ボツ台本なんかわからなくなった
「なんかわからなくなった」
A「どう最近?」
B『どう最近??』
「ああいや、ふんわりした質問して悪かったな」
『うん』
「とりあえず体の調子はどう?」
『とりあえず?』
「ああ、なんかよくわからない言葉足して悪かったな」
『うん』
「なんか埒があかないからおれのこと話したいと思うけどいい?」
『うん』
「いやぁ最近ブログを始めたんだよ」
『ブログ?』
「うん。ブログは知ってるだろ?」
『うん』
「いやぁ日記的なものを書いたり思ってること書いたり」
『モヘンジョダロ?』
「ああ、今流行りのラジバンダリ!を言おうとしたんだな」
『うん』
「モヘンジョダロ…いいかもね!」
『そうかな?』
「うんいいよ。だろ?ってなってるし」
『うん』
「で、ブログをやってると、なんかレースみたいになってくるの」
『レース?』
「そう。ブログってランキングってのがあって、ブログの順位がつくんだよ」
『うん』
「その順位ってのはまあブログの訪問者の数とかで決まるわけ」
『うん』
「だからたくさんブログを見てもらうとランキングが上がるわけ」
『うーん、それってどういうヨイトマケ?』
「上手く韻をふんだね」
『うん』
「で、たくさんブログを見てもらうとランキングがあがるわけだから」
『だから?だから?』
「無理しなくていいよ、自分のペースでやっていこうよ」
『わかった』
「ランキングを上げるにはとりあえずたくさんブログを更新するのがいいんだ」
『んだんだ』
「いいねその相づち」
『うん』
「そしてランキングが上がっていくとコメントがつくようになる」
『なるなるナルるートくん』
「懐かしいね」
『うん』
「おれタルるートくんのファミコンカセット持ってたよ」
『おれも』
「奇遇だね」
『キングダムだね』
「最高の返しだね」
『うん』
「あ、だね、の部分でボケを重ねないところ、好きだよ」
『うん』
「でコメントがつくとそれもランキングに反映されてまたランキングがあがるわけ」
『うん』
「よく出来てるよね。だからみんな必死なの。自分のブログのランキングを上げようとあれこれすんの」
『階級闘争ってやつ?』
「まあそんなもんだね」
『おれ嫌いだな、ブログ』
「ああ、お前勝ち負けを勝手に決められるの嫌いだもんな」
『うん』
「じゃあそろそろこれ終わろうか」
『うん』
「悪いけど最後におもしろいことなにかしてくれる?出来る限りでいいからさ」
『出来る限りやると、おれおもしろいことのためなら片腕切り落としてもいいんだけど』
「凄い覚悟を持ってやってたんだね。悪かったよ。おれの言い方が悪かった。なあなあでいいよ」
『うん』
「じゃあお願い」
『昨日大きなカニに食われる夢を見た。怖かった』
「さよーならー」
終わり なーむー
A「どう最近?」
B『どう最近??』
「ああいや、ふんわりした質問して悪かったな」
『うん』
「とりあえず体の調子はどう?」
『とりあえず?』
「ああ、なんかよくわからない言葉足して悪かったな」
『うん』
「なんか埒があかないからおれのこと話したいと思うけどいい?」
『うん』
「いやぁ最近ブログを始めたんだよ」
『ブログ?』
「うん。ブログは知ってるだろ?」
『うん』
「いやぁ日記的なものを書いたり思ってること書いたり」
『モヘンジョダロ?』
「ああ、今流行りのラジバンダリ!を言おうとしたんだな」
『うん』
「モヘンジョダロ…いいかもね!」
『そうかな?』
「うんいいよ。だろ?ってなってるし」
『うん』
「で、ブログをやってると、なんかレースみたいになってくるの」
『レース?』
「そう。ブログってランキングってのがあって、ブログの順位がつくんだよ」
『うん』
「その順位ってのはまあブログの訪問者の数とかで決まるわけ」
『うん』
「だからたくさんブログを見てもらうとランキングが上がるわけ」
『うーん、それってどういうヨイトマケ?』
「上手く韻をふんだね」
『うん』
「で、たくさんブログを見てもらうとランキングがあがるわけだから」
