【半田滋講演会】安保50年の「日米同盟」を読み解く~普天間問題・米軍再編の行方
≪国連・憲法問題研究会講演会≫
安保50年の「日米同盟」を読み解く
~普天間問題・米軍再編の行方~
●講師 半田滋さん(東京新聞編集委員)
●日時 2月8日(月) 午後6時半~
●会場 文京区民センター
(春日駅・後楽園駅・水道橋駅下車)
http://www.cadu-jp.org/notice/bunkyo_city-hall.htm
http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1754
●参加費 800円(会員500円)
【主催】国連・憲法問題研究会
連絡先 東京都千代田区富士見1-3-1 上田ビル210工人社気付
℡ 03-3264-4195 fax 03-3239-4409
http://ameblo.jp/kkmk-blog
URL http://www.winterpalace.net/kkmk/
kkmk@winterpalace.net
◆「60年安保」から50年の今年、「普天間基地」問題が大きな政治焦点となり、鳩山政権から「日米同盟の深化」が語られています。沖縄の名護市辺野古に米軍基地を建設することが日米関係の前提であるかのような論調が流され、鳩山政権は5月までに「普天間移設先」を決定するとして、「県外は困難」という閣僚などの発言が相次いでいます。しかし、昨年の総選挙で沖縄の民意は「県外移設」をはっきりと支持しました。民意を無視した「同盟関係」が持続できるでしょうか。
また、米側がパッケージとしてきた「米軍再編」自体が一部変更されていますが、日本側からこのことを取り上げた気配はありません。鳩山政権は、政権交代後、核密約問題の調査に着手しましたが、政府が長年市民を欺いてきたことを問題にするのなら、軍事に偏った「日米同盟」のあり方自体を問い直していく必要があるのではないでしょうか。
前回、「米軍再編」について講演していただいた半田滋さん(東京新聞編集委員)に、鳩山政権の安全保障政策、沖縄米軍基地問題、日米安保の行方について現場取材に基づくお話をうかがいます。
【半田滋 (はんだ・しげる)さん プロフィール】
1955年栃木県生まれ。東京新聞編集委員。1993年、防衛庁防衛研究所特別課程修了。
992年より防衛庁取材を担当し、現在まで異例の長期にわたり、自衛隊の「表」と「裏」を見続けてきた。米国、ロシア、韓国、カンボジア、イラクなど自衛隊の活動にまつわる海外取材の経験豊富。新聞や雑誌、専門誌に関連論考を多数発表している。
著書に『自衛隊VS.北朝鮮』(新潮新書)、『闘えない軍隊~肥大化する自衛隊の苦悶』(講談社+α新書)、「『戦地派遣』 変わる自衛隊」(岩波新書)
報告第47集「裁判員制度は本当に必要か?」発行
国連・憲法問題研究会報告第47集発行
裁判員制度は本当に必要か?
司法制度「改革」への疑問
宮本弘典
2009年10月発行
■09年5月、市民参加をうたった裁判員制度が開始され、8月から全国で裁判員裁判が行われている。宮本弘典さん(関東学院大学教員)が裁判員制度をはじめとする司法制度「改革」の背景・現状、「絶望的な」現在の刑事司法の実態について講演。進められる司法制度「改革」は「密室司法・人質司法」である現在の刑事司法を「市民参加」の美名で正当化することにしかならないと批判。B5版52頁
◎目次
司法市場開放のための「改革」/「やらせ」で演出された賛成論/裁判員制度の対象事件の政治的セレクション/市民に忠誠義務を科す裁判員制度/格差社会で裁判員になれるのは?/死刑は増えるのか/「ウソ」を書くと文書犯罪/絶望的な刑事裁判の現状/密室司法・人質司法の実態/敵を作り上げる国策捜査・国策裁判/事前争点整理の問題点/裁判闘争つぶしの可能性/裁判員裁判による改善はゼロ
質疑応答
アンケート
◎定価1冊 500円(送料80円)
◎ 購入申し込み
郵便振替[00160-7-48406 工人社]
*通信欄に「講演会報告第47集」と明記してください
・ 国連・憲法問題研究会
東京都千代田区富士見1-3-1上田ビル210工人社気付
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報告・鳩山政権と核の「先制不使用」~核軍縮の障害からの脱却(田窪雅文講演)
講演会
鳩山政権と核の「先制不使用」~核軍縮の障害からの脱却
講師 田窪雅文さん(「核軍縮」主宰)
10月9日、講演会「鳩山政権と核の『先制不使用』 核軍縮の障害からの脱却」が文京区民センターで行いました。講師はウェブサイト「核情報」を主宰する田窪雅文さん。
現在の核戦略見直しの中で、「核の先制不使用」に反対する日本が核軍縮を妨害する役割を果たしていることについて講演してもらいました。
田窪さんの講演は
「オバマ米国大統領が平和賞を受賞することになった。もう少し具体的な政策を出してからの受賞がよかったかもしれない。
