高校教師あれこれ日記 -2ページ目

『本の読み方 スローリーディングの実践』

エントリー№89 『本の読み方』

平野啓一郎著 PHP新書 720円(税別)


『日蝕』

京都大学法学部在学中に書いた作品。

芥川賞を受賞しました。

1999年のことです。

その人の語る「本の読み方」。


平たく言えば熟読しろってことです。

深読みしろってこと。

そして、誤読してもいいってさ。


別にいいんですよ、ご自分の意見だから。

「目からウロコ」はなかったですが、

それなりに面白い意見もありましたしね。

でも「速読」あるいは大量に読むことが、

知識の脂肪を溜め込んでるとは極端じゃない?

1ヶ月に100冊は確かに多いけど、

たくさん読むことを否定する必要はないと思う。

筆者のものさしで測りすぎかな、この部分については。

ちょっと、気になりました。


彼の知識の深さや語彙力は、

『日蝕』を読んだらすぐに分かる。

彼ほどでなくてもある程度の知識の獲得を前提に、

スローリーディングを勧めているんだと読めます。

でも、それを知らない人は?

そんなことを考えました。


そんなレベルの低い人間は、

この本を読まなくてもいいってことですかね。


読んで欲しい度、3点。

「仕事にも受験勉強にも効果あり!」

そう帯にありましたが、

受験生はこれを読まずに、きちんと勉強しましょう。



『子どもよりも親が怖い』

エントリー№88 『子どもより親が怖い』

諸富祥彦著 青春出版社 667円(税別)


そんなことしてません。

いくら最近「100冊」を書くのが早いからって、

読んでない本を書いてなんかしていません。

途中、ちょっと書くモチベーションが低下して、

たまっていただけなんです。

本当です!

でも、今のペースで100冊に行くか不安です・・・・・・。


気持ちを切り替えて内容に移りましょう。

「子どもより親が怖い」

ある意味、実感があります。

生徒もそうですが、

残念なことに親ともよく関わる場面は、

生徒が悪いことをした場合がほとんどである。

だからトラブルことが増えたって仕方がない。


簡単に親を年代ごとに分類するのは、

あまりに安易過ぎて「やめとけ」と言いたくはなったが、

親と良好な関係を作るための提案は良し。

暗い悲惨なケースの紹介が多く、

日常から意識的に何をすればいいかが分からなかった。

というより、この本は学校現場を紹介はしているが、

一体誰をターゲットにしている本なんだ?

その不明確さは筆者の考え不足だね。


読んで欲しい度、4点。

ぜひ学校にクレームをつけに来る親に読んで欲しい。

それ以外で言うことは、

これにあまり振り回されないことだね、教師は。

『美女と野球』

エントリー№87 『美女と野球』

リリー・フランキー著 河出文庫 520円(税別)


1994年、オウム事件、就職超氷河期。

そのとき私は何をしていただろう。

今とは違う閉塞感や低迷感漂う日本で。

彼は書き続けた。

くだらなくて大切な、ささやかな涙と笑いの日常を。


いつぞやも書いたリリーの著書。

エログロナンセンス。

日常そのものがそうである。

しかし冒頭にも書いたように、

そのことを鋭い観察眼と文章力で笑いにする。

その力には脱帽する。


読んで欲しい度、5点。

そうは言っても、この評価。

思考力の澱んだ笑いと、

暇つぶしにはとってもよろしいんだけど。

『惜春』

エントリー№86 『惜春』

花村萬月著 講談社文庫 540円(税別)


「惜春」・・・春の過ぎるのを惜しむこと。

(旺文社 国語辞典より)


桜、花見、入学式。

春を買う、売春、青春。

どの春を惜しんでいるのだろう。


将来の目標のない20代の青年。

騙され、雄琴のトルコ風呂の従業員へ。

春を売る女性たちの葛藤の中、

自分自身も翻弄され毎日が過ぎる。

何を知り、何を捨てたのだろう。


花村萬月氏らしい性を仲立ちとした作品。

これまで読んだ作品にあった威圧感はなく、

うらぶれた雄琴と何ももたない青年が淡々と描かれる。

それらがみすぼらしく、

しかし何か切実な意味を持って訴えかける。


どの作品でもそうだが、

「人間」「生きる」ことを書ききろうとしている。

ただ、ものすごく面白くいい作品、と言える代物ではない。


読んで欲しい度、4点。

萬月氏の作品は好き嫌いが分かれるか。

性的描写が多いので、

そういったことを受けつけない人は読まないように。


『「普通がいい」という病』

エントリー№85 『「普通がいい」という病』

泉谷閑示著 講談社現代新書 740円(税別)


だめだこりゃ。

全然覚えてないや。


「普通」って便利に使うけど、

本当は実態のない主観的なもの。

なんとなく「普通」があるように思っているだけ。

あった方が便利だからあることにしてるだけ。

生徒に「普通にしてなさい」なんて言うこともある。

生徒の意見でも「普通」jなんて答えがある。


よし、買ってやろうじゃないか。

そう思ったわけですよ。


しかし読んでからちょっとたってしまって、

全然内容を覚えていない。

最近、読んだけどここに書けてない本が増えてます。

でも数頁めくってみて思い出した部分もあるが、

何も訴えてこない。

残念なことです。


読んで欲しい度、2点。

ハズレを手にするから鍛えられる部分もある。

が、最近それが多いような。


『夢をかなえる勉強法』

エントリー№84 『夢をかなえる勉強法』

伊藤真著 サンマーク出版 1300円(税別)


