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COPE (KU Plankton Lab)

絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。

 

新卒論生たちが研究室に来てくれてから、早いものでもうひと月が経ちました。この時期、卒論・修論がいそがしくなってくる頃ではありますが、同時にメンター役として新卒論生たちの相談相手にもなるような時期です。その一環として、12月には習熟航海と称される乗船実習を行います。新卒論生たちが南星丸での海洋観測・標本採取・標本処理が問題なく進められるように、メンター役と一緒に乗船して練習をするためのものです。

練習船の運航は非常にお金がかかるものですので、少しでも時間を無駄にしないように、観測点についたらすぐに作業を開始でき、かつ終了できるように準備万端でなくてはなりません。作業を理解しないために待ってもらうとか、準備できていないから少し時間がかかるとかなど、もってのほかの行為です。本番に備え、あらゆる可能性を想定して準備することが大切です。

これが、海洋観測・標本採取・標本処理のための機材艤装。人の動線も考えて、業務が効率よくこなせる様に、機材を設置するだけでなく機器も動かしてみて問題ないことを確かめます。先輩たちの指導もよくて、短時間で完璧に準備できました。

この日は非常に天気が良くて、桜島が綺麗でした。記念撮影に1枚。習熟航海ははりきってやってください。ご苦労さまでした。

こんばんは。主宰です。

 

熊本県立大学の教養科目で講義を依頼されたので、先日訪問してきました。

全学部共通の教養科目なので、理系ではない学生が受講していたり、受講者が300人を超えるとのことで、緊張して前の晩は眠れませんでした。ただ、こういったアウェイな環境での講義こそ教育能力が試されると思っていて、授業内容にいろいろと工夫を凝らしました。

高校での出前授業とか、水産学部の初年次科目とか、あるいは一般向けのセミナーとか、そういった機会で提供した授業内容から比較的ウケたものを選抜し、かつこの授業科目における主旨に沿った内容に改訂して授業しました。完全に寝てしまった受講生が数人ほどいましたが、大部分はウトウトする程度で済みました。ただ、もう20年以上も大学教員をやっているので、全員おめめパッチリという授業ができるまでにならないとな~と反省もしました。

大学って、いくつになっても何年経っても学びができる場所だなぁとおもいました。大学生のみなさんは、学びの機会を楽しんでください。

こんばんは。主宰です。

 

先週末、タコ焼きパーティが企画されました。どういう目的なのかあまりよく理解しないまま参加させてもらいましたが、新しく配属された卒論生のための懇親会ということかなとおもいました。

海洋生物ゼミの有志も参加してて、研究室の垣根がとれてきていいことだとおもいます。卒論・修論では、所属研究室とかあまり関係なく仲良くお互いを刺激・切磋琢磨しながら過ごすことがよいとおもっています。

うちの研究室には関西人がよく来てくれるので、粉もんをやるとじょうずに作ってくれます。このタコ焼きも外はカリカリ、中はトロトロで美味しかったです。今回は、授業で使うオキアミ(乾燥食品)も混ぜてもらって風味豊かなタコ焼きになりました。

いつものように、このふたりは途中からこんな感じ。うちのムードメーカーです。これからも楽しい企画をよろしくお願いします。

Bonjour ! 4年のイトウです。


遺伝子発現解析の技術習得を目的に、東大の大気海洋研究所に行ってきました。既に先生がこの研修の内容や期間中の昼食について書いてくださったので、私は東大と鹿大の違いについてここに記しておこうと思います。

まず、キャンパスについて。
大気海洋研究所は7階建ての大きな建物1つに集約されています。様々な分野の研究室が集まっているだけでなく、各階にラウンジやバルコニーも設置されているので、異分野間でのコミュニケーションも生まれやすいのではないかと思いました。なにより、外の空気を吸いながらランチ休憩が手軽にできそうなのがとても羨ましいです。

ちなみに我が水産学部では、建物は1つに集約されていませんが、春になると桜が満開になる広い網干場があり、ピクニックにはうってつけです。私たちの生息場となっている学生室の窓からも緑を見ることができます。屋外ランチという観点からは、案外水産学部は負けていないのではないのでしょうか?

