流し読みできるほど語学力がないので自分が読むために翻訳します。

誤訳誤字脱字多々あると思いますがご容赦ください。

約40年前の小説で翻訳本がないのでやってるだけで

あくまで趣味なので著作権とかは勘弁してください。

 

映画(小説版)「オーメン3」「オーメン4」の続きです。

 

ちなみにオーメン4の翻訳「こまぶう的オーメン4」はこのブログでいちおう完結してます。

 

こまぶう的オーメンⅣはこちら

 

オーメンⅣ 18章つづきはこちら

 

オーメンⅣ 19章(最終章)はこちら

 

 

オーメンV 序章はこちら

 

 

オーメンⅤ 第一部 第1章はこちら

 

オーメンⅤ 第一部 第2章はこちら

 

オーメンⅤ 第一部 第3章はこちら

 

どうせこれ読む物好きな人じゃはほとんどいないと思うので

以下リンクはめんどくさいから略・・・テーマからさがしてちょ。

 

 

                 

こまぶう的オーメンV

                             

第二部  第4章

 

 

 リムジンの一団がカメラのフラッシュを浴びながらロッジの入り口を通ってゆっくり動き、レポーターがおのおの誰が後ろにいたかを見るために身をかがめ、質問の大合唱が未回答のままついに門が閉められた。

 それは6台のリムジンとロールスロイスのスポーツカーで、誰がスモークガラスの窓の後ろに座っていたかについて多くの推測があった。これ以上先に進むことはないが、記者たちはお互いにインタビューしあってナンバープレートをチェックしようとし、そしてついにソーンコーポレーションの理事会が開催中であるというコンセンサスを得た。

 

その推察はすばらしかった。最初に出てきたのは元国務省そして現在のソーン社の会長のウィリアム・ジェフェリーズだった。執事のジョージに迎えられロールスロイスからゆっくりと出てきた。他の者たちはアヒルの子のように重要性の順に一列に並んでいて、それぞれ同じように黒い服を着て各々が好奇の目のせいで消耗していた。

 年老いた執事はゼイゼイしながら男たちを巨大な応接室に連れていった。そこでは夏の間、昼夜薪の火が燃えマントルピースの上に吊るされた等身大のダミアン・ソーンの肖像画を照らしていた。

 ジェフリーズはその絵の下に立ち、自分が崇拝する男の厳しい顔をじっと見つめた。いつものようにひとつまみの嫉妬でスパイスをきかせたような畏怖を感じた。ソーンはハンサムな男だった。背が高く、古典的な暗さ、伝統的なかび臭さ、その一方ジェフリーズは痩せていて青白く、退色した目と乏しい灰色の髪だった。時折彼は才色兼備だったであろうダミアンを苦々しく思った。

 すぐそばの声が彼の思考を中断し、振り向くと年老いた執事が彼にシェリー酒を差しだして、2階に来て欲しいとささやいた。

 ジェフリーズは言い訳をしてコーヒーテーブルの周りでしっかりとグループ分けされた他の者たちをちらりと見て微笑みながら改めて彼らが会議室のテーブルをつくっていたことに気が付いた。

  ジョージが階段に彼を案内するのに2歩おきに立ち止まって長い時間かかり、ジェフェリーズは後ろで彼のぜいぜいいう声とガタガタいう音を聴きながら辛抱強く歩いた。その老人は壊れた芝刈り機のような音をたてていた。

 ジョージは階段の頂上で少し休憩し、西翼に向かう廊下を身振りで示した。

「あなた様にこれを見て欲しいとのことです。」

と彼は言った。

 それからその老人は傷ついた昆虫のように足を震わせながら進みだした。ジェフリーズは後を追い自分の中に緊張が高まるのを感じた。彼はまだダミアン・ソーンの息子を見たことがなかった。ブーハーだけが彼を見たことがあった。ブーハーは関係者なのに自分を裏切った、何のために?ジェフリーズはしばしば不思議に思った。裁判官でさえ動機と報酬があった。しかしブーハーにはなんの利益もなく貧困のうちに死んだのだった。

 廊下の角に近づくにつれて暗くなり、左に曲がるとジェフリーズはかつて自分が見たことがある獣の臭いを嗅いだ。その黄色い目を見る前に喉の奥深くの唸り声が聞こえた。彼はいつも犬を恐れていた。特にロットワイヤーのような巨大な生き物を。ダミアンはいつもそいつらを飼っていて、今もその息子がその伝統を続けていた。ジェフリーズは自分の恐れが不合理であることを知っていた。なぜならそれは単なる番犬で自分の味方なのだから。しかし彼の論理的な脳の一部はその本能的な恐怖に合致しなかった。

 その犬は立ち上がってジョージの向こうの彼をじっと見つめた。悪意のある目、残忍な歯。ジェフリーズは読んだことがある何かを思いだした。もしその犬たちが飛びついたときは前足を掴んで外へ押し出せば心臓は破裂するだろうというものだった。しかしそれは簡単ではない。のどを引き裂かれることなしには無理だ。

