正祖と貞純王后の関係がわかる 『風の絵師』② | コワれるまで ALLORA

正祖と貞純王后の関係がわかる 『風の絵師』②

毎度毎度、韓国史劇を観ての楽しみに、「どの時代なのか」「どういう時代背景だったのか」を理解したい、という側面があります。

絵筆 『風の絵師』 (原(Painter of the Wind)題:바람의(パラミ ) 畵員 (ファウォン)2008年)も、私にとっては興味深い時代のお話です。

あくまで私にとって、に過ぎませんけど、時代背景理解のポイントは「そのときの王様は誰か」。
『風の絵師』に登場する王様(チョナ)は、李氏朝鮮第22代王の正祖。( チョンジョ )
風の絵師

イ・サンですねっ。
ペ・スビンが演じます。
かんざしトンイ(Dong Yi) (2010年) では家臣でしたけどね。


この正祖という王は李氏朝鮮史の中でも名君と讃えられる人で、数々の史劇ドラマで採り上げられているようです。
私が知っているドラマでは、 帽子 『トキメキ成均館スキャンダル(Sungkyunkwan Scandal)(2010年) に登場した、成均館の儒学生を重用し、遷都まで言い出しています。
チョ・ソンハが演じましたが、同年に放映された キム・マンドク (Kim Man Deok) 美しき伝説の商人』 (原題: 巨商( The Great Merchant)  金 萬徳 (キム マンドク) 2010年)でも、正祖はチョ・ソンハ。
最終話でマンドクが拝謁する王です。

チョンジョという王の治世は、彼が外戚勢力を排除しようと務めた反動で、勢道政治 (国王の委任を受け政権を握った特定の人とその追従勢力により成される政治形態) に傾いた政情でした。

『トンイ』 で粛宗(19代) があれほど党派閥の官僚政治に悩まされ、闘って景宗(20代 ヒビンの息子)・英祖(21代 トンイの息子) へと王位を引き継いだものの、なかなか政争劇は終わらなかったようです。

チョンジョはけっこうがんばった王ですが、彼が亡くなった後、またまた外戚が幅を利かせ、政情はもっと悪いものになっていったようです。

外戚が欲を出し、官僚が欲を出し、と、権力欲や既得権欲って根深いものがあるのですね。


それにしても、文芸・学問が振興されたチョンジョ時代が、『成均館』 と 『風の絵師』 という、ジェンダーの概念を揺するドラマの背景とされたことって、なんだか意味深ではあります。



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本作を観始めて最初に抱く違和感は、大妃(テビ)ママ (貞純(チョンスン)王后(ワンフ)(キム)씨) が妙に若いこと。
風の絵師

パンダビッグ(BIG) ~愛は奇跡~』 (2012年) のイム・ジウンが演じていますが、これはキャスティングのミス はてなマーク

いえいえ、そうではないようです。

貞純王后は、トンイちゃんが育てた英祖の後妻。
2番目の奥さんです。

再婚時の英祖は66歳、貞純王后は15歳。
チョンジョの父親である王世子( ワンセジャ)思悼(サド)世子(セジャ)よりも歳が若かったのですから、当然チョンジョと比較しても、彼の母親にすら見えないわけです。

風の絵師
これが思悼世子。
5枚の肖像画に隠されて秘匿された、本当の顔です。

世子という称号が付いているまま、ということは、この人は王には成れなかったのです。
老論派の重鎮や貞純王后の讒言によって陥れられ、死ぬのです。

本作では讒言を信じる英祖ジジィと、父を助けてくれるよう泣いて懇願する少年時代のチョンジョが回想シーンに出てきます。
(トンイも草葉の陰で泣いてるよ、きっと あせる

そういうことがあったので、正祖と貞純王后は仲が悪かったわけなのです。

こんな過去が、ドラマの最初の、王とテビママの緊張感のある会話シーンの背景にあったのですね。

正祖は、 畵員を(ファウォン)用いて、父の汚名の払拭と貞純王后への一徹を謀る。
それが、『風の絵師』というドラマなのです。



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さて、サド世子を演じたのはキム・ウォンソク。
彼は映画 『大韓民国(テハンミングク ) (イル)%』 ((ポセントゥ)2010年)では、その他大勢の一人としてこんなコミカルな役を演じています。
大韓民国1%
ホントはすごくハンサムな人なんだけど・・・