前回の続き(友人に頼まれた破産に付いて)

検証

◇症状別の対応策
冷静になって現状を分析。
◇症状別の対応策   過去も現在も余り大きな変化はない。


Stage 1 :支払が数回遅れた。

金融機関の対応 金融機関から電話ないし、督促のハガキが来た。

考え方 このStageであまり無理をし、それ迄の未払い分を一括払いなどしない事。後ろにドンドンしわ寄せが来てしまう。


対応策1 1年後、3年後、5年後を冷静に読む。そのときに収益が上昇していて楽になっているようなら、多少無理をしても遅れた分をまとめて一括弁済でよい。


対応策2 今のうちに思い切って金融機関と交渉。金利を下げ、長期の契約に変え、他の金融機関からの借り換えをしたり、ここは法的なやり方というよりも交渉ごととお願いごとだ。(担保割れでも借り換えを認める金融機関もある。)


対応策3 場合により、この段階で開き直ることもある。不動産市況を見て、かつ会社の収益を考えた上で将来も払えないことがハッキリしたら、一銭もムダ金を払わないことだ。


そして、次のStageに移るまでの半年~1年分の返済額(合計すれば大変な額)を他に有効利用することを考えるべきだ。


Stage 2 :支払が6回分(半年)以上遅れた。

金融機関の対応 金融機関の担当者がしつこく連絡してくるし自宅にも来る。途中で金融機関の担当者は脅したり、すかしたり、一括で払えとか連帯保証人をつけろとか、公正証書にしろとか、いろいろなことを言って来る。ここまでゆくと、金融機関にとっては不良債権化(第2分類ないし第3分類)している、金融機関も相当強い調子で迫ってくる。


考え方 :それらに応ずる義務はない。安易に、新たに不利となる書面にハンコは押さないこと。最悪の場合、代表者1人で済むものが、兄弟、子供から親戚まですべて巻き添えにしてしまい、にっちもさっちもいかなくなる。(5年先を予測して確実に返済できるのならば、金融機関の言う方法をとってもよいが...)。つまり、支払い継続でゆくのか、それ以外の方法を選択するのか、開き直った上で私と一緒に冷静に判断しょう。


対応策1 長期的にみて支払うなら、金融機関の言う方法にのる。但し、金利を安くしたり返済期間をもう少し伸ばさせる(交渉早めに弁護士経由折衝専門家に頼むべき。)。


対応策2 支払はムリと決めたら、いつかは次のStageが来るから、何事も信頼し早めに決断すること。時間の余裕があるだけ、Stage3よりは資産の保全策が立て易い。


対応策3 どちらとも決めかねるなら、早期に違う弁護士に相談しても良い。資料をもとに客観的に判断してくれる。

Stage 3 :その後、適切な対応が出来ずにズルズル来た。

金融機関の対応 金融機関から内容証明郵便が来た。〈保証会社の代位弁済手続をとる〉とか〈法的手続をとる〉と書かれた物が舞い込む。

考え方 内容証明郵便自体にはそれほど大きな意味はないが、一般の人は驚く。そして〈代位弁済〉されると、その日までの遅延損害金が15%程度のせられるので(通常の金利なら5%程度で安い)、思いの外多額の請求を受けることになる。また〈法的手続〉をとられると、その費用(弁護士費用も含めて)を加えられ、泣きっ面に蜂というくらいのびっくりするような金額となる。


対応策1 ここで大切なことは、支払う方法でいくのか、支払えないと考えるか大きな分かれ道です(恐らく支払うことはムリだと思う。)。この辺りは専門家も交えて私と冷静に分析しょう。


対応策2 もし、支払えないと決めたなら、次は担保不動産以外の健全な資産の保全の方法を考えること。これは早ければ早い法がよい(Stage4の自己破産選択のときにこれをやろうとしても殆ど役に立たない。)。


対応策3 以下に述べる何らかの手段をとらねばならない(弁護士を含む専門家の出番です。)

次に考えられえる項目のみを示す。


[優良(健全)不動産の第三者(身内を含む)への移転]

身分行為(離婚、養子縁組など)

相続を予測した作戦(遺言、遺贈)

税務対策も考えての作戦(実質課税主義ですから、十分の根拠さえあれば課税は免れる。)


[担保不動産の有効利用]

短期賃貸借の利用

債権譲渡の利用

別法人の設立など

サブリース等の利用など(極端なケースは執行妨害となり、弁護士も逮捕されたケースがあることはご承知のとおりだ。したがって、法的に許される範囲でなければならない。しかし超法規的に断行する必要も有る。もはや信頼関系を構築し一心同体でなければこの難局は乗切れられない)


Stage4 :その後も何の対策も出来なかった。

金融機関の対応 現実に競売の申立をされたり、担保権が設定されていない場合、支払命令や訴訟を受けた。

考え方 本当はここまで放置してはいけない。

少なくともStage3で方向を決める。しかし、ここまで来てしまったら、超法規的に行かざるを得ない。



対応策1 自己破産の申立を考える(「自己破産」参照)。但し、不良資産とはいえ不動産が残っているので、申立の予納金が多くかかる(1000万とか2000万円)。


対応策2 担保不動産の任意売却を考える(「バブル不動産の整理」参照)。これに滌除を加味して考えれば、金融機関は大体応じてくれる。

バブル不動産の整理(担保不動産の任意売却)