核先制不使用とは核兵器を先に使わない考え。核抑止というのは、普通は核攻撃に対して核で報復する。アメリカで議論されているのは核の役割を限定する。つまり、核兵器で攻撃された場合は核攻撃で報復する。だから、核攻撃をするなよという脅しをかけておく。これに限定する。生物化学兵器・通常兵器による攻撃には通常兵器で報復する。(一部の考えでは、役割を限定するといいつつ、先に攻撃する恐れが若干残る。)
先制不使用は、そういうのではなく、先には絶対攻撃しない。核攻撃をかけようとしているかどうかは判断しにくい。お互いに疑心暗鬼になっていくと核戦争の可能性が高まってしまう。核兵器の場合、数発でも相手国に壊滅的なダメージを与える。それで十分。存在そのものが抑止になる。核は使われない状況になっているから、それを確認し追認する形で先制不使用を宣言し、使われる可能性を下げていく。核の有用性という考え自体をだんだんなくしていく。これが核の役割限定、先制不使用。
昔からある考えだが、冷戦後90年代初めに議論された。94年、クリントン政権の核態勢見直しは、冷戦時代の考えが延長したものになった。クリントン政権に入った学者は大幅削減を考えていたが、軍部が巻き返しをして、クリントン大統領は関与しなかった。核態勢の見直して有名なのは子ブッシュ政権で、先制攻撃を含む核態勢をとった。
オバマ政権は核体勢見直しをしている。見直しを命じた法律で、議会委員会が設置され最終報告書が5月に出された。
「日本が問題だ!」
議会委員会報告を見て、米国の活動家・アナリストが「日本が問題だ」と日本の運動に伝えてきた。
どういうことか。オバマ政権では二つのグループが対立している。一方で核態勢の見直し、核の役割限定・先制不使用を考えているグループがいる。もう一方で現状維持、核の役割強化を考えているグループがいる。
現状維持派がその理由として挙げているのが日本の姿勢。最終報告書の中で、核抑止を強化して維持すべきだと。その一つが核トマホーク維持。核トマホークミサイルは、父ブッシュ政権時代に海上配備をやめた。ソ連崩壊の中で、ソ連周辺諸国に配備されている戦術核の保安体制が崩れて、誰かの手に渡ることを父ブッシュ政権は恐れた。ロシアに核兵器を引き上げることを呼びかける。見返りとして、欧州配備の戦術核を本国に引き上げ、水上艦船・攻撃原潜の核は陸に揚げる。海に残るのは戦略原潜のミサイルだけにすると宣言。このままだと、2013年に廃棄処分になる予定。現在使える状態の核ミサイルが100発、整備し直せば配備できるのが200発。軍部の多数派はこのまま廃棄するという考え。
シュレシンジャー元国防長官は配備維持を主張している。彼は議会委員会の副委員長。委員会文書に核トマホーク維持とある。《アジアの重要な同盟国が核トマホークの配備維持を望んでいる。これを廃棄処分にすると心配することは明らかだ》とある。アジアの重要な同盟国が日本を指すのは明らか。
つまり日本が半分死んでいる原潜の核トマホークの寿命を長くしてし、原潜が日本の周辺をうろうろするようにして核抑止を機能させてくれと。そのような内容が報告書に書かれていると米国から伝わってきた。
同時に、核兵器の役割を核抑止に限るという表現に日本が反対していると。なぜ反対しているかというと、生物・化学・通常兵器による攻撃に対しても核兵器で報復してもらわないと困ると日本人は言っていると。だから、核体勢を見直すと日本が核武装するおそれがあるという主張がされている。
7月末から8月初め来日した米専門家は、緊急に日本側のメッセージがほしい。《核の役割限定に反対しない、先制不使用を支持する、アメリカがそのような核戦略をとっても日本が核武装することは絶対ない》と伝えてほしいと。政権側がそういうのが一番いいが。
日米首脳会談の直前の9月22日づけで米国の核問題専門家が両首脳宛の書簡を出した。オバマに対しては、日本が核武装するからという口実に使わないで核の役割を限定するという方針を表明してほしい。鳩山に対しては、このような方針を支持すると明確にしてほしいと。残念ながら報じたのは共同、朝日だけ。先制不使用問題の重要性がマスコミで理解されていない。
核先制使用に固執する外務省
日本は核先制使用についてどのような態度を採ってきたのか。82年、社会党の横路孝弘議員の核兵器先制使用に関する国会質問に対して、抑止とは核兵器・通常兵器一体でなされるから核兵器を先に使うという考えも含まれると答弁している。これは、アメリカがヨーロッパで旧ソ連に攻撃を仕掛けたらどうするか。当時はワルシャワ条約機構の通常戦力がNATO軍の通常戦力を圧倒的に上回っていると理解されていた。だから、核戦力で抑止するという考えがとられていた。アメリカはこの考えは東アジアでも当てはまると言っていたので、本当なのかと横路議員が質問した。
答弁は、本当だ、75年三木・フォード会談の新聞発表に、そのことが含まれていると。これは、どのような攻撃、核攻撃があっても日本は守りますよという意味合いに取れる。ところが、日本政府の説明は、これは通常兵器による攻撃でも核兵器で報復するという意味が含まれているとなっている。七五年のときから、そういう考え方はあると説明された。
