みなさんこんにちは😃今年没後10年となるクルト・ザンデルリング。ラフマニノフやショスタコーヴィチなどのロシア音楽やブラームスやブルックナーなどのドイツ音楽を得意とした指揮者で、今日までに多くのクラシックファンに愛されている20世紀後半を代表する指揮者の一人です。そんな本日は、3月17日にタワーレコード企画の「ベルリン・クラシックスSACDシリーズ」で復刻されたクルト・ザンデルリングとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナーの交響曲第3番「ワーグナー」を取り上げたいと思います。今回の演奏はザンデルリングによる初期録音の一つで、貴重な演奏として知られています。重厚的なブルックナーの世界をみていきましょう。
「クルト・ザンデルリング指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団」
ブルックナー作曲:
交響曲第3番「ワーグナー」(1899年版)
ザンデルリングはブラームスの交響曲全集を2種類完成させているが、ブルックナーの録音に関してはそこまで多く残していない。今回の3番を除き、4番と7番くらいである。今回の演奏は1963年録音のもので、ノイマン時代へ受け継がれているものの、コンヴィチュニー時代の名残がまだ残っている貴重な演奏である。その中でもザンデルリングによるより深みのあるブルックナーを堪能することができる素晴らしい名盤となっている。
第1楽章、慎重な空間から始まり、徐々に曲のダイナミクスも広がっていく。盛り上がりになると壮大なブルックナーの交響曲が幕を開けた瞬間を聴くことができるだろう。コンヴィチュニー時代の音色が残りつつも、ザンデルリングによる深い解釈がされている演奏は他には中々なく、耳が肥えたブルックナーファンやクラシックファンのみなさんなら間違いなく納得のいく第1楽章となっているはずだ。
第2楽章、緩徐楽章に入り、牧歌的な空間が始まる。ここでも深みのある音色は変わらず、低弦を中心とした厚みのある演奏を堪能することができる。当盤を聴いたのは仕事帰りだったが、疲れた身体に癒しを与えてくれるような深みのある音色に思わずリラックスしてしまった。
第3楽章、重厚的な音色での躍動的なスケルツォが始まる。キレのある弦楽器と金管楽器によって先導され、第4楽章へ切り替えるための流れが上手く構築されるようになっている。トリオに入るとテンポは若干落ちるものの、木管楽器による牧歌的な音色が安らぎを与えてくれる。
第4楽章、ずっしりとした重心低めのテンポで始まる第4楽章。ここまで作り上げられた音響と音色が混ざり合い新しい宇宙が誕生した瞬間を演奏から感じ取ることができる。こんな演奏は中々聴くことができないだろう。個人的にいえばブルックナーの交響曲第3番はカール・ベームやアーノンクールによる演奏をよく聴いてきたが、ザンデルリングの演奏も面白く、曲全体の作りがしっかりとしているので最後までたっぷり聴くことができるので、これはオススメしたい演奏だ。
クルト・ザンデルリングのドイツ音楽同時期の同じ曲の録音よりも深みがある演奏で、ファンも多い。晩年期の演奏は特に人気があるが、今回の初期録音のブルックナーも中々聴きがいのある演奏だったことは間違いない。今回発売された「ベルリン・クラシックスSACDシリーズ」での復刻されたものは残り一つとなった。そちらに関してはまた近いうちに取り上げたいと思う。