そして、決定的な違いはトイレにありました!それは、便座ヒーターと芳香剤です。
水産学部のトイレは十分きれいで使いやすいです。ただ、冬になっても便座のヒーターがつけられることはありません。私は普段から家でも冷たい便座なので、あまり気になっていませんでしたが、3日間で東大の温かい便座に慣れてしまい、帰ってきた後は毎回ヒヤッとしてしまうようになってしまいました。贅沢はいけませんね…。
そして一番の違いだと感じたのはトイレの芳香剤です。水産学部キャンパス内のトイレには芳香剤が置かれていませんが、かごしま丸や鴨池の倉庫には、黒色の強力そうな芳香剤が置いてあり、非常に独特な匂いがします。かごしま丸によく乗る方なら、「あ~あの匂いね」と思い出せるかもしれません。しかし東大では、白色のスタイリッシュな芳香剤が置いてあり、少しおしゃれな匂いが控えめにしました。現代的でオシャレな東大のキャンパスには、トイレのにおいまで洒落ているのかと、少し東大が羨ましくなってしまいました。

最近他大学を訪れる機会が増えました。今後もよく観察し、気が付いたことがあれば報告していこうと思います。

それではÀ bientôt !

こんばんは。主宰です。

 

黒潮域に輸送される回遊性浮魚類の仔魚が、はたして摂餌できずに飢餓状態にあるのか、あるいは摂餌できていて成長できているのかについては、黒潮パラドックスを解明するために重要な課題です。この課題については、従来から利用されてきた耳石解析によってある程度の証拠はつかめましたが、仔魚の体内で起こっているメカニズムを詳細にみてみたいと考えるようになりました。そこで、仔魚の遺伝子発現を調べることを試みようとしています。私たちの研究室が有する技術・情報では克服できないので、この分野に詳しい共同研究者にお願いし、技術研修を受けることにしました。

今回、いろいろとご教示いただくのは、東京大学大気海洋研究所の平井さんです。平井さんには、以前より遺伝子解析に関する技術研修や共同研究をおこなっていて、おかげ様でいくつかの論文を発表することができました。

 

Toru Kobari, Yusuke Tokumo, Ibuki Sato, Gen Kume, Junya Hirai (December 2021)

Metabarcoding analysis of trophic sources and linkages in the plankton community of the Kuroshio and neighboring waters. Scientific Reports: 11, 23265.

10.1038/s41598-021-02083-8

 

Toru Kobari, Ayane Taniguchi, Manami Hirata, Gen Kume, Mutsuo Ichinomiya, Tomohiro Komorita, Masafumi Kodama, Fumihiro Makino, Junya Hirai (September 2024)

Comparison of the trophic sources and pathways of mesozooplankton and ichthyoplankton in the Kuroshio Current and its neighboring waters. Progress in Oceanography: 229, 103356.

10.1016/j.pocean.2024.103356

 

遺伝子発現解析もお詳しいので、今回もご縁を利用させてもらって、将来利用するであろう学生さんたちと共に大気海洋研究所を訪問しました。

さすが世界的に著名な東京大学なので、研究設備・機器がとても整っており、新しいことを享受できるこの環境にとても刺激を受けました。学生さんたちにも、その雰囲気を感じ取ってもらえたとおもいます。

今回も、もちろん研究所の下に構えている「お魚倶楽部はま」にお邪魔してランチとなりました。

ランチメニューでは地魚を使った丼を扱っており、たいへん美味しくいただけました。翌日には別の食堂に伺いましたが、こちらのほうが断然おトクです。この研究所を訪問した時には、ぜひここでランチを召し上がってください。

修得すべき情報量が多い数日間でしたが、もしこの技術をものにできれば、黒潮パラドックスの研究をさらに進展することができます。技術研修を受けた学生さんには、ぜひだれもが理解しやすいプロトコルをまとめてもらって、研究室のレガシーとして遺していってもらえればありがたいと考えています。