COPE (KU Plankton Lab)

COPE (KU Plankton Lab)

絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。

 

地域貢献の研究活動として、うちの研究室ではスマート技術開発に取り組んでいます。この一環として、赤潮原因藻類をできるだけ簡便に識別計数する方法を開発していますが、この技術開発にはフロースルー顕微鏡というものを使います。研究機器が高額であるとなかなか研究が進展しないのですが、このフロースルー顕微鏡は市民科学を推進するために開発されたもので、部品を購入すればたいへん安価に自分で工作することができます。これについて詳しい研究者(北島さん)が西海区水産研究所にいらっしゃったので、勉強してきました。

これがその部品類になります。1つ1つの部品は安価に入手することができます。箱になる部品は、北島さんがご親切に事前に製作してくれてました。

これらを部品を組み立てると、ノートパソコンの後ろにあるような機械になります。自分でハンダづけしたり配線したりするので試行錯誤しながらやりましたが、どうにか問題なく動作することが確認できました。私は器用ではないので、早朝から夜までたっぷり時間がかかってしまいました。

翌日は早朝に起床して、ホテル前の港で実際に海水を通して動かしてみました。問題なく動作したし、暗闇でやったせいか基盤のLEDが光って綺麗でした。

製作は早朝からやらなければならなかったので、前日の夜に移動しました。夕飯を軽くいただけそうな場所を探していたら、角打ちができる酒屋を発見。森山酒店にお邪魔しました。

ジャズが流れてておしゃれな雰囲気です。地元の常連さんしかいらっしゃらないようなお店で少々緊張しましたが、棚にずらっとならんだ焼酎・日本酒をみて嬉しくなりました。天井近くを見ると、大学時代にお世話になった「大山」を発見。さっそくいただきました。

日本酒の邪魔にならないように、おでんを少々。ベストマッチです。大山ってキャッチフレーズみたいなものがあって、「酒は大山、愛の酒」ってコマーシャルでやってました。久々にこのフレーズをみて、懐かしいってなりました。いい店見つけてしまったなぁ。長崎に出張する機会があったら、楽しみになりそうです。

 

北島さん、このたびはたいへんお世話になりました。部品から機械を作ると、どのあたりが調子が悪そうだとか、どこを改造するともっと応用効きそうだということもわかるようになり、たいへん勉強になりました。ありがとうございました。

こんばんは。主宰です。

 

先日、熊本県立大学で南九州水産海洋研究集会を開催したので、報告します。

この研究集会は、熊本県立大学と一緒に共同研究をするようになってから、お互いの研究内容について理解を深めるために、2014年からスタートしました。今年で11年目になり、参加者も以前と比べるとずっと多くなって、今年は60人くらいの参加者があったのでちょっとした学会規模になっています。12月6日~8日にかけて開催しましたが、今年は中日で熊本県立大学環境共生学部主催の環境フォーラムという企画をはさみ、基調講演みたいなコンテンツも入ってかなり本格的な研究集会でした。

初日は、朝から晩まで学生たちからの発表でした。うちの研究室からは、卒論生が以下の発表を行いました。

●つむちゃん:海洋ビックデータを利用したモジャコ漁スマート化支援ツールの社会実装化
●けんちゃん:フロースルー顕微鏡およびウェブアプリケーションを使った植物プランクトン識別計数技術の開発
●てらちゃん:九州東方海域における動物プランクトン現存量と仔魚の餌生物量の推定
●みゆちゃん:広域分布魚類(ネズミギス・マイワシ)における初期成長の海域間比較

データや解析が充実していて、何回も練習しただけあって、かなり完成度が高い発表でした。私としてもたいへん自慢できる内容です。

18時頃まで発表が続きましたが、この日は熊県大のみなさんに企画・運営してもらった懇親会を開催してもらいました。熊県大の生協食堂にての様子です。大学・研究室関係なく、みなさんで活発におはなしされてて盛り上がりました。

こちらが懇親会後の記念撮影。ここに来ていない人もいるので、やっぱりかなり参加者が多くなったな~と思いました。

こちらが、熊本市内中心部の会場を借りて行われた2日目の環境フォーラムの様子。関係者だけでなく、一般市民や高校生のみなさんもいらっしゃって、かなり盛会でした。

これだけの集客になったのは、やはり環境共生学部教授で、現在熊本県立大学の学長をなさっている堤先生の講演があったからかなとおもっています。なぜ有明海のアサリが獲れなくなったのかについて、たいへん詳しく説明してくださり、私もたいへん勉強になりました。

