どうみる?日本の財政赤字(3) - 日本がギリシャのようになる?(山家悠紀夫さんに聞く) | くろすろーど

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 《※連載「どうみる?日本の財政赤字(山家悠紀夫さんに聞く)」の「(1)孫子の代まで借金漬け?」 「(2)国の財政と家計は性格が違う?」 のつづきです。》


 ――菅首相は、このままでは1年か2年で日本がギリシャのように財政破綻するかのように言っていますが?


 ◆10年ほど前は「アルゼンチンのように財政破綻する」

  ――消費税増税のための「誇大広告」


 山家 なんとかして消費税を増税したいと考えている人たちにとって、ギリシャは格好の宣伝材料になったようです。


 しかしこれも「誇大広告」のたぐいで、10年ほど前の政府も、当時はアルゼンチンが財政問題を抱えていて、「アルゼンチンのように財政破綻する」と言っていたのですが、10年経過しましたが日本は財政破綻していませんね。


 ◆日本は財政赤字の担い手が違う


 今回も、ギリシャのようになることは絶対にありません。なぜなら、日本とギリシャとでは財政赤字の担い手がまったく違うからです。


 ギリシャの場合、国内にお金がなくて、財政赤字をまかなうための国債の約70%を海外の投資家などに買ってもらっていました。ところが政権が替わったときに財政赤字が隠されていたことなどが判明したこともあって、海外の投資家がこんな危ないものは持っていられないとギリシャ国債を売りに出しました。そして、国債が値下がりし、買い手もいなくなり、お金が調達できなくなってギリシャは経済危機に陥ってしまったのです。


 ◆ギリシャとまったく違う日本
  ――国内でまかなう国債、なお世界一の余剰資金


 しかし、日本の国債は約95%を国内の金融機関などが持っています。それでもなお、日本国内には世界一の余剰資金があります。2010年3月末で263兆円も国内余剰資金があるのですが、それだけでなく、毎年10~20兆円の余剰資金が生まれています。フローで見ても年間に新しく借りた額よりも貯蓄した額の方が多いのです。この資金は、日本の貿易収支(輸出から輸入を引いた額)が毎年黒字であることや、海外からの利息収支が入ってくることによって生まれています。


 ギリシャは政府も赤字、国全体としても赤字がずっと続いていました。国債は国内でまかない、それでもまだ国内に世界一の余剰資金を持つ日本とはまったく違うのです。そもそも投資家が日本の国債を売らないことを見てもわかることです。(つづく ※山家さんへのインタビュー記事は隔日掲載です)


(聞き手・編集=国公労連・行革対策部 井上伸)