どうみる?日本の財政赤字(6) - 社会保障費が財政赤字の原因?(山家悠紀夫さんに聞く) | くろすろーど

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 《※連載「どうみる?日本の財政赤字(山家悠紀夫さんに聞く)」の「(1)孫子の代まで借金漬け?」 「(2)国の財政と家計は性格が違う?」 「(3)日本がギリシャのようになる?」 「(4)国民を黙らせる「呪文」?」 「(5)公務員人件費が高いから財政赤字が増えた?」 のつづきです。》


 ――「高い社会保障費が財政赤字の原因だ」とする論調もあります。どう考えればいいのでしょうか?


 ◆日本の社会保障費はイギリスの半分にも及ばない

   (※それぞれのグラフ上でクリックすると大きくして見ることができます)


くろすろーど-社会保障


 山家 「高い社会保障費が財政赤字の原因だ」というのもデタラメです。上のグラフにあるように、日本の社会保障への公費支出は、わずか6.1%でイギリスの半分にも届いていません。社会保障費が財政を圧迫しているどころか、逆に日本の社会保障費はもっと大きく増やさなければならないのが事実です。


 ◆日本の貧困解消のための社会保障費は
  フランスやドイツの4分の1しかない


 とりわけ、貧困を解消するための社会保障への公費支出がきわめて低いことが大きな問題です。


くろすろーど-貧困支出




くろすろーど-貧困支出グラフ


 上の表とグラフは、貧困を解消するための公費支出の対国民所得比と対GDP比(国内総生産比)です。対国民所得比でも対GDP比でも、日本は、フランスやドイツの4分の1程度しか、貧困解消の公費支出をしていないのです。


 ◆日本だけが社会保障・税によって

  「子どもの貧困」を悪化させている


くろすろーど-貧困削減効果


 この極めて少ない公費支出による結果が、上のグラフに顕著にあらわれています。上のグラフは、左がOECD各国における「子ども(18歳未満)の貧困減少効果(社会保障・税による所得再分配効果)」です。そして、右が「生産年齢人口(18~65歳)に対する貧困減少効果(社会保障・税による所得再分配効果)」です。2005年を中心とした各国のデータを見ると、子どもの貧困減少効果は、数字がわかっているOECD19カ国平均の0.46に対して、日本だけがマイナス0.11と、社会保障と税による再分配で子どもの貧困をさらに悪化させるという異常な事態となっています。


 また、生産年齢人口(18~65歳)においても、2005年を中心とした各国のデータを見ると、貧困減少効果は、OECD19カ国平均の0.50に対して、日本は最低の0.18です。生産年齢人口(18~65歳)に対する貧困減少効果においても、日本はOECD諸国平均の3分の1程度という低い数字なのです。


 以上、見てきたように、ここでも、社会保障費のせいで財政危機になったのなら、日本よりはるかに高い社会保障費を支出しているヨーロッパ諸国は軒並み財政危機になっていなければおかしいはずです。


 ◆「小さな政府」は「国民の自己負担の大きな政府」


 公務員の人件費や社会保障費に見られるように、日本は先進国の中でもっとも「小さな政府」です。私は、「小さな政府」というのは、「国民の自己負担の大きな政府」であると言っています。


 国民に公共サービス、社会保障を提供しないから「小さな政府」になっているわけですから、結果として、国民一人ひとりの自己負担が極めて大きくなる日本はまさに「自己責任社会」です。


 ◆教育費の「国民の自己負担」が
  フランスの4倍もある日本


くろすろーど-教育支出グラフ


くろすろーど-教育私費負担



 日本が「自己責任社会」で「小さな政府」=「国民の自己負担の大きな政府」であることは、上のグラフと表にあるように、教育への支出を見るとよくわかります。OECD28カ国の中で、日本は教育への公的支出が一番少なく、私費負担はフランスの4倍、イギリスやドイツの2倍以上にもなっているのです。(※上記データの出所は『図表でみる教育 OECDインディケータ(2010年版)』)


 ◆「小さな政府」が正規公務員の過労死と
  「官製ワーキングプア」を増大させる


 これまで見てきたように、日本が先進国の中でもっとも「小さな政府」で公務員の人数も最少であるということは、別の角度から見ると、個々の公務員労働者に無理な負担がかかっていると言えます。少ない人数で仕事をやらざるをえないので厳しい労働条件になってしまう。それは霞が関で働く国家公務員労働者が過労死の危険を抱えながら長時間働いているという事実が示しています(※「霞が関の国家公務員2千人が過労死の危険」 を参照ください)。


 そして、正規の公務員の人数が少なくてもやらなければいけない仕事があるので、公務の中にも非正規労働者が増えています。政府自身が働く貧困層となる「官製ワーキングプア」を増大させているのです。こうした「官製ワーキングプア」をなくすためにも行政体制を拡充し、非正規職員の人件費予算を増やす必要があります。(つづく ※山家さんへのインタビュー記事は隔日掲載です)


(聞き手・編集=国公労連・行革対策部 井上伸)

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