『だから?だから?』
「無理しなくていいよ、自分のペースでやっていこうよ」
『わかった』
「ランキングを上げるにはとりあえずたくさんブログを更新するのがいいんだ」
『んだんだ』
「いいねその相づち」
『うん』
「そしてランキングが上がっていくとコメントがつくようになる」
『なるなるナルるートくん』
「懐かしいね」
『うん』
「おれタルるートくんのファミコンカセット持ってたよ」
『おれも』
「奇遇だね」
『キングダムだね』
「最高の返しだね」
『うん』
「あ、だね、の部分でボケを重ねないところ、好きだよ」
『うん』
「でコメントがつくとそれもランキングに反映されてまたランキングがあがるわけ」
『うん』
「よく出来てるよね。だからみんな必死なの。自分のブログのランキングを上げようとあれこれすんの」
『階級闘争ってやつ?』
「まあそんなもんだね」
『おれ嫌いだな、ブログ』
「ああ、お前勝ち負けを勝手に決められるの嫌いだもんな」
『うん』
「じゃあそろそろこれ終わろうか」
『うん』
「悪いけど最後におもしろいことなにかしてくれる?出来る限りでいいからさ」
『出来る限りやると、おれおもしろいことのためなら片腕切り落としてもいいんだけど』
「凄い覚悟を持ってやってたんだね。悪かったよ。おれの言い方が悪かった。なあなあでいいよ」
『うん』
「じゃあお願い」
『昨日大きなカニに食われる夢を見た。怖かった』
「さよーならー」
終わり なーむー
ボツ台本野球好き
「プロ野球好き」
B『おれプロ野球観るのが好きなんだ』
A「へー本当に。初耳だな」
『てへへ、初芝じゃねえよ』
「え!?まったく意味がわからないんですけど」
『元ロッテの初芝だよ』
「いやそこはギリギリわかったんだけど!お前が突拍子もないボケをするから」
『ロッテといえばパリのチームですけど』
「パリのチームって、ロッテは千葉のってまさか」
『パ・リーグ略してパリ』
「ああしょうもない」
『というわけで初芝はパリジェンヌなんですねぇ』
「違うだろ!一応つっこむけどパ・リーグをパリとは略さねーし、ましてやパ・リーグの選手をパリジェンヌだなんて呼ばないからな!しかもパリジェンヌって、ジェンヌって確か女性を表す言葉だろ」
『違うよ。で、おれプロ野球を観るのが好きなんだけど』
「うわ、かるーくかるーく正論を否定しやがった」
『プロ野球選手ってなんかよくわからないけど白い玉でなんかしてるじゃない?』
「…野球を観るのが好きって言った奴の発言とは思えねーな」
『あれ一体なにしてるの?』
「野球を観るのが好きって言った奴の発言とは思えねーな!って同じツッコミさせるな!」
『あんなの観てておもしろいの?』
「野球を観るのが好きって言った奴のって、ああ!お前!もっと違う方向でボケろ!」
『うーん、それは難しいな』
「なんだよ、なんでだよ!出来るだろ!つうか出来なきゃ駄目だろ!」
『いやおれ方向オンチだからさ』
「うわまたしょうもないボケしやがってお前!」
『多分おれの前世は西村知美だと思うんだ』
「おい!バカ野郎お前!西村知美さんはまだ生きていらっしゃるよ!前世って死んで生まれて死んで生まれてってことだからね!」
『リインカネーションの原理ぐらいわかるよバカ野郎!』
「リインカネーションって、あ、英語で輪廻転生のことをリインカネーションっていうんです。今日はそれだけでも覚えてってくださいってなにを言わせるんだよ!」
『ったく知識をひけらかしやがって、自慢かこの野郎!』
「お前がリインカネーションなんてまず日常では使うことのない英単語を言ったからだろ!」
『で、おれの前世は西村知美なわけなんだけど』
「話の続きそこじゃないよ!?野球の話だろうが!それに、まあ確かに西村知美さんは方向オンチでもおかしくないけどさ、西村知美さんが実際に方向オンチかどうかお前知ってて言ってるわけ!?」
『知ってるよ!当たり前だろ!たまにおれの後ろからそう言ってくるんだから』
「守護霊じゃねえよ!?西村知美さんお前の守護霊じゃねえよ!?仮に数十年後西村さんがお亡くなりになってもお前の守護霊にはならねーよ!」
