第768回「ティーレマン&ウィーンフィルによるブルックナー・チクルス第2弾、交響曲第3番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは先日発売されたティーレマンとウィーン・フィルによるブルックナー・チクルス第一弾の交響曲第8番に続くブルックナー・チクルス第二弾、交響曲第3番「ワーグナー」です。こちらも通常CD盤とBlu-spec CD2盤の2種類が発売されており、多方面から好評の声を聴いています。今回はそんなティーレマンとウィーン・フィルのブルックナー交響曲第3番「ワーグナー」をみていきましょう。


「クリスティアン・ティーレマン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」


ブルックナー作曲:
交響曲第3番「ワーグナー」




 ブルックナーがワーグナーに献呈したことから「ワーグナー」という名前で呼ばれているこの曲。この後の交響曲第4番「ロマンティック」に並びブルックナーの交響曲の中では後期三大交響曲以外で人気のある作品とされている。ベームとウィーン・フィルによる演奏が特に注目されており、長年それが決定盤となっている方が多いと思う。ちなみに私はアーノンクールとコンセルトヘボウ管による1877年第2稿ノヴァーク校訂版が好みだ。そんな今回、ティーレマンとウィーン・フィルはアーノンクールと同じ1877年第2稿ノヴァーク校訂版を演奏に使用している。


 第1楽章、スケルツォ楽章に引けを取らない躍動的な始まり方である。テンポに関してはやや速めで、細かいテンポチェンジを繰り返していく演奏だが細部まで細かく作り込まれたティーレマンとウィーン・フィルのサウンド、ダイナミック・レンジの幅広さ、オーケストラの統一された音色など聴きやすい部分を多く兼ね備えている。録音状態も非常に良く、弦楽器のみで奏でられた部分は特にいい。透明度の高い音色は、まさにこの曲を演奏するべくしたウィーン・フィルのためのものと感じるだろう。


 第2楽章、アンダンテ楽章つまりは緩徐楽章となるのだが、わりかし快調な足運びで演奏は進められていく。全面的に感じさせているわけではないが奥に牧歌的な味わいが隠されており、聴き手を心地良い場所へと誘っていく。バランスと調和がもたらされた最高のサウンドをこの演奏で聴くことができるだろう。


 第3楽章、スケルツォ楽章となりオーケストラ全体にキレ味がより増す形となる。これまで溜めてきた推進力とエネルギーがここで放出され、来る第4楽章に向けて舵が切られている。アーノンクールとコンセルトヘボウ管が演奏した時の同じ1877年第2稿ノヴァーク校訂版を使用しているため追加されたコーダがより第4楽章へと続く道を確実なものとしている。「A→B→A」それぞれの音色の切り替えにも注目していただきたい。


 第4楽章、第3楽章で放出されたエネルギーが功を奏し、より輝かしく最高潮のテンションで始まる。少しすると落ち着いたかのようにテンポが落ち、また冷静を保とうとする。最終的には誰も文句の言いようがない圧巻のフィナーレを迎える終わりとなっており、後期三大交響曲にも匹敵する素晴らしい作品と感じることができる。まだあまり使用されていない1877年第2稿ノヴァーク校訂版だが、ベームとウィーン・フィルが録音した名盤を超える凄さがこの演奏にはある。


 今回の演奏は2020年11月28,29日のムジークフェラインザールにて行われたウィーン・フィル定期演奏会でのライヴ・レコーディングである。ネットではライヴ映像が見れたはずだ。ブルックナー生誕200年である2024年に向けて始まったばかりのティーレマンとウィーン・フィルによるブルックナー・チクルス。今後の展開が気になると同時に、このチクルスは間違いなくこれまでのブルックナー像とは違う新しいブルックナー像を見せてくれると感じている。これこそまさにビックバンである。続きが待ち遠しい。


https://tower.jp/item/5166732/ブルックナー:交響曲第3番%5b1877年第2稿・ノーヴァク版%5d