 彼は自分自身の匂い、恐怖の匂いに気が付いた。犬が毛を逆立ててうなり声が低くなったが、老人がそれを制してその大きな頭を軽く叩くとすぐにおさまり、彼は振り向いて微笑んだ。

「私はこれの助産師でした。」と彼は言った。「多少なりとも」

 ジェフリーズが意味を理解することができる前にドアが押し開けられ彼は犬を通り過ぎて礼拝堂の中で立っていた。ブーハーがかつて彼に描写してくれた黒い円形の部屋で、6本の柱があり、真ん中に石の十字架があった。予想していなかったのはその臭いだ。子供の時シカゴで訪れたことのある食肉処理場に匹敵していた。目が暗さに慣れてくると、床が乾いた血のようなもので覆われていて壁にそれが飛び散っているのが見えた。

 「まだきれいにするつもりはない」と彼の左側で声がした。ジェフリーズは振り向いて自分を見つめる若者を見た。彼は黒いカソックを着ていて素足だった。ジェフリーズは頷いて挨拶をし、その目を見た。その目は暗く感情的であるが何か奇妙なものがあった。イタチとウサギ、マングースとコブラという古い決まり文句をジェフリーズは思った。

あの夜以来」若者は言った。「こぼれた血をそのまま残しているんだ。まだきれいにはしない。

 そうしてその若者が腕で部屋の中央に向かってジェフリーズを導くと、祭壇の上に3フィート×2フィートの棺を見ることができた。

 「僕の父の遺体だ

と彼は言いい、ジェフリーズは冒涜的な笑いを押さえた。どういうわけか違和感を覚えた。そうして彼は自分の袖が握られてきつく締まり、自分が跪くことを強いられてるのを感じた。ジェフリーズは振り向いて若者の顔を見つめた。

 「これを見て欲しいんだ」と若者は言った。

 ジェフリーズは瞬きして.遠ざかった。その若者はカソックの頭巾をひっぱって自分の首を露出させた。血が7つの傷跡から染み出ていた。彼は左手の指でそれらに触れた。

 「ナザレの聖痕だ。」と彼は言い、手を差し伸べた。本能的にジェフリーズは後ずさりし、それから無礼になることを恐れて踏みとどまった。

 血を味わえ

とその少年は言った。

 ジェフリーズはそれができなかった。このひどい場所から外へ出たかったが自分の脳からの命令に足が従わなかった。今や指は彼の唇のすぐ近くにあった。その向こうで少年が彼をじっと見つめていた。

味わえ」と彼は再び言った。

 それでもジェフェリーズはためらていた。

 「イエス・キリストの聖職者は主の支持者が主の血を飲んで、主の肉を食べるように要求する。それよりはましだ

そして今その指は彼の唇の上にあった。

ただの血だ」と少年は言った。

 それは熱くて彼を焦がし、酸っぱい味だったがジェフェリーズはほかに選択肢がなく彼の言うことに従った。そしてそれが終わると彼は少年の顔を覗き込んだ。再び少年は傷に触れて今度は指がジェフェリーズの額に上がった。

 「お前を聖別すると彼は言い、そして再び血が彼を焦がした。ジェフェリーズは血が顔に流れ落ちるのを感じそれをぬぐおうとした。自分の指を見るとそれが輝き人差し指にあざが形作られているのが見えた。それは小さい3つの互いにカールしている6の形をした傷だった。

 ぼんやりとジェフェリーズは少年が父の名前を継いだという声を聴いたがその事実を心に留めることができなかった。部屋を出るとあの犬がもはや唸っていないことに気が付き、あの老人が彼を見て微笑んでいた。そして、廊下にそって戻っていくうちにビル・ジェフェリーズは穢されたと感じそれを名誉に感じた。

 

 6人の男はまだ同じ位置に立っていて、ジェフェリーズは彼らが神経質になっているのを感じた。彼らをリラックスさせるために彼はジョージにシェリー酒を手渡すように頼んだ。そうして今や彼らはお互いに話をし、大きすぎる声でその緊張を覆い隠した。

 ジェフリーズは、力のバランスが彼らにどのように影響したかを考えながら次々にちらっと見た。中東のデスクで働いていた者たちはとっくにいなかった。北京から来た2人の男は、ワシントン支局の局長やNATOから来た男よりも重要になった。今やロシアと中国、それが主要なプレーヤーだ。ドアが開くと、戸口に現れた若いダミアン・ソーンを見るために彼らは一同に振り向いた。彼はスラックスとシャツに着替えていて、ジェフリーズは彼の首の跡が消えたのに気づいた。
  ジェフリーズはリハーサル通り紹介した。一人一人がダミアンの手を握りそれから彼の視線を意識して後退した。彼らのうち2人のアメリカ人は会議について不平をいい、ダミアンが詐欺師である可能性について公然と話しさえしていた。今やみな彼らの考えが両方とも異端であることが分かり、さらに、肉が肉に触れたように彼らは自分たちが考えていたことをダミアンが知っているのがもっとまずいということが分かった。そして彼らは許しを願うことしかできなかった。