『なに失礼なこと言ってんだよ!』
「あっ、すいません申し訳ないってお前が変なことばっかり言ってるからだろ!でも本当にすいません」
『ったく西村知美は地獄になんかおちねーよ!』
「ええ!?そんなことおれ一言も言ってねえよ!なに、西村知美が仮にお亡くなりになったらの部分じゃなくて守護霊じゃねえよの部分に怒ってんの!?」
『おれの先祖に謝れ!』
「本当、さっきからお亡くなりになったらとか言ってすいません、ってお前の先祖じゃねえよ!西村知美は!」
『人の先祖呼び捨てにすんじゃねえ!』
「だぁ!もういいよ、話の続き続き!」
『………なんだっけ?』
「ああもう、プロ野球の話だったろ?」
『なに?プ…ロ?』
「どうしたんだよ突然、プロ野球の話してたんだろ!?」
『ヤキュウ?』
「おいまさか」
『ヤキュウってなに?』
「うわぁ野球を観るのが好きって言った奴の発言とは思えねーな!」
『そーれヒットエンドラーン』
「最低だな!」
終わり なーむー
B『おれプロ野球観るのが好きなんだ』
A「へー本当に。初耳だな」
『てへへ、初芝じゃねえよ』
「え!?まったく意味がわからないんですけど」
『元ロッテの初芝だよ』
「いやそこはギリギリわかったんだけど!お前が突拍子もないボケをするから」
『ロッテといえばパリのチームですけど』
「パリのチームって、ロッテは千葉のってまさか」
『パ・リーグ略してパリ』
「ああしょうもない」
『というわけで初芝はパリジェンヌなんですねぇ』
「違うだろ!一応つっこむけどパ・リーグをパリとは略さねーし、ましてやパ・リーグの選手をパリジェンヌだなんて呼ばないからな!しかもパリジェンヌって、ジェンヌって確か女性を表す言葉だろ」
『違うよ。で、おれプロ野球を観るのが好きなんだけど』
「うわ、かるーくかるーく正論を否定しやがった」
『プロ野球選手ってなんかよくわからないけど白い玉でなんかしてるじゃない?』
「…野球を観るのが好きって言った奴の発言とは思えねーな」
『あれ一体なにしてるの?』
「野球を観るのが好きって言った奴の発言とは思えねーな!って同じツッコミさせるな!」
『あんなの観てておもしろいの?』
「野球を観るのが好きって言った奴のって、ああ!お前!もっと違う方向でボケろ!」
『うーん、それは難しいな』
「なんだよ、なんでだよ!出来るだろ!つうか出来なきゃ駄目だろ!」
『いやおれ方向オンチだからさ』
「うわまたしょうもないボケしやがってお前!」
『多分おれの前世は西村知美だと思うんだ』
「おい!バカ野郎お前!西村知美さんはまだ生きていらっしゃるよ!前世って死んで生まれて死んで生まれてってことだからね!」
『リインカネーションの原理ぐらいわかるよバカ野郎!』
「リインカネーションって、あ、英語で輪廻転生のことをリインカネーションっていうんです。今日はそれだけでも覚えてってくださいってなにを言わせるんだよ!」
『ったく知識をひけらかしやがって、自慢かこの野郎!』
「お前がリインカネーションなんてまず日常では使うことのない英単語を言ったからだろ!」
『で、おれの前世は西村知美なわけなんだけど』
「話の続きそこじゃないよ!?野球の話だろうが!それに、まあ確かに西村知美さんは方向オンチでもおかしくないけどさ、西村知美さんが実際に方向オンチかどうかお前知ってて言ってるわけ!?」
『知ってるよ!当たり前だろ!たまにおれの後ろからそう言ってくるんだから』
「守護霊じゃねえよ!?西村知美さんお前の守護霊じゃねえよ!?仮に数十年後西村さんがお亡くなりになってもお前の守護霊にはならねーよ!」
『なに失礼なこと言ってんだよ!』
「あっ、すいません申し訳ないってお前が変なことばっかり言ってるからだろ!でも本当にすいません」
『ったく西村知美は地獄になんかおちねーよ!』
「ええ!?そんなことおれ一言も言ってねえよ!なに、西村知美が仮にお亡くなりになったらの部分じゃなくて守護霊じゃねえよの部分に怒ってんの!?」
