からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜 -254ページ目

デカ豆

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わかりづらいと思うがデカいんだ。豆。デカ豆。中実は赤い。おれはデカ豆って呼んでるんだ!そう呼んでるんだぜ!………豆だよね。実は世の中は豆で出来てるんだ。あなたも豆。おれも豆。豆、豆、豆、デカ豆、豆。犬豆死に豆固くなる豆。冬に犬が死んだんだ。豆にかえったの豆。もう夏だからね。寒さなんか忘れたよ。今じゃいまいち顔が思い出せない。でも出来るなら夏は長袖、冬は半袖でいたいよね。夏の暑さで死ぬよりはよかったかもね。皮衣じゃ暑すぎるからさ。豆じゃ豆すぎるからね。夏になると老人の孤独死が増える。夏を乗り切れないんだ。多分部屋にエアコンは無いしあったとしてもぶっ壊れてる。ずっと前夏にそんな家々をまわったことがあった。たまにあるんだ。行ってもいつもいなくてさ、少ししてまた行ったら、近所の人から、死んだよって言われる。だからなんだと言われても、おれは知らないよ、これを読んでる人がいても知ったこっちゃないんだ。夏は暑いからね。セミをとるのが好きでさ。セミをとって、地面に叩きつけたり水に沈めたりしてた。多分おれセミの霊に憑き殺されるね。文句言えないよ。しようがない。だってセミだからね。ヨセミ
テだからね。ヨセミテ豆だからね。ほいざんす、なんつってさ。「主人が死んで私はなにもわかりません」おれは何も出来なくて、多分へらへら笑い顔つくってたんじゃないかな。まあ豆だからね。そんなもんだよ。アスファルトの成分も半分は豆だからね。おれたちは豆の上を走ってる。排ガスの半分も豆だからね。肺に豆がたまってく。ああ、バファリンの半分はやさしさで出来てるんだ。じゃあ半分にして値段を下げろなんて野暮なこと言っちゃ自分はおもしろいこと言ってるって思っていてももう散々だよ。カスだよ。おれならこう言うね、バファリンの半分はやさしさで出来てるんだ、なら半分にして値段を下げろってね。まあおれはカスだからね。へらへら笑ってるだけだったこともあるしね。

読んだら損する「運命はテイクアウト」(3)

それから道助のおじさんに会い、お姉さんたちに会い、道助に会った。顔には白い布。多少きれいになったという。が、
「見ない方がいい」
と、おじさんは来る人全員に言った。結局ぼくは道助の顔を見ることなく、さよなら、を言って霊安室?を出た。
そうしたら目の前に巨人がいた。小山さんだ。
「健一君、久しぶりだね」
小山さんは道助の従兄弟で保険会社で仕事をしている。保険の仕事を始めるにあたってまず最初にすることは親戚縁者回りだ。道助の家とうちは家族ぐるみの付き合いをしていたこともあって小山さんはうちにも来たわけである。小山さんが初めてうちに来た時、その時からプータローだった僕は家にいた、僕は驚いたこと為五郎の如し。でかい。でかいのだ。手もフライパンぐらいでかい。指なんか勃起したちんこみたいだ。ちんこもでかいだろう。聞けば身長は208センチあるらしい。
「ジャイアント馬場よりは低いんですけどね」
恥ずかしそうに笑った顔は、巨人症の例に漏れず、アゴが突き出て、末端肥大?、まさしくジャイアント馬場そっくりだ。
「あ、どうも…」
「突然のこと…だったね。たーくんは…。健一君の家の人はもう知っているのかい?」
「いや、どうでしょう、わかりません。ひとまず僕は家に帰ろうと思いまして、出来ることもありませんし…」
この時小山さんは僕が自殺現場に居たことを知っていたのだろうか。
「…そうだね、こういう時は家族だけってやつがいいと思うよ。僕も今日はすぐ帰ろうと思っているのだけど…。イヤなものだよ保険屋なんてさ。こんな時にも、保険きかないな、なんて、仕事のことが頭をよぎってしまうのだから」
そう言って小山さんはうつむいた。うつむいてもなお僕を見下ろすその眼は涙で光っていた。
「あの、頭のなかで、いやなんというか、あまりにショックなことだから、セーブしてるんじゃないですか、なんていうかその…不思議です。悲しいんだけど…まだよくわからないというか、僕もさっきからなんか頭が妙に笑えって命令出してまして、なんか面白いことはないかとキョロキョロ探してるんです。不謹慎ですけど…まあ抑えられないほど変になっちゃってるんですよ…というかなんというかもうわかりません」


