真夏の悪夢、ホテル休館
ハイセットホテル静岡インター地下2階で7月23日水、漏水事故が発生。 お客様の一斉キャンセル、休館を余儀なくされた。 業者が土日返上で、修繕に当たってくれたこともあり、8月4日月、事故からわずか10日余で営業再開にこぎつけることができた。 お客様の信頼を守れなかった点にお詫び申し上げるとともに、高度な対策を施し、信頼回復に全力を投じている日々である。 ↑地下2階はくるぶしまで水が浸かった。 悪夢は午後2時ころ、消防設備の管理業者からの通報で始まった。 「ホテルの地下から、漏電の信号が出ています」 フロントマンが駆けつけると、地下2階は、足のくるぶしほどまで水で溢れていた。 急ぎ、建物を維持、管理している業者を手配した。 調べた結果、何らかの原因で地下2階に漏水が発生。間もなく、館内で一斉に水が出なくなる、という報告だった。 地下の水槽タンクから屋上高架水槽に水を贈るモーターの機能が失われ、さらにそれを動かす電源が喪失した。 「電源喪失」。福島原発で何度も聞いたあのワードが、身の上に降りかかった。 初動で私たちは大きなミスを犯した。 屋上水槽には、この時点で25%ほどの水があった。 「今晩一晩だけでも持つかもしれない」 すでにチェックインは始まっていた。 「水が出なくなるかもしれない。お風呂は早めに使ってください」などとお客様に事情を話しながら、受け入れの対応をした。 既にお部屋に入っていたお客様には、情報は伝えられなかった。(館内放送かけるべきであった) そんな希望的観測はすぐに崩れた。 午後8時過ぎには客室の水は枯れてしまった。 暑い夜、お客様の水の消費は想像を超えるスピードだった。 チェックインお客様への報告、別ホテルのあっせん、翌日以降の予約のキャンセル、修理業者の手配… フロント周りは一斉にパニックに陥った。 休日の社員にも駆けつけてもらい、お客様のお叱りをたくさん受けながら、どうにかその日を過ごした。 宿泊料金の返金を申し出、急きょ飲料水を調達、フロント前に並べるなどした。 ↑翌日はホームセンターの開店と同時に、上図のような簡易な水の調達場を各フロアに作った。 お客様には本当にご迷惑をお掛けしたが、キャンセルを申し出、必要に応じて近隣のホテルを案内するなど、できる限りのことを行った。 「皆様、多大なご迷惑をお掛けして、申し訳ございませんでした」 漏電の危険もあるため、翌日は1日、水の吸出し作業に追われた。 翌々日、ようやく地下に入ることができた。 ↑ 喪失した電源盤↑ 浸水で使用不可となった送電モーター 上部写真のように、地下の下部に置かれていた電源盤、送電モーターが急な浸水によって作動不能となり、ホテルから一斉に水が出なくなってしまった。 1週間前に静岡市内で線状降水帯が発生したことも一因かもしれない。 その後、ずっと地下を見守っているが、現在に至るまでこのような漏水は見受けられない。 水が引いた25日金から、急ピッチで復旧作業が始まった。 正直、「3週間後のお盆休みに間に合えばいいが、難しいだろうな」という見通しだった。 それを過ぎたら、メーカーも休みに入り、再開はさらに遅れることが予想された。 夏休みの書き入れ時。猛暑。周囲のホテルもいっぱい。 アクシデントが起きるには、最悪のタイミングだった。 「困ったときの友は真の友」 静岡時之棲家さんを周辺ホテルが、快くお客様の受け入れに協力してくださった。 旅館組合等から割当の3団体も直前返上となり、急きょ受け入れの宿泊先にも多大なご迷惑をお掛けしました。 複数の業者が土日返上で、修繕に当たってくれた。 他の現場もあったであろうに、早朝から時には深夜まで、協力していただいた。 復旧に必要な部品も、順調に届いた。 途中、シベリアの地震による津波警報があり、肝を冷やしたが大丈夫だった。 8月2日早朝、奇跡が起きた。予定よりずっと早く電源が回復したのである。 送水モーターの部品は発注から4日間で到着。電源設備業者が人数をかけて、前日までに接続を終えていたのも奏功した。 出られるだけの清掃社員が総出で駆けつけ、部屋を整えた。 迎えた8月4日、事故からわずか10日で営業再開にこぎつけることができた。 インターネットによる客室販売が再開。 お盆前の出張ピークが重なったこともあり、同時にたくさんの予約を頂戴した。 このことは、社員一同、とても励まされた。 再開を待っていてくれたのか、見慣れた名前も多数あった。 中にはアクシデント当日に宿泊していたお客様の名前もあった。 「再開したら連絡ください。すぐに予約入れますから」。あの日そう残して帰られたお客様には直接電話を入れ、その場で複数泊の予約をいただけた。 涙が出そうになる話ばかりだった。 今週はお盆休暇で、普段とは違うお客様が利用している。 本当の巻き返しは、来週18日からのビジネス客が戻るか否かだ。 そして失われた信頼を取り戻すためにも、今後の対策が急務となる。 「次」は許されない。 今回水が流入した地下2階の中央にあるくみ上げポンプも機能が喪失していたので、すぐに取替え、2倍以上の機能を持たせることにした。 浸水の影響を受けないよう、新しい電源盤をできる限り上部、顔の高さ以上の位置に設けた。 ↑ 送水モーターの周囲をブロック塀で囲った。 ↓ さらに監視カメラを2か所に設置。 地下の状態をいつでもフロントで把握できるようにした。 とはいえ、熊本の惨状を見てわかる通り、想像を超える水災害が日本各地で起きている。 静岡市でも2年前、1日800ミリを超す記録的な大雨が発生した。(その際は今回の地下2階は異常なしであった) 「これで全く問題なし」とは言い切れない昨今。 今回の事故は、現状の気象条件を念頭に入れながら、お客様の安全を確保したホテル経営、体制について、改めて考え直さなければならない教訓となった。 そんな中、連日お客様に頭を下げ続け、当日の混乱から再開まで、ホテルをともに守ってくれた社員に本当に感謝している。 隣りで聞く電話のやり取りは、本当に長く辛い時間だった。 急な休職期間を作ってしまったレストラン、清掃スタッフの皆さん、申し訳ありません。 一緒に失われた信頼、離れてしまったお客様を一緒に取り戻して行きましょう。 土日を問わずで、ホテル復旧に尽力していただいた鈴木建設様、宮城設備、日興電気通信、日本テクノ他、関連業者様、この場を借りてお礼申し上げます。