 ジョージがトレイを持って彼らの間をさまよっていると、その息子に彼の父親を見た。母親の痕跡はまったくなかった。ケイト・レイノルズの優しさも、柔らかさも、女性らしさもまったくなかった。彼女は忌まわしい種の器にすぎなかったのだと彼が彼女について考えてる間さえ、ダミアンが彼を非難して見ていて、彼は他の誰よりも自分のために立ち去らなければならないことに気づき、秘密はないのだと思い知った。


 会議は1時間続き、各人が中断することなく報告を行った。みなが終わると、ダミアンは自分の質問をした。ジェフリーズは、少年が父親のように細部をすばやく把握し、コンピューターのような記憶を持っているというブーハーの言葉を思い起こしながら、熱心に聞いて感銘を受けた。ユーモアはなく、世間話もなく、迅速で鋭い質問だけだった。
 それが終わると、ダミアンは父親の肖像を見上げ、他の者たちに振り向いた。
紳士諸君」と彼は言った、「来てくれてたことに心から感謝する。
彼らは彼にうなずき返した。何人かは微笑む者がいたが、ほかは無表情だった。
しかしながら、僕は2度とあなた方のいずれにも会わないつもりだ。公の視線に自分自身をさらすつもりはない。ビル・ジェフリーズが引き続きオペレーションを実行する。」 ダミアンは間を置き言った。

以上。

 彼ら退出させられ、重要な順に黙って一列に出された。
 ジェフリーズは自分の名前が呼ばれたのを聞いて立ち止まって振り向いた。ダミアンは彼に後ろに留まるように身振りで示していた、そしてほんの一瞬、ジェフリーズは思春期以外で誰からも命令を受けることはなかったのにという苛立ちの震えを感じたが、その冒涜的な考えが立ち上がるやいなやそれは消え去った。彼は再び血を味わうことができ、それは胆汁のようだった。 彼は沈黙の謝罪を申し出、そしてそれを受け入れたダミアンの微笑みを見た。

 

 彼らはバラ園を一緒に歩き、ダミアンは枯れた花を摘み取り、それを押しつぶし、指で粉々にした。

 「要するに」彼は言った。

 「我々はついに中国のナンセンスな一人っ子政策に終止符を打ったんだ」

 ジェフリーズは頷いた。

 「年間の人口増加は現在2000万人です。」 

彼は微笑んだ。

 「切りのいい数字ですな。」

しかしダミアンは微笑み返さなかった。彼には軽薄さがまったくなかった。ジェフリーズは自分の恥ずかしさを隠すために咳払いをして続けた。

 「つまり、彼らは生き残るために自分たちの境界を拡大しなければならないことを意味します。」

 「ヒットラーのドイツのように。

 「その通りです。」

 「で、その日付は台湾の侵略のために設定されているのか?

再びジェフリーズは頷いた。

 「ただの余興です。 北への威圧のためのリハーサルですよ。」

 「それで、軍隊は?

 「最新の新兵募集数で、年末までに500万を超えるはずです」

 「イナゴの疫病か

とダミアンは言って初めて笑った。それから彼は立ち止まって東の方を見つめた。

 「そして東京は?

と彼は尋ねた。

 「問題ありません」 

とジェフリーズは言った。

 「円は毎日強くなっていますしドルは横滑りしています。共和党はまもなく西側が関税の障壁の背後に隠れることができないという公式政策を発表するでしょう。競争は必至です。」

 「結論は?

 「貿易戦争は武力戦争になります。」

 「モア ヒロシマか。」とダミアンが言うと

 「モア ナガサキです。」とジェフリーズが言った。

 ダミアンは再び微笑んだ。

 「中国と非同盟国はロシアを脅かし、日本人は西側の経済を脅かすという2つの面で、中東の石油パイプラインは戦争によって粉々になった。 イランとイラクは再び互いに争っている。

彼は両腕を広げた。

 「世界的無秩序だ」彼は幸せそうに言った。

 ジェフリーズは彼を見ながら寒気がした。

 「千年の平和か」 ダミアンは言った。

 「とんだ茶番だな

 残っている質問が一つだけあった。ちょっとしたことだがそれはジェフリーズがかつて読んだもので彼を悩ませていた。

 「メイソンによって書かれたこの本をお読みになったことがありますか?」と彼は尋ねた。

 ダミアンは頷いた。

 「彼について私に何かしてほしいことはあります?」

 「なぜ?

 「彼は多分何かしでかすんではないかと思いまして・・・」

 ジェフリーズは言葉を探した。脅し?危険?しかし彼がためらっている間にダミアンが歩いて行ってしまうのを見た。興味がないのだ。

 ジェフリーズは肩をすくめて自分の愚かさを叱った。彼はずっと何を考えていたのだ?単なる物書きがあの力に直面して何ができるだろうか。ミリオンセラーと2つのピューリッツアー賞を持っている物書きでさえだ。ダミアンは正しい。この考えはばかげていると。

 

 

第2部 第5章につづく

 オーメンⅣで最後まで分からんかったダミアンクリソツの息子の名前はやっぱ「ダミアン」か・・・なるほどね。