【評価損と不良債権】

バブル崩壊後の地価は、公示価格で8年連続、実勢価格ペースでは9年連続して下落している。更に今も暴落している場所も有る。


六大都市の地価指数でみて、商業地が68%、住宅地が49%もの大幅な下落を記録した。これはもちろん地価だけではなく、ビル、住宅、株、ゴルフ会員権など、バブル関連資産すべてが同様の暴落となっている。バブル期の不動産評価額を低めに見積もって日本全体で2400兆円だとすれば、下落率50%でも、その半分1200兆円分の資産価値が吹き飛んだことになる。つまり、低めに見積っても約1200兆円もの評価損が発生したとみられる。


もちろん、これらは金融機関が不動産全体を担保として融資したわけではない。このうち10分の1の200兆円程度の物件を担保として 貸し出したと思われる。これを現在価値で再評価すれば、担保価値は下落率50%で100兆円に目減りする。その減価分100兆円が不良債権として焦げ付いたわけだ。この数字は金融機関の不良債権(第2,3,4分類)が約70兆円と言われていることにも符合してくる。


増価競売と滌除(てきじょ)について :債務者側の担保物件処理

「滌除」とは債権者(金融機関)からではなく、債務者の側から担保物件を売りに出す方法と考えてよい。

金融機関からの申立は「競売」ですが、債務者の側が合法的に処理するのが「滌除」だ。


抵当不動産について所有権、地上権、永小作権を取得した者(第三取得者滌除権者)が抵当権者に対し、[民法382条乃至384条]の規定に従い、 一定金額(滌除金額)を提供して、その承諾を得た金額を抵当権者に支払い、又は供託することにより抵当権を消滅させることができる制度。



つまり、買主が土地の時価を1億円と思えば、抵当権者に1億円払うと通知する。抵当権者としては、1億円で納得するか、自らリスクを覚悟で(1割高く自ら買うというリスク)競売の申立をするしかない。


抵当権者が「滌除」の申出を承諾したときは、抵当権は消滅することになる。

しかし、承諾せず、即ち拒絶した場合は抵当権者は申出後1ヵ月以内に書面により滌除申出人に対し「増価競売」の請求をすることになる。



その後(発信後)1週間以内に「増価競売」の申立をしなければならない。これをしないと申出を承諾したとみなされ「滌除」が成立することになる。


(抵当権者が「増価競売」の請求をするときは、滌除申出後1ヵ月以内に債務者及び抵当不動産の譲渡人に対しても、その旨通知しなければならない。)

抵当権者は、競売物件が競売手続により滌除金額の1割増以上の金額で買受申出する者が出なかった時は、自ら滌除金額の1割増の価額で競売物件を買い受けなければならない。(「増価競売」といわれる所以だ。)


「増価競売」とは、滌除に対応する手法で、抵当権者の競売手続の申出をする前に始める有力な方法だ。

「増価競売」とは抵当権者が滌除権者(第三取得者)から滌除の申出に対し、申出の滌除金額が納得できない場合にこれを拒絶して行う競売手続をいう。


「増価競売」の申立には申立債権者は裁判所の命令に基づき、滌除申立額の一割増に相当する保証金を納付しなければならない。


この保証金は競売の実施により同金額以上の買受申出人がなかった時、申出債権者自らが同金額で買受申出をしたものとされ、その買受代金に充当されることになる。


滌除のノウハウ:

滌除は(債務者側から申立てる競売)といわれる位に、債務者の側から抵当権を整理する有効な方法だ。

土地を活用するノウハウと力を持っている買主をみつけ、この人に滌除を前提として購入してもらう(任意売却)と、不動産がこれほど安くなっているご時世だから、案外スッキリ銀行も任意売却に応じてくれることもある(増価競売をしても1割高く売れないので。)


自己破産:それぞれのケースと実際

任意整理と自己破産の説明 (参考例として)

1 :支払が数回遅れた。

金融機関の対応 金融機関から電話ないし、督促のハガキが来た。

考え方 このStageであまり無理をし、それ迄の未払い分を一括払いなどしない事。後ろにドンドンしわ寄せが来てしまう。

対応策1 1年後、3年後、5年後を冷静に読む。そのときに収益が上昇していて楽になっているようなら、多少無理をしても遅れた分をまとめて一括弁済でよい。 そうでないなら対応策2へ。


対応策2 今のうちに思い切って金融機関と交渉。金利を下げ、長期の契約に変え、他の金融機関からの借り換えをしたり、ここは法的なやり方というよりも交渉ごととお願いごとだ。(担保割れでも借り換えを認める金融機関もある。)


対応策3 場合により、この段階で開き直ることもある。不動産市況を見て、かつ会社の収益を考えた上で将来も払えないことがハッキリしたら、一銭もムダ金を払わないことだ。


そして、次のStageに移るまでの半年~1年分の返済額(合計すれば大変な額)を他に有効利用することを考えるべきだ。


Stage 2 :支払が6回分(半年)以上遅れた。

金融機関の対応 金融機関の担当者がしつこく連絡してくるし自宅にも来る。途中で金融機関の担当者は脅したり、すかしたり、一括で払えとか連帯保証人をつけろとか、公正証書にしろとか、いろいろなことを言って来る。ここまでゆくと、金融機関にとっては不良債権化(第2分類ないし第3分類)している、金融機関も相当強い調子で迫ってくる。


考え方 :それらに応ずる義務はない。安易に、新たに不利となる書面にハンコは押さないこと。最悪の場合、代表者1人で済むものが、兄弟、子供から親戚まですべて巻き添えにしてしまい、にっちもさっちもいかなくなる。

(5年先を予測して確実に返済できるのならば、金融機関の言う方法をとってもよいが...)。つまり、支払い継続でