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講演会「生活保護バッシング」から問う私たちの社会

国連・憲法問題研究会講演会
「生活保護バッシング」から問う私たちの社会



講師
村田悠輔さん
(生活保護問題対策全国会議幹事、東京自治問題研究所研究員)


日時
2012年8月4日(土)午後6時半~9時


会場
文京シビックセンター3階会議室A
(後楽園駅・春日駅・水道橋駅)
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html


参加費 800円(会員500円)


 主催 国連・憲法問題研究会
連絡先 東京都千代田区富士見1-3-1上田ビル210工人社気付
TEL/FAX 03-3264-4195
http://www.winterpalace.net/kkmk/
peaceberryjam@gmail.com




「生活保護バッシング」から問う私たちの社会


■生活保護受給者がこの3月、210万人を超えるなど、増加を続けています。その中で、芸能人の家族の生活保護受給をめぐり、受給者の「モラル」を批判する「報道」が行われ、生活保護受給者の多くが「不正受給」であるかのような「生活保護バッシング」が拡大しています。


国会議員やマスコミからは「不正受給防止」「扶養の義務化」が声高に主張され、警官OBを窓口に配置したり、生活保護費を削減する政策が進められようとしています。


しかし、生活保護受給者の増加は、モラルの低下が原因なのでしょうか。生活保護受給増加の背景には貧困層の増加があります。日本の相対貧困率は先進国でも高い16%(2009年)であり、6人に1人が貧困ライン以下の生活を強いられていることになります。貧困の拡大にもかかわらず、人口に占める受給者の比率はOECD加盟国平均7.4%の10分の1の0.7%にすぎません。

しかも、野宿から生活保護を受給した人の多くは「無料低額宿泊所」に「宿泊」することを強いられて、保護費の大部分を貧困ビジネスにピンはねされています。生活保護費削減を主張する政治家や自治体はこのような実態を見ようとしていません。


問題の根源である貧困を解決するどころか。生活保護費を削減することが解決であるかのような風潮が拡大していく。「生活保護バッシング」は私たちに何を問いかけているのか。村田悠輔さんのお話から考えたいと思います。


むらたゆうすけ 生活保護問題対策全国会議幹事、東京自治問題研究所研究員 著書に『東京をどうするか 福祉と環境の都市構想』(共著、岩波書店、2011年)。論文に「口頭による生活保護申請と行政の助言・教示義務、および保護辞退届による保護廃止処分の違法性」(賃金と社会保障1547号)「口頭による生活保護開始申請と審査請求による救済」(賃金と社会保障1523号)「口頭による生活保護開始申請と審査請求による救済2」(賃金と社会保障1553・1554合併号)など



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報告・原発事故避難問題から見える福島の現状①

国連・憲法問題研究会講演会
原発事故避難問題から見える福島の現状


5月28日、講演会「原発事故避難問題から見える福島の現状」を行いました。
講師は阪上武さん(福島老朽原発を考える会代表)。


講演の前半は子ども20ミリシーベルト基準の問題について。
阪上さんは「3・11の後は、福島に線量を送る運動を始めた。
市民が自主的に測定すると、福島市の学校の一番高い側溝が毎時108マイクロシーベルト。
現在の除染の基準が1マイクロや0.4マイクロだから、相当高い。


それで県教育委員会へ測定値を示して要請書を出し、休校を続けるように要望した。

学校再開に当たっての県側の測定で、毎時0.6マイクロシーベルト以上が福島の学校の75%だった。これで中通りの汚染状況がひどいことが判る。これは放射線管理区域に匹敵する。本来なら、放射のマークをつけて立ち入り禁止。


4月17日に休校、除染、集団疎開を求める要請書を出した。

4月19日文科省は学校の暫定基準として年間20ミリシーベルトを通達。一般人の年間被爆限度は1ミリシーベルト。原発労働者の線量基準が20ミリ。
労働者の白血病の認定基準や放射線管理区域の基準、一昔前の公衆の被爆限度が5ミリシーベルなので、20ミリシーベルトの基準にはびっくりした。


その時期、山下某が県内各地を講演して「ヨウ素剤の配布・服用は不要、毎時20マイクロでも健康影響はない。普通に暮らして大丈夫」と言っていた。


当時、市民運動の人が会場に行って山下を詰問すると、会場全体が山下をかばう雰囲気。
大丈夫だ、安心ですと言ってほしいという雰囲気があった。山下は、100ミリまで安全という立場の長瀧重信、重松逸造の弟子筋に当たる。

小佐古敏荘辞任(4月29日)もあって、20ミリシーベルト基準の問題が意識される。

その時期、私たちのブログへのコメントという形で、主に中通りから書き込みが殺到した。
ともかく話し合おうと福島市で3回集まってグループ討議をした。


5月23日、福島の人たちをはじめ650人が文部省前に集まり、20ミリ基準の撤回を求めた。

4日後、高木文科相は、年間1ミリシーベルトをめざすと事実上撤回した。


その後、解った政府側の動きでは、福島県が放射能の安全基準を示すように文科省に求めたのに対して、文科相は原子力安全委員会に見解を求めた。やり取りがあった末、文科省が20ミリ基準を通達した。