『おれの先祖に謝れ!』
「本当、さっきからお亡くなりになったらとか言ってすいません、ってお前の先祖じゃねえよ!西村知美は!」
『人の先祖呼び捨てにすんじゃねえ!』
「だぁ!もういいよ、話の続き続き!」
『………なんだっけ?』
「ああもう、プロ野球の話だったろ?」
『なに?プ…ロ?』
「どうしたんだよ突然、プロ野球の話してたんだろ!?」
『ヤキュウ?』
「おいまさか」
『ヤキュウってなに?』
「うわぁ野球を観るのが好きって言った奴の発言とは思えねーな!」
『そーれヒットエンドラーン』
「最低だな!」
終わり なーむー
ボツ台本ゲップが止まらない
「ゲップが止まらない」
ちゃぶ台があるような居間。実際ちゃぶ台があるのだが…。ばばあとオヤジ(母と息子)がどぎつい、どぎたない口喧嘩をしている。
ビールを飲んでるオヤジがばばあに反論する度に大事なところでゲップをしてしまい反論なかだるみ。しかし口喧嘩は続く。
繰り返し。
終わり なーむー
ちゃぶ台があるような居間。実際ちゃぶ台があるのだが…。ばばあとオヤジ(母と息子)がどぎつい、どぎたない口喧嘩をしている。
ビールを飲んでるオヤジがばばあに反論する度に大事なところでゲップをしてしまい反論なかだるみ。しかし口喧嘩は続く。
繰り返し。
終わり なーむー
春子のゆいいつ
大前春子はとても気の毒な娘です。春子は今まで生きてきたなかで友達をつくれませんでした。小学4年生。周りにいるのは敵ばかり。同級生の間では春子は人間ではありません。菌です。春子が触れたものみな“春子菌”に感染するようで、誰も触れたがりません。どうしても触れなくてはならない場合、春子に罵声を浴びせながら“春子菌”を洗い流します。洗えないものはハンカチで幾度も拭い、そのあとハンカチを洗います。春子はもう馴れたものですが、それでも、とても心が痛くなります。
こんなこともありました。3ヶ月前、まだクラス替えをしたばかりのある日、漢字の小テストが返ってきたときのことです。
休み時間、田中君が春子の小テストを春子のもとから盗りました。田中君は敵のボスみたいな少年で、とてもいじわるです。春子は小テストを盗られて嫌な気持ちになりました。決して頭の悪い方ではありませんでしたが、この小テストは名前を書き忘れ0点になっていたからでした。
「うわぁ見ろよ。0点だ。バカじゃねえの。0点だ。バカ春子。バカ春子」
田中君は小テストを手に持ち、踊るように仲間の方へ、クラスのみんなのもとへと近づいていきました。
春子はなにも言いません。あんな小テストいらない、ただそう思っただけでした。家に持って帰ればママからなにかを言われるのはわかっていました。ですから田中君が小テストを盗っていったことも、とても嫌ではありましたが心のどこかで、都合がいい、と思っていました。
田中君達はそれから春子の小テストを使って遊びを始めました。しきりに小テストを踏んづけています。その遊びは変化していき、春子の小テストを床に置きそれを誰かに踏ませて、
「あぁー、踏んだ。いけないんだぁ。かわいそうだろ。あやまれよ」
と、トラップ形式の遊びに変わったのです。
その時でした。いつもより早く先生が教室に入ってきて田中君達の遊びを発見したのです。
先生は田中君達に近づくと、春子の小テストを手に取り、全てを悟ったようでした。小テストを春子に返し教壇に立つと、
「君達がこんなことをするなんて…先生は情けない」
と、言いました。目には涙を溜めています。そのまま先生は教室を出て行ってしまいました。
先生がなぜ情けないと言ったのか、春子にはわかりませんでした。こんなこと日常茶飯事でありますし、むしろましな方です。もっと言えば先生が春子の小テストを名前を書き忘れていたという理由で、その小テストが春子のものだということをわかっていながら、0点にしたのがきっかけなのだと春子は思います。
とはいえ一大事です。チャイムが鳴っても先生は来ません。クラスのみんなは話し合いをしています。意見の大多数は、
「春子が悪い」