3日目も朝からびっちりと研究発表でした。この日は、うちの研究室から以下の発表が行われました。

●みわちゃん:沿岸水移流に伴う黒潮域の動物プランクトン現存量・生産力・群集組成の変動

●ほのか:北部薩南海域から黒潮域へのマイワシ仔魚輸送経路と餌分布
●ゆうた:黒潮域の餌環境に対する魚類初期成長の適応


●なおちゃん:黒潮域における動物プランクトンおよび仔魚の脂肪酸組成

やっぱり、大学院生ともなると国際誌で発表できるくらいの重厚さがあり、説明も非常にわかりやすかったです。なおちゃんの修士論文はすでに以下の学術誌で発表されました。

Kobari T, Kominato N, Ishimaru L, Kodama M, Kume G, Hanai M, Nitta A, Kabeya N (2026): Fatty acid contents and its compositions of mesozooplankton community in the Kuroshio Current and neighboring waters. Progress in Oceanography 240, 103598. 

 

 

研究集会終了後に記念撮影。今回は、かなりいそがしくて学生さんたちと一緒の飲み会できず、とても残念でした。今月は忘年会をする予定なので、そこで新卒論生たちも迎えておしゃべりしたいとおもいます。

 

 

こんばんは。主宰です。

 

日本海洋学会には、九州沖縄地区で構成される西南支部があります。西南支部に所属する日本海洋学会員は、黒潮域とその周辺海域における海洋学に関する研究に従事しているため、情報交換の機会としてシンポジウムを開催してきたと聞いています。九州沖縄地区のどこかで交替しながら開催しており、今回は沖縄で5年ぶりの開催となったとのことです。

今回のシンポジウムでは、おふたりの招待講演がありました。おひとり目は、水産研究・教育機構長崎庁舎(旧西海区水産研究所)の佐々さんです。魚類の生活史・生態研究では世界的に著名な研究者で、非常に多くの論文を発表されています。うちの研究室でも、佐々さんの論文はあちこちで参照しなければならないほどで、論文の多くは教科書みたいなものです。今回は、たいへんありがたいことに、これらの研究レビューをしてくださいました。論文を読めばわかるとおもいますが、かなり丁寧な標本分析・データ解析によるもので、学生たちにはよいお手本となる論文です。現在、ハダカイワシに関する共同研究を企画しており、今後も佐々さんにはいろいろとお世話になりそうです。

おふたり目は、東京海洋大学の長井さんです。サブメソ~メソスケールの擾乱による栄養塩供給機構を世界的にリードしている研究者で、近年かなり多くの論文を発表されています。やはり、うちの研究室では教科書のように引用させてもらっているものが多く、これらの研究成果をレビューしてくださいました。九州南方海域には様々な栄養塩供給機構がありますが、どのメカニズムが一番影響力があるのかをまとめてくださり、私の中では混沌としていた情報が整理され、たいへんありがたかったです。鹿児島大学練習船かごしま丸では、かなり多くの観測を一緒にやってくださっており、お馴染みの研究室でもあります。将来的には、プランクトンを画像解析して物質量に変換し、モデルシミュレーションとの融合を目指すようなことを共同研究として我々と一緒にやっています。

うちの研究室では黒潮パラドックスに関する研究を行っているので、かねてよりこのシンポジウムに参加するようにしてきました。今回も3人の学生を同伴して、研究室代表として発表してもらうことにしました。

最初はみゆちゃん。異なる餌環境に分布する仔魚の成長様式について、海域間比較してもらいました。こういう機会で発表してもらうと私も客観的にみれるので、プレゼンテーションの弱点が明確になり改善策も考えらえれてよかったです。

次はほのか。餌と仔魚のマッチ・ミスマッチ問題について議論する内容を発表してもらいました(画像がなくてすみません)。このシンポジウムに来ている人たちにとって中心的な話題なので、どのようなコメントがもらえるのかたいへん期待していました。やはりそのような質問がきたので、結果については熟慮しなければならないとおもいましたし、現在投稿中の論文ネタでもあるので、いずれ改善しようとおもいます。

最後はつむちゃん。モジャコ漁スマート化技術の社会実装に関するアンケート調査結果をまとめてもらいました。西南支部では、近年、水産業のスマート化技術開発に関する研究に取り組んでおられるかたが多くいらっしゃいます。そのため、この機会にいろんなご意見をいただけるのではないかとおもって発表してもらいました。私の指導のせいで情報過多な発表になってしまい、聴衆のみなさんには理解できなかった部分もあるかもしれません。ですが、いくつかの質問をいただいたり、シンポジウムが終わってからコメントをいただけたのでたいへんありがたかったです。