道助の密葬が終わり、僕は今自分の部屋で考えている。僕は道助を救えなかったのだろうか。もし、あの時、僕が道助の背中を押さなかったらどうなっていたのか。屋根に上がることを拒んでいたらどうなっていたのだろうか。道助から来た久しぶりのメールに返信しなければよかったのか。道助ともっと密に連絡をとっていたならば。あの日以来思考回路は停止状態。何も考えられない代わりに何度も何度も頭に浮かんでは宿便のように脳のシワの間にこびりつきやがる。
バカヤロウ。
僕の気持ちも考えろ。考えてみろ。もっと考えろ。考えてみたのか?なんでだよ。
僕は今自分が殺人を犯したのかどうかで胸を痛めてるんだぞ。頭が働かない代わりに心臓がドキドキしてる。不整脈になったらどうすんだ。
僕の頭は黒い布で包まれたように光の方向を見いだせない。答えは全て道助が無の世界に持っていった。枕に顔を埋める。真っ暗。
「……いち…健一」
僕を呼ぶ声。母親の声。どうやら少し寝ていたらしい。自分を嫌悪する。
「なに?」
僕は吐き出すように声を張り上げた。
「……………」
返答は無い。いつものことだ。母親は決して用件を言わない。この母親の行動の為に大した用事もないのに階段を上り下りすることになる。僕はため息をついて階段を下りた。

ボツ台本犬とは

「犬とは」


『お前犬って知ってる?』
「犬ぐらい知ってるよ」
『犬って言ってもあれだぜ?ちっちゃいのからでっかいのまでいて、ワンワン吠えたり、歩くと棒にあたっちゃうやつじゃないぜ?』
「じゃあわかんねえ」


終わり なーむー

読んだら損する「運命はテイクアウト」(2)

