クルト・ザンデルリング没後10年という今年2021年はザンデルリングの名演がどんどんSACDハイブリッド仕様で蘇っている。後日代表作である2種類のブラームス交響曲全集などを取り上げたいところ。また、ラフマニノフ交響曲全集も詳しくみていきたいと考えている。ザンデルリングはファンが多い指揮者の一人でもあるため、今回のような高音質での復刻は多くの人々に喜ばれることだろう。
ボロディン交響曲第2番、第1楽章冒頭から力強さを大きく感じる。元々はオペラに使用するために作られた素材をこの曲に転用した作品という点もあるためか、比較的聴きやすい。演奏時間も長くない。今回注目したい点としては、ドイツサウンドのロシア音楽という部分。豊かで奥深い音色と鋭さを秘めたSKD(シュターツカペレ・ドレスデン)のダイナミック・サウンドがボロディン作品に合っている。この時期のザンデルリングはロシア音楽をいくつか録音しているため、より表現もぴたりと当てはまっている。個人的には金管楽器、特にトランペットの音色がどこかロシアのオーケストラに近いものを感じたため、よりマッチした印象だった。
ボロディン交響詩「中央アジアの草原にて」、ロシアと東洋の融合こそこの曲の姿である。それぞれの主題が対話しながら演奏されていく美しい曲となっている。一度この曲は大学時代に演奏している。シンプルながら面白い曲という認識をしていた。ドイツオーケストラの音色がまたアクセントとなってよりこの曲を引き立てている。
フランク交響曲 ニ短調、前回クレンペラーによる同曲の演奏を聴いてからというもののもう何回聴いたかわからない。今一番個人的にきている曲となったフランクの交響曲。大学3年時の定期演奏会のメインの候補としてマーラーの交響曲第4番、ブルックナーの交響曲第8番と名前が上がった際に聴いたのが初めてだった。直近で聴いたのがクレンペラー盤なので、より今回の演奏と違いが出てくる。クレンペラー盤は割と重めのテンポだが、ザンデルリングは速めの印象。それによって勢いが増した演奏となっている。ダイナミック・レンジの幅広さも特徴で、金管楽器の咆哮は聴き手の身体を貫くかの如く破壊力を備えている。
今回のボロディン、フランクの交響曲を取り上げて3月に発売された「Berlin Classics SACDハイブリッド化プロジェクト」は取り上げ終わった。毎回タワーレコード企画で発売するSACDシリーズには驚かされたばかりだが、その都度楽しみながら聴いている。19日にはベームのベートーヴェン交響曲第3番、7番とブラームス交響曲第1番、リヒターのバッハマタイ受難曲、マゼールのブルックナー交響曲第5番が「ヴィンテージSACDコレクション」で復刻している。こちらに関してはまた後日取り上げていきたい。今後もザンデルリングの名盤が一つでも多く良質な音質で蘇ってくれることを願いたいと思う。
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