【報告】「どうするアンポ」上映~山口響さんグアム報告
【報告】
「どうするアンポ」上映会~グアム現地調査報告を交えて
山口響さん報告
5月14日、「『どうするアンポ』上映会~グアム現地報告を交えて」が行いました。
最初に、DVD「どうするアンポ~日米同盟とわたしたちの未来」を上映しました。DVD『どうするアンポ~日米同盟とわたしたちの未来~』(日本電波ニュース社)は、日米安保条約の成り立ちから現状、問題点などを、辺野古・高江・岩国・厚木・横須賀などの現地取材やインタビュー、アニメ解説、過去のアーカイブなどを通してえがいた作品。本編45分。時間の関係でこの日は上映できませんでしたが、街頭インタビューなどの特典映像も面白いです。
続いて2月に市民調査団の一員として海兵隊移転に関するグアム現地調査を行ってきた山口響さん(ピープルズ・プラン研究所)が報告「海兵隊グアム移転と海兵隊の「抑止力」を考える」
山口さんは2月にグアム現地で撮影してきた写真を映しながら報告を行った。海兵隊グアム移転の動きと「抑止力」について報告。「米軍再編とは、要するに日本の税金でグアムと辺野古に新基地を造ること」と指摘した。
「06年5月米軍再編ロードマップ、07年米軍再編推進法、09年グアム協定とグアム移転の動きが進められてきた。ロードマップでは沖縄海兵隊の八千人と家族九千人が移転するとされた。米軍再編推進法は、再編協力自治体には進捗状況に応じて再編交付金を出す。推進法の後半がグアム関連でJBICから特別融資を行わせるための法的枠組みを作った。グアム協定ではグアム移転のための上限二八億ドル負担などを日本の条約上の義務として再確認した。日本政府は「移転完了」とされる2014年をめざして、グアム移転資金を既に出し始めた。09年度予算350億円。2010年度予算は468億円。
順調進んでいるかに見えるが、グアムでの環境アセスメントは終わっていない。09年11月、米海軍省が環境アセス評価書素案「グアムと北マリアナ連邦の軍移転」を出した。沖縄海兵隊のグアム移転、空母一時寄港埠頭の造成、陸軍対空・ミサイル防衛任務部隊の配備の三点からなる。しかも、素案は全部で一万一千ページもある。
現地住民は海兵隊移設へのいくつもの懸念を挙げている。問題点の第1は民主的な手続きの無視。頭ごなしに決定が行われている。第2は基地のための土地収用。第3はアプラ海軍基地での放射能漏れ。第4は訓練場の整備、米軍住宅建設、ハイウェー建設などによる自然破壊、水資源収奪。第5に生活インフラ、公共サービスの問題。第6に不動産高騰など経済生活面の悪影響。第7に観光業への影響。
「在沖海兵隊に抑止力があるのか」を検討すると、マスコミや政府は「北朝鮮・中国の脅威」を不動の前提にしている。相手を「脅威」と名指しするには「能力」「意思」「国際環境」の三条件がそろわねばならない。実際に想定されている4つのシナリオを具体的に検討すると、現実性がないことがわかる。
日米安保では『有事』の際に米軍がどう動くかは米軍に任されている。そもそも沖縄海兵隊は紛争初期に投入される部隊ではなく、普段はイラク・アフガン戦争への参加と演習のために沖縄にはいないことも多い。海兵隊が沖縄にいる軍事的、地政学的必然性はない。
それでも沖縄・日本にいるのは、日本の「政治的安定性」=文句を言わない。財政的理由=思いやり予算が理由。沖縄にいる根拠が乏しいなら、グアムにいる根拠も乏しい。海兵隊は少なくとも米本土に撤退できる」
質疑応答では、沖縄に基地を置き続けたい日本の防衛・外務官僚側の事情などの質問が出されました。
「どうするアンポ」上映会~グアム現地調査報告を交えて~
≪上映会≫
「どうするアンポ」上映会
~グアム現地調査報告を交えて~
●上映作品 『どうするアンポ ~日米同盟とわたしたちの未来~』
●日時 5月14日(金) 午後6時15分開場6時半開始
●お話 グアム現地調査から見えた日米安保
山口響さん(ピープルズ・プラン研究所)
●会場 文京シビックセンター地下1階学習室
東京メトロ南北線・丸の内線「後楽園駅」徒歩1分○都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分○都営バス「春日駅前」徒歩0分○JR総武線「水道橋駅」徒歩8分
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html
http://www.b-civichall.com/access/main.html
●参加費 800円(会員500円)
【主催】国連・憲法問題研究会
連絡先 東京都千代田区富士見1-3-1 上田ビル210工人社気付
℡ 03-3264-4195 fax 03-3239-4409
http://ameblo.jp/kkmk-blog
URL http://www.winterpalace.net/kkmk/
kkmk@winterpalace.net
◆今年は「60年安保」から50年となります。「普天間基地問題」で迷走する鳩山政権は、5月までに「移設先」を決定するとして、再び沖縄・名護市辺野古に米軍基地を押し付けようとしています。
さらに日米政府は今年、日米同盟を「深化」させるとして政府間協議を進めています。 そこでは米軍が存在し続けることは疑うことが許されない前提とされています。しかし、そもそも米軍、そして安保は必要なのでしょうか?