というものでした。なにがどう悪いなのかはわかりませんが、しかし、なんとなく悪いような気も春子はします。
三つ子の魂百まで、ということわざの通り子供の考えることは大人と変わりません。クラスのみんなはこの一大事をおさめるべく先生に謝りにいくことにしました。春子に謝ってきた、という“形”でいくことにしたのです。
「まったく、お前のせいだからな」
田中君は言いました。春子は心がしくしく痛みました。
田中君達数人が教室を出ると女子達が笑い出しました。彼女達にとって先生が泣いていることは笑いのタネなのです。
「こういうときは、シンミョウな顔をしてなきゃ。キャハハ。先生にバレたらまた繰り返しだよ」
そう言ってこの状況を楽しんでいるようでした。
しばらくすると先生が田中君達と一緒に戻ってきました。笑顔です。
先生は教壇に立つと、
「みんなごめんなさい。えぇ、みんなが謝りに来てくれたこと、先生、とても嬉しかったです。先生はみんなのことがもっと好きになりました」
と、言いました。
春子は、先生も敵なんだ、と、絶望しました。
結局その後も春子へのいじわるはなにも変わりませんでした。
夏休みです。春子にとってとても楽な時期です。田中君達もいません。パパとママも学校に行けと言いません。とても楽です。
パパとママは仕事で家にいません。春子は出かけることにしました。お昼を買いに、この日はハンバーガーに決めました。
近くのハンバーガー屋さんにはクラスの誰かがいるかもしれないので少し遠くのハンバーガー屋さんに向かいます。
ハンバーガー屋さんはお昼ということもあってとても混んでいます。春子は列に並び順番を待ちました。
ハンバーガーセットを買うと春子はお店を出ました。その時、声をかけられました。
「やあ春ちゃん。お使いかい?」
家の近所に住むハトコのとも兄ちゃんでした。とも兄ちゃんは春子が歩いてきたことを確認すると車に乗っけてくれました。家に誰もいないことを告げると一緒に食べようと自分のアパートに入れてくれました。
とも兄ちゃんと食べるハンバーガーはとてもおいしく感じました。食べ終わると、一緒にテレビゲームをしました。とても楽しい時間です。生まれて初めてかもしれません。
夏の暑い日のことでしたので、シャワーを浴びていきなさいととも兄ちゃんは言いました。春子がシャワーを浴び終わると夕立がザザーっと降っていました。
雨音が響く中、とも兄ちゃんは髪を拭いてくれました。春子の髪を拭きながらとも兄ちゃんは、
「春ちゃん、体が冷えるといけない。あたためてあげよう」
と、言って春子の体をさすりました。体全体をさするので春子は恥ずかしくなりましたが、
「なにも恥ずかしがることはないよ」
と、とも兄ちゃんは言いました。とも兄ちゃんは舌を使って春子の体を舐めました。春子はとても怖くなったのですが、とも兄ちゃんは良い人なので春子は抵抗しませんでした。それに、どこか心があたたかくなるのを感じました。
「このことはふたりだけの秘密。誰にも言ってはいけないよ」
とも兄ちゃんはそう言いました。
家に帰り、インスタントラーメンを作って食べました。春子はなんだか自分が特別なものになったような気がしました。
それからちょくちょくとも兄ちゃんの家にいきました。シャワーを浴びたあとのことが楽しみでした。
春子にとってそれはゆいいつの時間でした。
夏休みの終わり近くのある日、春子はパパに殴られました。突然のことです。ママも怒っています。
「なんで叩くの?」
春子は聞きましたがパパとママは答えてくれません。
少しすると、とも兄ちゃんのおじさんとおばさんが家にやってきてパパとママに会うなり土下座をしました。
すまん、すまん、と、何度も何度も謝りましす。パパととも兄ちゃんのおじさんはイトコでとても仲が良かったものですから春子は、変だな、と思いました。
またしばらくすると今度は知らないおじさんがふたり来ました。そのふたりは警察の人でした。
「お兄ちゃんに体を触られたんだね」
はい、と答えました。
「お兄ちゃんの下半身、その、おちんちんを触ったのかね」
