LSDで走りこんでいた公園の芝生から
5年ほど前に追い出される形で練習地を土手に変えた。
芝生内でのランニングは禁止の看板が設置された。
俺の気のせいかも知れないが、俺が公園に到着すると
テーマソングをわざわざ流してくれるようになった。
テーマソングってのは
ネェーちゃんの声で録音された、芝生立ち入り禁止の紋々が繰り返し流される放送。
伏線は十数年も前からあった。
地元の中高陸上部が芝生内にコースを作り、同じところを踏むので土が露出して、かなり酷く荒れていた。
公園の造園管理者(植木屋)がトラロープを張り巡らしては立ち入り禁止を作っていたが、陸上部がコースを変え走り続けていたのでイタチごっこになっていた。
陸上部が駅伝熱から覚めて公園から撤退したのちの矛先は、たった独りで芝生をゆっくりと走っている俺になった。
看板、テーマソングを無視して市民のための公園の芝生を相変わらず走っていた。
顔なじみの植木屋のおっさんから呼び止められた。
俺が踏んで通っている脇の桜並木が近年はきれいに花を付けないというではないか。
芝生の下には土があり、その下に桜の根が張っている。
五十数キロ体重の俺が、どんだけ桜の開花に影響すんだって言ってやった。
一部露出している根を植木屋が仮払い機で散々痛めているほうが、よっぽど桜並木には酷だと思っていたが、何言っても伝わらないから言わなかった。
散歩している多数の人が毎日のように同じ通り道を踏んでるよなって言ってやったら認めたが、俺の罪状は取り下げられることはなかった。
スマホ片手に歩いている散歩人が何十人も通っても良くて
ランナーが数人走るだけなのは禁止ってのはね。
植木屋が企んだことなんだけど、公園管理は三セクの市役所天下りの
働かないオジサンだらけなんで、ズルイ奴らにまともな話は通じないと思い、俺が去ることにした。
広大で気持ちの良い公園なんだがね。
長年走っていたんで離れるのは辛かったけど
新たな出会いが生まれたんで
今は良しとしている。