当たり前の存在として扱われている安保の問題を全国でのインタビュー、アニメなどで解説したDVD「どうするアンポ~わたしたちの未来」を上映します。
また、2月に市民調査団の一員として海兵隊移転に関するグアム現地調査を行ってきた山口響さん(ピープルズ・プラン研究所)に「グアム現地調査から見えた日米安保」をテーマに話していただきます。 (10年3月)
≪DVD『どうするアンポ~日米同盟とわたしたちの未来~』≫
日米安保条約の成り立ちから、現状、その問題点などを、辺野古・高江・岩国・厚木・横須賀などの現地取材や過去のアーカイブなどを通して描いた作品。本編45分。日本平和委員会/日本電波ニュース社
【報告】半田滋さん講演会 安保50年の「日米同盟」を読み解く
2月8日、講演会「安保50年の「日米同盟」を読み解く 普天間問題・米軍再編の行方」を行いました。珍しいことに6時半ぴったりに始まり、9時ちょうどに終わりました。
講師は2回目の半田滋さん(東京新聞編集委員)。前回は4年前に米軍再編ロードマップ(「最終報告」)について(報告39集「スッキリわかる『米軍再編』」収録)。
半田さんの演題は「迷走する普天間問題 日米安保を問う」
半田さんの講演
昨年12月9日東京新聞に執筆した記事に書いたとおり、米軍再編での米第一軍団司令部の座間移転という日米合意が米側の都合で変更されている。
座間移転した第一軍団フォワードは専従要員3人で戦時の四軍統合指揮権限を持っていない。
もうひとつ、米軍は第5空軍をなくしたいと米軍再編協議で提案し、在日米軍が日本防衛のためではないことが明らかになるのは困ると日本側の要請で残ることになった。
だが、第5空軍は司令部要員などの削減が続き、看板だけの司令部になっている。去年、三沢基地のF16をなくしたいという話もあった。
第一軍団と第5空軍で、米側が米軍再編合意を守ってないのに、なぜ普天間だけ日本側に合意履行を迫ることができるのか。
「日本周辺に差し迫った脅威はない」と米軍も防衛省も認めている。なぜ在日米軍が必要なのか。
沖縄の米軍基地とは何か。嘉手納基地は米軍基地でも別格。F15二個飛行隊など約100機が常駐している。
「沖縄返還」時の久保・カーチス協定で、嘉手納基地を守るように配備されていた地対空ミサイル基地を自衛隊がそのまま引き継いだ。海兵隊基地についてこのような合意はない。嘉手納は虎の子と基地だと解る。
その中で、普天間にいる海兵隊第3海兵遠征軍(3MEF)は中途半端な存在。17万人中、沖縄には実数で1万2千人のみ。陸上部隊はキャンプ・ハンセン(5千人)の第12砲兵連隊とキャンプ・シュワブ(3千人)の第4歩兵連隊。キャンプハンセンの部隊は海外展開の部隊。
続いて、半田さんはSACOから政権交代までの普天間問題の経過を改めて述べた。
メガフロート案など辺野古基地案に県内、本土、米国のゼネコン、兵器産業、造船、鉄鋼会社が群がった。
シュワブの歩兵部隊の襲撃するための船は佐世保にいる。辺野古の滑走路が作られて、岸壁が造られれば辺野古は完璧な出撃基地になる。
計画をよく見れば、辺野古への基地建設は「普天間移設」ではなく、基地の強化。
政権交代後の鳩山政権も、「普天間」をめぐり、鳩山政権は迷走している。
北沢俊美防衛相は政権発足後、ブレずに辺野古沖移転を支持している。岡田は当初嘉手納統合案だったが、ライス、ルースに言われてぶれた。11月30日、鳩山首相が仲井真知事に「12月15日までに決断」と明言。福島の「重大な決意」で5月まで先送りされた。
移転候補地として過去に挙がった「北海道の苫東」「九州の築城、新田原」「大村基地」「相浦駐屯地」など次々挙がっているが、地元合意だけでなく、周辺環境やインフラ整備がネック。
第3海兵遠征軍からイラクに派遣されている。
ファルージャ攻防戦には沖縄の海兵隊2200人が投入され、50人が戦死し、220人が負傷した。
見逃せないのは北部訓練場の存在で、世界で唯一のジャングル演習場。米本土の第1、第2海兵遠征軍から半年交代で第3に派遣され、ジャングル演習場で訓練している。
現在、沖縄の海兵隊は、イラクやアフガンに派兵され、定員(1万8千)より少ない12402人、家族は7598人(08年9月現在)。
「米軍再編」での海兵隊8000人のグアム移転というのは、1万8千マイナス8千で1万人沖縄に残るという話だと思っていた。最近の話だと1万2千-8千=4千人らしい。
これが本当だとすると、「抑止力ってなんだよ」という話だ。
在日米軍が日本列島にいるのは思いやり予算がもらえて米本土より安上がりで、日本の税金(思いやり予算)で雇っている米軍従業員2万人の修理などの技術水準は高いし、治安がいいから。
そして、何よりもアジアの端にある日本列島が出撃基地として便利だからいるだけ。
ベトナム戦争以来、在日米軍が何度も日本列島から出撃して行ったが、安保条約で定められた事前協議は一度も行われていない。
それでも日本は日米安保によって、基地でもお金でも何でも米軍に提供している。
民主党政権になって何か変わったのか?この状況で5月には改憲国民投票法が施行される。
「安保50年」だが、脅威がない中、在日米軍が必要なのかどうかを問い直さないといけないのではないか。
質疑応答では
岩国、座間、グアム移転など米軍再編の現状、中国の台頭をどう見るか。抑止力とは何か。米軍はそもそも必要なのか。この現状をなぜ大手マスコミは書かないのかなど様々な質問、意見が出されました。