はい、と答えました。パパに殴られました。
春子は、
「どうして、どうして叩くの。みんな、大人はみんなしてるんでしょう?パパとママもしていることだって、とも兄ちゃん言ったよ。ねえ、どうして叩くの」
と、泣きながら言いました。
パパはまた春子を殴りました。警察の人がパパを止めました。ママは泣いています。おじさんとおばさんはまた土下座をしました。
パパもママも敵なんだと春子は思いました。
その日からとも兄ちゃんの姿を見ません。
外に出るなと一日中パパかママが家にいます。パパとママが一緒にいる時パパとママは喧嘩ばかりして、パパはたまに春子を殴ります。
春子は夜更かしするようになりました。手にはカメラを持っています。夜、パパとママが自分ととも兄ちゃんと同じことをしている証拠を得るためです。
出来れば夏休みが終わる前、学校が始まる前にと春子は考えています。
春子はとても気の毒な娘です。
了
こんなこともありました。3ヶ月前、まだクラス替えをしたばかりのある日、漢字の小テストが返ってきたときのことです。
休み時間、田中君が春子の小テストを春子のもとから盗りました。田中君は敵のボスみたいな少年で、とてもいじわるです。春子は小テストを盗られて嫌な気持ちになりました。決して頭の悪い方ではありませんでしたが、この小テストは名前を書き忘れ0点になっていたからでした。
「うわぁ見ろよ。0点だ。バカじゃねえの。0点だ。バカ春子。バカ春子」
田中君は小テストを手に持ち、踊るように仲間の方へ、クラスのみんなのもとへと近づいていきました。
春子はなにも言いません。あんな小テストいらない、ただそう思っただけでした。家に持って帰ればママからなにかを言われるのはわかっていました。ですから田中君が小テストを盗っていったことも、とても嫌ではありましたが心のどこかで、都合がいい、と思っていました。
田中君達はそれから春子の小テストを使って遊びを始めました。しきりに小テストを踏んづけています。その遊びは変化していき、春子の小テストを床に置きそれを誰かに踏ませて、
「あぁー、踏んだ。いけないんだぁ。かわいそうだろ。あやまれよ」
と、トラップ形式の遊びに変わったのです。
その時でした。いつもより早く先生が教室に入ってきて田中君達の遊びを発見したのです。
先生は田中君達に近づくと、春子の小テストを手に取り、全てを悟ったようでした。小テストを春子に返し教壇に立つと、
「君達がこんなことをするなんて…先生は情けない」
と、言いました。目には涙を溜めています。そのまま先生は教室を出て行ってしまいました。
先生がなぜ情けないと言ったのか、春子にはわかりませんでした。こんなこと日常茶飯事でありますし、むしろましな方です。もっと言えば先生が春子の小テストを名前を書き忘れていたという理由で、その小テストが春子のものだということをわかっていながら、0点にしたのがきっかけなのだと春子は思います。
とはいえ一大事です。チャイムが鳴っても先生は来ません。クラスのみんなは話し合いをしています。意見の大多数は、
「春子が悪い」
というものでした。なにがどう悪いなのかはわかりませんが、しかし、なんとなく悪いような気も春子はします。
三つ子の魂百まで、ということわざの通り子供の考えることは大人と変わりません。クラスのみんなはこの一大事をおさめるべく先生に謝りにいくことにしました。春子に謝ってきた、という“形”でいくことにしたのです。
「まったく、お前のせいだからな」
田中君は言いました。春子は心がしくしく痛みました。
田中君達数人が教室を出ると女子達が笑い出しました。彼女達にとって先生が泣いていることは笑いのタネなのです。
「こういうときは、シンミョウな顔をしてなきゃ。キャハハ。先生にバレたらまた繰り返しだよ」
そう言ってこの状況を楽しんでいるようでした。
しばらくすると先生が田中君達と一緒に戻ってきました。笑顔です。
先生は教壇に立つと、
「みんなごめんなさい。えぇ、みんなが謝りに来てくれたこと、先生、とても嬉しかったです。先生はみんなのことがもっと好きになりました」