シンポジウム終了後には、東京海洋大学の長井さんと少々研究会議をしました。いつも私が担当している乗船実習で曳航観測をしてくださっており、今年の観測に関する情報交換、来年度の観測計画などについて協議しました。また、来年度には新たなテーマで研究費申請しようとしており、その際には長井さんの技術が必要なので、共同研究の可能性について協議させてもらいました。時間がなかったので途中までとなり、またどこかで相談したいとおもいます。

シンポジウム終了後には、那覇市内の沖縄料理を提供する居酒屋さんで懇親会となりました。さすが郷土料理を提供するお店なので、地魚をふんだんに使った刺身盛り合わせが出てきて感動しました。その他にも、沖縄でしか味わえない料理が満載で美味しかったです。懇親会も半ばになると、席を移動してあちこちでお話しするようになり、いろんな方々とおはなしできました。学生たちもいろんな方々とおはなししたみたいでよかったです。

終盤には流しのかたが登場して、とても盛り上がりました。沖縄って楽しい。でもそれ以上に、研究成果発表してそれに対してコメント・アドバイスをいただけるのはとてもありがたい。学生さんたちに発表してもらってありがたかったです。

 

こんばんは。主宰です。

 

さて、沖縄沿岸域サンプリング第2弾です。

沖縄本島では交通渋滞がひどいと聞いていたので、島内移動には相当な時間を使ってしまうだろうと想定し、朝7時に出発することにしました。

沖縄は太平洋と東シナ海にはさまれているので、採水地点は太平洋側で2地点、東シナ海側で2地点としていました。第1日目は沖縄南部での採水だったので、第2日目には沖縄中部と設定していました。第3地点は、宮城島の太平洋に面した宮城のふ頭です。やっぱり朝の渋滞に引っかかってしまい、ここまで来るのに2時間以上もかかってしまいました。採水・画像撮影まではわりと早く済ませることができましたが、港で地元のおじさんからいろいろと質問され(客観的にみると怪しげなことをしているように見えるのかもしれません)、なんだかんだで1時間ほど滞在してしまいました。

次の採水地点までは西へ向かうのですが、その途中に勝連城跡があります。世界遺産に登録されている史跡ですので、通り道でもあるので記念撮影だけしました。以前、ここに来たことがあるのですが、その時には城跡まで入場しても無料でしたが、今回は有料でした。先の採水もあるので、今回はここまでとしました。

沖縄の東端から西端まで30分で行けるさ~ってさっきの地元のかたがおっしゃってましたが、ググってみると2時間弱くらいはかかりそうです。そのため、先に早い昼飯をとることにしました。

昨日も良い仕事をしてくれたので、今回も学生たちに決めてもらいました。今回訪問したのは、まるち北谷店です。ここも地元の方々しか来なさそうな感じでしたが、平日なのに駐車場待ちがでるほどの人気店みたいです。ちょっとだけ待って、入店することができました。

こちらのお店では麺の種類だけでなく、味付けも選べるみたいで、私はちぢれ麺のこってりをお願いしました。これもまた、かなり美味い。沖縄そばってあんまり違いがないようにおもっていましたが、だいぶ昨日のものと違います。でも、共通しているのはどちらもしっかりとかつお出汁が効いてるってことですね。お腹もいっぱいになったので、次の採水地点へ向かいました。

次の採水地点は宮城海岸です。ここは、海水浴場ではないのですが、ダイビングスポットとなっているみたいです。ここら辺にいる方々は多国籍で、どうも近くにお住まいの方々はそういった方々多いみたいです。漁港みたいなところがなかったので、バケツを遠くに投げてもらって採水しました。

なんだかんだで、もう午後も半ば。近くの公園を探して、機材を洗ったり画像データを整理しました。帰路は渋滞にあわずに那覇市内まで戻ることができました。翌日からは西南支部シンポで発表・会議だけですし、また来週熊本への往路で採水があるので、調査機材を宅配業者に依頼して配送してもらい、レンタカーを返却しました。

市街地まで徒歩で戻る途中、道すがらの露店で島バナナを販売。ほのかが食べたい!ということで、ここで島バナナを賞味することにしました。私は経験があるのでたべなかったのですが、学生たちは酸味があって美味しい!ということでした。