20ミリ未満については何の制限もない。
20ミリ基準決定の根拠も不鮮明。

高木文科相や鈴木副大臣はICRPの20~100ミリシーベルトの緊急基準の20ミリをとったとしている。
ICRP基準には問題があるが、それから見て問題。


しかし、文科省の20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト)の基準が出されると学校はそれを安全基準と受け止め、学校独自の校庭使用制限、部活制限が解除される。
1ミリシーベルトに近づける努力に逆行する。


そもそも文部科学省は文部省と科学技術庁を統合したもの。旧科学技術庁はもんじゅ、ふげんを進めていた。

科学技術庁時代は推進部門と規制部門が庁内にあったが、規制部門は保安院に移って、推進部門だけ文科省に残った。
文科省が20ミリというゆるい基準を決めた背景には、文科省の中に科学技術政策局があると言う問題がある。


子どもにガラスバッチをつけさせているが、市はそれ以上何もしていない。
ガラスバッチをつけた子どもの年間被ばく線量が最高で2ミリシーベルト、平均が0.何ミリと解ったら、調査を打ち切り、低減措置もとっていない。給食の問題もある。」



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報告・原発事故避難問題から見える福島の現状②

講演会
原発事故避難問題から見える福島の現状②


続いて、阪上武さんは福島市渡利地区の問題について講演。


「昨年6月、福島市が市民の要望を入れて、市内1千ヵ所の一斉測定を行った。
渡利地区では、空中線量が毎時3マイクロシーベルトを超えていた地点が5ヶ所あった。
私たちも神戸大の山内教授と測定に入ったが、高い。
渡利地区は周りの山が汚染されている。除染しても、また汚染が拡大する。
渡りの同じ地点を測ったが、昨年6月の土壌汚染が9万ベクレル。9月が22万ベクレル。今年4月が33万ベクレル。


事故の直後だったら、地域でまとまって行動できた。
しかし、事故直後に山下が入って、普通に暮らして大丈夫と言って、戻ってきた人がいる。これで地域がまとまって動くのは難しくなった。


さまざまな理由で避難できない人がいる。避難できない一番の理由は経済的理由。
それで希望者だけでも避難をしようと、「避難の権利」の呼びかけを始めた。

原発から30キロ以上離れていても、放射能値が高いところは6月から特定避難勧奨地点に指定された。

この特定避難勧奨地点を使えないかと考えたが、最大の問題は世帯ごとの指定ということ。
指定されれば、避難先は行政が探して一時金100万円と毎月10万円の補償が出る。
0.1マイクロ低かったら、1円も出ないで自費避難しないといけない。


伊達市では住民が地域のまとまっての指定を政府に要望したが、政府は地区全体の指定を拒否し、世帯指定を強行した。このため、地域の内部で亀裂が生まれた。


南相馬市では一般の半分の値でも認定する子ども妊婦基準(地上50センチで年間20ミリシーベルト)が作られた。だが、渡利では子ども妊婦基準の指定はなかった。

福島市や郡山市は避難区域にしないと、子どもを犠牲にして福島ブランドを守ろうとした。


旧ソ連のチェルノブイリ法で汚染地域は
特別規制ゾーン、移住の義務ゾーン、移住の権利ゾーン、徹底的なモニタリングゾーンに段階的に分けられる。
チェルノブイリ法にならって選択的避難区域の設定を求めている。

行政側は避難ではなく、除染を盛んに言っている。確かに除染が有効な地域もある。
だが、除染だけでなく、移転なり避難なり選択肢が必要だ。

政府は20ミリなら帰還させる方針だが、山林の除染は絶望的。

政府が「仮の町」を支援する必要がある。このままでは、除染はゼネコン、原子力機構を設けさせるだけだ」



続いて質疑応答が行われ、県民健康管理調査の問題点について補足。
「今行われている県民健康管理調査には問題が多い。調査のリーダーは山下。外部の表がない。


調査の目的が県民の健康のためではない。
放射能に関して、調査するのは小児甲状腺がんだけ。

山下はチェルノブイリを調査したが、放射能の影響はないと結論付けた。
重松は、チェルノブイリで小児甲状腺がんが増えたことを認めたが、風土病で放射能の影響ではないとした。


山下への不信から、調査票を出したのは県民の2割の40万人。
これでは健康管理の役に立たない。
県民を研究サンプルとしてみている立場なら、40万も集まれば十分なのかもしれないが。

しかも、甲状腺検査は山下が副学長を務める県立医大が囲いこんで情報を出さない。
山下が会長を務める甲状腺学会は、県立医大で検査した人を再検査するなという手紙を全国の医療機関に出している。

県内の病院で検査を受けようとしたら、県立医大に行ってくれと断られる事態が起きている。

県立医大で検査を受けると「次は2年半後に」といわれるだけで本人には解析結果も画像も渡さない。
他の医師からは批判が出ている。


参加者からは、福島の現状やシーベルト基準の問題点、東電株主代表訴訟の呼びかけ、など、さまざまな質問・意見が出された。