と、言いました。
春子は、先生も敵なんだ、と、絶望しました。
結局その後も春子へのいじわるはなにも変わりませんでした。
夏休みです。春子にとってとても楽な時期です。田中君達もいません。パパとママも学校に行けと言いません。とても楽です。
パパとママは仕事で家にいません。春子は出かけることにしました。お昼を買いに、この日はハンバーガーに決めました。
近くのハンバーガー屋さんにはクラスの誰かがいるかもしれないので少し遠くのハンバーガー屋さんに向かいます。
ハンバーガー屋さんはお昼ということもあってとても混んでいます。春子は列に並び順番を待ちました。
ハンバーガーセットを買うと春子はお店を出ました。その時、声をかけられました。
「やあ春ちゃん。お使いかい?」
家の近所に住むハトコのとも兄ちゃんでした。とも兄ちゃんは春子が歩いてきたことを確認すると車に乗っけてくれました。家に誰もいないことを告げると一緒に食べようと自分のアパートに入れてくれました。
とも兄ちゃんと食べるハンバーガーはとてもおいしく感じました。食べ終わると、一緒にテレビゲームをしました。とても楽しい時間です。生まれて初めてかもしれません。
夏の暑い日のことでしたので、シャワーを浴びていきなさいととも兄ちゃんは言いました。春子がシャワーを浴び終わると夕立がザザーっと降っていました。
雨音が響く中、とも兄ちゃんは髪を拭いてくれました。春子の髪を拭きながらとも兄ちゃんは、
「春ちゃん、体が冷えるといけない。あたためてあげよう」
と、言って春子の体をさすりました。体全体をさするので春子は恥ずかしくなりましたが、
「なにも恥ずかしがることはないよ」
と、とも兄ちゃんは言いました。とも兄ちゃんは舌を使って春子の体を舐めました。春子はとても怖くなったのですが、とも兄ちゃんは良い人なので春子は抵抗しませんでした。それに、どこか心があたたかくなるのを感じました。
「このことはふたりだけの秘密。誰にも言ってはいけないよ」
とも兄ちゃんはそう言いました。
家に帰り、インスタントラーメンを作って食べました。春子はなんだか自分が特別なものになったような気がしました。
それからちょくちょくとも兄ちゃんの家にいきました。シャワーを浴びたあとのことが楽しみでした。
春子にとってそれはゆいいつの時間でした。
夏休みの終わり近くのある日、春子はパパに殴られました。突然のことです。ママも怒っています。
「なんで叩くの?」
春子は聞きましたがパパとママは答えてくれません。
少しすると、とも兄ちゃんのおじさんとおばさんが家にやってきてパパとママに会うなり土下座をしました。
すまん、すまん、と、何度も何度も謝りましす。パパととも兄ちゃんのおじさんはイトコでとても仲が良かったものですから春子は、変だな、と思いました。
またしばらくすると今度は知らないおじさんがふたり来ました。そのふたりは警察の人でした。
「お兄ちゃんに体を触られたんだね」
はい、と答えました。
「お兄ちゃんの下半身、その、おちんちんを触ったのかね」
はい、と答えました。パパに殴られました。
春子は、
「どうして、どうして叩くの。みんな、大人はみんなしてるんでしょう?パパとママもしていることだって、とも兄ちゃん言ったよ。ねえ、どうして叩くの」
と、泣きながら言いました。
パパはまた春子を殴りました。警察の人がパパを止めました。ママは泣いています。おじさんとおばさんはまた土下座をしました。
パパもママも敵なんだと春子は思いました。
その日からとも兄ちゃんの姿を見ません。
外に出るなと一日中パパかママが家にいます。パパとママが一緒にいる時パパとママは喧嘩ばかりして、パパはたまに春子を殴ります。
春子は夜更かしするようになりました。手にはカメラを持っています。夜、パパとママが自分ととも兄ちゃんと同じことをしている証拠を得るためです。
出来れば夏休みが終わる前、学校が始まる前にと春子は考えています。
春子はとても気の毒な娘です。
了