市街地にもどったらすっかり夜。夕飯は、せんべろの聖地巡礼ということで足立屋久茂地店へ来店しました。イタリアンなおつまみのセンベロでびっくり。インスタで報告していますので、そちらでご堪能ください。ホントに安くて品質が良くて、かえって私がお店の心配をするほどでした。さすが食欲のある若者なので、かなりいろいろいただき満足。

そんな中、堤さんはもう来てるんじゃない?という話になって、堤さんと違う店で合流。公設市場裏のせんべろ天国酒場へお邪魔しました。水圏科学分野の海洋環境グループを卒業した石川くんも来て、だいぶ盛り上がりました。社会人になってだいぶ落ち着いた感じはありますが、飲むと石川くんの片鱗が垣間見えて楽しかったです。

 

さて、明日からは研究発表・研究会議。酔いをしっかりと醒まして、面白く勉強したいとおもいます。

こんばんは。主宰です。

 

沖縄の琉球大学で日本海洋学会西南支部シンポジウムが開催されたのですが、出張旅費を節約するためにこの機会を使って新卒論生・新修論生の研究に必要な標本採取もすることにしました。今年から、うちの研究室ではフロースルー顕微鏡とウェブアプリケーションを使った、プランクトン画像撮影・解析に関する研究を実施しています。この研究を継続するには新たな標本が必要だったので、鹿児島沿岸域とは明確に異なる沖縄沿岸域で標本を採取することにしました。

今回は、シンポジウムで発表する学生3人をサポート役として連行しました。鹿児島から沖縄への始発便に搭乗し、沖縄へ到着。やっぱり沖縄はあったかいです。あらかじめ宅配便で送付しておいた調査機材を回収し、レンタカーを借りてすぐさま第1地点まで向かいます。ただ、正午をすでに過ぎていたので、途中で昼飯を食べることにしました。

ここは第1地点の途中にあった沖縄そばの玉屋さん。学生たちに探させて決めてもらいました。観光客はまったくおらず、地元の方々だけが来る食堂のようです。

このお店大正解。あっさりとしてますが、カツオだしがしっかりと効いた沖縄そばでした。以前かごしま丸で沖縄寄港して以来、私は沖縄そばの虜。かなり満足しました。

さて、早速第1地点の安座間港へ向かいました。ここは、近くの島まで向かうフェリー港になっているみたいです。

採水して、大型粒子を除去し、さらに小さなメッシュで逆ろ過して、20~200マイクロのプランクトンだけになるように濃縮した標本を作製します。以前、けんちゃんとてらちゃんと一緒にやったのですが、すっかり忘れてしまっていてかなり試行錯誤しました。

この標本はフロースルー顕微鏡に流し込み、画像撮影をさせます。車のエンジンをかけてコンバーターで変換した電力を使ってフロースルー顕微鏡を動かします。ただ、エンジンを動かしているせいで車の微妙な振動が画像撮影時に影響するみたいでした。そのため、こうやって手にもってもらいながら画像撮影することにしました。専門家におたずねしたところ、電源バッテリーを使ってフロースルー顕微鏡を駆動させているようで、次回からはそのようにすることにします。

その後は、パソコンで撮影された画像を確認し、撮影された画像の中にある粒子ごとの画像にするための処理(セグメンテーション)をします。ここで問題発生。これまでに大量に撮影された画像でメモリがいっぱいになってしまい、これ以上の処理ができないことが判明しました。すぐさま、この機械を使っている卒論生に連絡し、どの画像が不要なのかたずねて削除して問題解決しました。研究室では、公共の機器・パソコンではよくこういったことが起こります。公共に使用するからこそ、各人が責任をもって整理してほしいのですが、散らかるのが現状です。こういうのを「共有地の悲劇」と呼んでおり、学生には常日頃からちゃんとしてねとお願いをしています。

さて、だいぶ第1地点で時間をとられてしまい、第2地点の与根漁協に急いで移動。17時頃に到着したのですが、なんと18時には閉門するということで大急ぎで作業開始。

すっかり陽が傾きつつあり、夜になるとプランクトン組成もかわってきてしまうので、大急ぎで採水・画像撮影・画像処理をしました。第1地点で苦労したので、第2地点ではだいぶ効率よく進めることができました。学生たちの要領の良さに感謝です。どうにか閉門前に終了できました。

この日は、まだホテルにチェックインすらしていなかったので、学生たちをホテルへ送り届けて解散となりました。その日の晩には、いろいろなところで食事したいみたいなので、その内容はインスタをどうぞ参照してください。