節や天候、自分の体調などでも微妙に色が変わってきます。

 

柄巻の色としては黒い柄糸が多く用いられますが、規格品の柄糸を使っているだけでは刀装の表情を自在に操ることはできません。ご自分で染色をなさらない柄巻師さんもいることはいるのでしょうが、刀装工作の一番面白いところをなぜやらないのだろう?といつも疑問に思うほどです。

とはいえ、労力の割りに地味な仕事ではあります。

 

体力の限界が来ましたので、これにて休息をとりたいと思います。おやすみなさい!