こんばんは。主宰です。
年末・年度末になってきたので、この時期になると様々な報告会が予定され、研究成果の進捗状況の確認や来年度の計画をたてるようになっています。学術変革領域研究の計画班に参画しているので、九州大学応用力学研究所にて計画班(黒潮班)の会議を行いました。
黒潮班は、黒潮域に近隣する沿岸域の高い生物生産が、陸棚域あるいは黒潮域から供給される栄養塩のどちらに制御されているのかについてを解明するという大きな目標があります。うちの研究室では、この目標に対して船舶観測および洋上実験というアプローチをしています。研究を開始してから3年が経過して研究成果も蓄積されてきたので、今回の班会議には3人の卒論をもってきました。のんちゃんは、沿岸水と黒潮水を混合したら植物プランクトンは増えるのか、増えるとすれば何によって制御されているのかということを実験的に確かめる内容です。みわちゃんは、沿岸水と黒潮水が混合したら動物プランクトンはどのような応答をするのかを確かめる内容です。さらに、ほのかは沿岸水と黒潮水が混合する海域に仔魚が多く出現しますが、この分布要因は何によっているのかを解明する内容です。今回は、のんちゃんの研究を私が代理発表し、あとは自分で発表してもらいました。研究室・ゼミなどでの報告とは異なり、専門家から有益なアドバイスをもらえました。

黒潮班は鹿児島大学チームが中核的な役割を果たしており、ようやくいろいろなことが分かってきたかなとおもいます。一方で、研究成果が断片的なので、これらを俯瞰できるような統一的見解を創る必要があるとも感じました。福岡はすっかり秋らしく、春日キャンパスは紅葉がとても綺麗でした。
今回は、班会議がいつもより早めに計画されたので、この会議に続いて門司港の旧大連航路上屋で西日本海洋調査技術連絡会が開催されました。ここでは、海洋観測・調査を行う試験研究機関がどのようなことを行っているのかを報告するものです。鹿児島大学では練習船(かごしま丸・南星丸)で非常に多様な観測・調査を行っているので、そちらを報告してきました。また、各研究機関から研究発表も行われ、普段聞けない内容のおはなしを伺えました。その中でも面白かったのが海上保安部の報告で、リーフカレントに関するご説明でした。これによると、海難事故の7割はスノーケリング・スキューバダイビング・遊泳中に発生すること、海難事故のうち3割が死亡事故であることらしく、楽しんでいる最中に不幸な事故が頻発していることに驚きました。リーフカレントによる海難事故は、引き潮時と波浪・風が強い時に発生しやすく、このような事故を防ぐために、リーフカレント注意海域情報(PC版・スマホ版)をインターネットで提供しているようです。水産学部では海関係のサークルが多いので、学生さんにはぜひ気をつけてほしいものです。

旧大連航路上屋は関門海峡に面しており、すぐ近くには関門大橋や対岸の下関が見えました。この建物は中国との貿易・旅客などに利用されていたようで、昔の船の模型がたくさんありました。時間がなくてあまりしっかりと見れなくて残念。

今回の出張では、ここでは書ききれないハプニング・サプライズがたくさんありました。またの機会に報告しようとおもいます。