「懐かしいなぁ、よくここから紙飛行機という名のゴミを飛ばしたなぁ」
道助は笑顔を浮かべる。
「あぁ、石を投げたりな。今考えればとんでもない悪だ」
「ふふ」
と、ため息を吐くように笑い道助はタバコに火をつけた。
僕もタバコに火をつける。風が強く、吸っているのかいないのかよくわからなかった。
一服すると、
「俺、今なら空も飛べる気がする」
道助がふわりと立ち上がりながら言った。
「お前ってそんなにメルヘンチックなやつだったか?」
僕も立ち上がる。
「おいおい、俺はメルヘンが衣を着ているような男だぜ?ふふ。ちょっと押してみ」
道助の言う通りに、僕は道助の背中を押した。極々軽く…。
道助は傾斜を駆けていき、飛んだ。
数瞬後、
「パァーン」
という乾いた音が、ぐるんぐるんと風に揺れて耳に入ってきた。
僕は階段を駆け下りたけれど、道助の周りにはもうマンションの住人達でいっぱいだった。遠まきに立ち尽くしているとサイレンの音が聴こえてきて、道助は救急車に乗せられていった。
僕はただ立ち尽くしていた。
とにかく病院へ。そう頭に浮かんだ時にはもう周りにマンションの住人はなく、青いビニールシートが地面を覆っていた。僕は、おそらく顔を真っ青にして病院へと駆け出した。ここらで救急車が行く病院はA病院しかない。最短距離を走る。久しぶりの全力疾走。走り方がよくわからなくなっていて、しかし心はより速く走りたくて、僕は三回前のめりに転んだ。三回目は上手く前回り受け身がとれて、流れるようになにごともなかった雰囲気を醸し出して走りだせた。ちょっとにやけた。
意を決して病院内に入る。受付は無視した。大して大きい病院ではなく、大して大きなロビーではなく、ロビーを見渡せば一ヶ所、空気が違う。色がついてるんじゃないかと思うほど、澱んでる。澱みはロビーから奥の廊下に流れている。病室へ続く廊下じゃない。廃病院で肝試しをするならば一番盛り上がるであろうコース。僕がその廊下の入り口を曲がると同時にソファーに座る道助の母親と目があった。もうどうしようもなく目があってしまった。こんな時でも、僕はおばさんに怒られると思ってドキドキした。
「あ、あの…」
しばし無言のあと、僕は謝ろうと話かけた。僕の目は床を見ている。とてもじゃないがおばさんを見ていられなかったし、とても後ろめたいものがあった。
「健ちゃん?…大きくなったわねぇ」
おばさんは、当たり前だが、げっそりした表情。で、ありながらも微笑して僕に言った。予想外のおばさんの態度に僕は面食らった。少しほっともした。
「あ、あの…僕は今日…」
「みっちゃんの部屋からこれが出てきたの」
僕の言葉を遮って、と言っても何を言おうかまとまっていなかったのだが、おばさんは手に持っていた手紙を僕に渡した。
それは遺書だった。
家族のみなさんへ
「僕は自殺することにしました。この手紙を読んでいる頃にはもうきっと僕は死んでいることでしょう。でも、どうか悲しまないで下さい。僕は死ぬことがいいのです。楽しみでさえあります。死んで無になることが楽しみなのです。僕は楽しく死んで幸せになるのです。どうか理解して下さい。僕が死ぬ理由は、納得してくれるとは思いませんが、ただなんとなく、であります。強いていえば時間から解放されたい、と、思ってしまったことです。お父さんお母さんには一切非はありません。当然姉さん達にもです。僕が勝手に死にたいと思い、死んでいっただけです。ごめんなさい。僕はこの家に生まれて幸せでした。みなさん可愛がってくれてありがとう。そしてごめんなさい。これから健ちゃんと会ってきます。もちろん健ちゃんは僕の死にたいと思う気持ちに一切関係ありません。健ちゃん、迷惑かけてごめん。無茶なこというけど、気にしないでくれ。忘れてくれ。ごめん。最期に会っておきたくてさ。僕は弱い人間だから。というわけですので、お父さん、お母さん、警察のみなさん、もし僕が死んだ場所に健ちゃんが居ても僕の自殺とは関係ありません。むしろ被害者でしょ
う。勝手だけどありがとう。
最期に、
全ての人達に感謝。先立つ不幸をお許し下さい」
最期に書かれていた日付には“分”まで書かれていた、俺への気遣いだろうか、ちょうど道助からメールが来た10分前。その10分間、道助はなにを考えていたのだろう。
僕が遺書を読み終わるのを見計らって、
「ごめんね、ごめんね」
おばさんは泣き崩れた。呼吸がうまく出来ないおばさん。嗚咽混じりになるおばさん。もはやなんか吐いてるおばさん。ひょっとしたら昨日ニンニク食った?おばさん。おばさんもだいぶつむじ辺りが薄くなったなぁおばさん。なんというかもうおじさん。
「そんな、おばさん…僕は…」
僕は何を言ったらいいのかわからなくなって、ただただ病院の床を見ていた。

今週の標語訂正

残念ながら先程投稿した今週の標語は2年前の3月の標語でした。訂正(下記)してお詫びします。2年前の1月…思い出すのもはばかられる恐ろしい恐ろしさ…ろしさらしだよまったく…。

今週の標語(訂正分)
「僕は僕以上に僕を愛することが出来ない」





あああぁぁ………………ナニシテンダロオレハイツタイ……