幾つになっても勉強は嫌です。

でも必要はあります。

学生時代より勉強は面白いですが、

それでももっと面白いことに流れたくなります。


今回の本は司法試験対策塾の塾長の本。

当然司法試験に合格している、

著者自身の勉強方や塾での方法が書かれています。


こういった本の「○○法」は鵜呑みにはできないにしろ、

やはり実際に行った方法だけに、

いくつかは自分に合うものもあるでしょう。

そういった実践的な有効性よりも、

自分自身のモチベーションを上げる意味合いが強いかも。


読んで欲しい度、4点。

モチベーションと書きましたが、

それなら『東大コーチ』の方がいいかもしれません。


ありがとう

北村です。

教師です。

感謝してます。


今日で三十路となりました。

30歳は而立。

まだまだ、出来てないような気がしますね。


1時間目の授業に行くと黒板に、

「北村生誕祭 本日」と真中だけど、

下のほうに小さく書いてありました。

男子校っぽいその書き方。


そして入るなり一人の生徒が「先生おめでとう」と。

それに対して数人が、

「おいおいフライングすんなや」

「早いやろ!」

「調子のんな」

とブーイング。

朝から嬉しかったです。


どんどん男前になっていって欲しいと思いました。

みんなありがとう。

そして、これまでお世話になった皆さんありがとうございます。

いい30歳を向かえることが出来ました。

4.5時間目

北村です。

教師です。

一緒に遊んでいます。


うちのクラスにはたまに4.5時間目があります。

昼休みが終わる直前、一人の生徒が教壇へ。

この間は、「いじめ」について。

それ以外にも、「アイデンティティ」「社会」「矛盾」「強さ」、

黒板にはテーマとわけの分からないグラフなどがあります。


ちょっと早めに言って扉を開け聞いてみると、

その内容はあまりにも適当です。

しかし、雰囲気だけは熱血教師です。

それが面白いようで、クラスメートの結構な数が聞いています。

だから「4.5時間目」という言葉は、クラスで市民権を得てきました。


その上、企画モノもあります。

教卓の上に正座して、落語をしていたこともあります。

(もちろん、このあと「教卓に乗るな!」と叱りました)


今日は教室に近づくと変に暗い、おどろおどろしい曲が。

それに電気を消して、カーテンを全部閉めていました。

何かと静かに近寄って聞いてみると、怪談話大会でした。

7,8人が教卓の周りで怪談を話していました。

一人が終わると、次、次という具合で。

私ものってしまい、一つ話をしました。


4.5時間目、今度は何をしているだろう?


『論争 格差社会』

エントリー№83 『論争 格差社会』

文春新書編集部編 文春新書 750円(税別)


現代文の教師として、

「現代」というキーワードにアンテナを立てています。

まあ、知らないことや分からないことは、

幾らでも湧いてくるわけですが。

追いつづけなくてはダメでしょう。


そこで今回の本は「格差」について。

階層格差や格差拡大について、

一応これまでも拾ってきていました。

しかしそれらが短い論文や対談ながら、

一冊の書籍としてまとめられている。

便利です、とても。


格差論争については立場や切り口、

また何を中心問題として据えるかで多岐にわたります。

どれも一定本当でしょうし、無意識の操作があるでしょう。

そういうことを意識しながら、ここの論を読む。

その比較が面白かったですね。

一つを盲信しないようにする訓練になりますね。


もちろんここに編集されている論文を、

選んでいる編集者の意図には気をつけないといけないですが。

まあ、様々な視座にたったものが多かったので、

変に偏った集め方はしていないと思いましがね。


読んで欲しい度、6点。

高校生や就職活動をしている学生も、

これは読んでおいて損は無いでしょう。

場面に応じて話ができることでしょう。





『夜のピクニック』

エントリー№82 『夜のピクニック』

恩田陸著 新潮文庫 660円(税別)


これまでもいくつか読んでます、恩田陸。

気が付くと他の作家より最近多い。

はずれもありましたが、

今回の本は当たりと言えそうです。


高校生が主人公。

修学旅行代わりの「歩行祭」が舞台。

1日かけて80キロを歩く行事という設定。

私の通っていた大学でも、

「オーバーナイトハイク」というイベントがありました。

その祭の実行委員をしていたので、

興味はあったものの参加せずじまいでしたが。

一度はやってみたかったな、と今は思います。


主人公たちの設定などはありがちなれど、

登場人物たちの性格や人間像は暖かいものがあります。

安心して読める、生徒たちに薦められる本です。


ハレとケ。

この時だからこそほぐれる人間関係。

たまにはこんな安直な本もホッとします。


読んで欲しい度、6点。

読書を楽しみたい人にはいいでしょう。

寒くなってきましたので、温まってください。