90年代に先制使用という考えはいつからあるのかと外務省に聞くと、講和の時から日本は先制使用に頼っていると説明する。90年代末から現在にかけて、外務省に「核先制不使用を支持できないのか」と何度聞いても答えは同じ。《アメリカが核先制不使用という政策をとると日本の安全に責任をも持てない》と。
非核三原則を考えれば先制不使用が当たり前だと解る。三原則はつくらず、持たず、持ちこませず。つくらず、持たずについては、NPTや国内法で禁止している。問題は持ち込ませず。日本政府は他の兵器の攻撃にも核で報復してほしいといっている。それで、核兵器を絶対持ち込むなという話はないだろう
と思う。しかも、死にかけている核トマホークを蘇生措置して、原潜に装備して日本の周りをうろうろしてほしいと言っている。しかも、その役割は先制使用を含む。それで、絶対持ち込むなはないだろう。
岡田外相は核密約の調査を命じた。今見たように密約の素地は当然あった。論理として、核兵器を先に使ってほしい、核兵器を持ってない国にも使ってほしいという考え方を持っていて、日本に絶対持ち込むなとはならない。そうなると、実は持ち込んでいいという裏取引をして、密約しておかないと持たない論理構造になる。
90年代から外務省官僚と話をしてきたが、彼らの先制不使用反対の姿勢は強硬。佐野部長はえらい剣幕でそんなことしたら大変なことになると言っていた。
核軍縮妨害する日本
問題は日本の政策だけではない。いまは10月中にもオバマ政権の日本の核態勢見直しの方針が出てくる重要な時期。
オバマ政権では、見直しで核の役割を下げて、使われない兵器という考え方にたってどんどん削減していこうというグループと、それを阻止しようとするグループのせめぎあいが報じられている。既にドラフトができてオバマに送られている。年末までに文書を議会に提出する。議会委員会報告書を書いた人が国防総省に入って核態勢見直しの文書を書いている。報道によると、オバマは現状維持ではダメだとつき返している。その中で、核の役割限定、核の数量を数千から数百に下げるという方針を出せと命じている。
米国のNGOは、オバマ政権は核の役割限定に行きうると見ている。だが、それを阻止しようとするグループがいて、「そうすると、日本が核武装する」という議論をしている。
日本で普通に考えたら、日本の核武装は考えづらい。だが、日本は「核以外の攻撃にも核で報復」という立場をとっている。94年核危機のとき、米国が韓日に核放棄をすれば核攻撃しないと北朝鮮に約束したいと聞いた。枠組み合意ではその内容が盛り込まれたが、日本は反対した。《北朝鮮は生物化学兵器を持っている。北が核兵器を持たないと約束しても、核攻撃をしないと約束しないでほしい》と米国に言った。今回の核実験でも同じ態度をとった。
94年の核戦略見直しに関わった米国の元当局者は、核先制不使用にならなかったのは、そうすると日独の核武装の可能性があるという反対論があったからだと証言している。
先日、原水禁が先制不使用支持を求めて外務省に行ったが、軍事管理軍縮担当の佐野部長は、核先制不使用にしたら第二の朝鮮動乱が起こる。北朝鮮が核兵器を使ってない段階で、南に対して動いたり、日本に対して生物化学兵器を積んだミサイルを発射したら、核兵器で報復することを支持すべきだと言っていた。
そうすると、あらゆる国が核兵器を放棄しても、生物化学兵器・通常兵器が存在する限り、核報復したいと考えている日本が核武装する可能性がある。論理的にはそうなる。この論理を否定するのは、これまでの日本の政策を考えると難しい。
鳩山政権は核の先制不使用を日本の政策として発表するところには至っていない。鳩山も岡田も個人的には先制不使用を支持している。民主党の核政策の検討グループの中心は岡田。しかし、日本政府としてそういう方針をとっていると米国側に伝えない限り、現状維持派の論理を突き崩すことは難しい。
十月中には核態勢見直しの骨格が決まるといわれているので、日本政府が政府方針として「先制不使用支持」「核の役割を核抑止に限定する」を支持すると明確に伝えないと、今までの核戦略が続いてしまう。今までの考えに立って核兵器配備を継続する。核トマホークの寿命を延ばして、攻撃原潜に載せることになるかもしれない。米ロの核軍縮でも、「そうすると日本が心配する」と、核軍縮しない全ての口実に日本が使われる。
日本の運動として、核廃絶一般や核兵器禁止条約の早期締結を訴えるのはいい。それだけではなく、そういう考え方を背景に先制不使用という考えに立って、それをアメリカに強く伝えられようにしないといけない。
日本は「唯一の被爆国」で、非核三原則で核持込みに反対し、核廃絶をめざしていることになっている。実は裏では違うことをしている。外務省役人の考え方は相当強硬。外務省官僚の抵抗を乗り越えて、岡田外相が明確なメッセージを出せるような状況を運動やマスコミの側がつくらないと負けると思う。」
休憩後、質疑応答が行われ
核先制不使用の考え方についての確認、民主党議員のこの問題への意見、先制不使用支持への働きかけの必要性など様々な質問・意見が出されました。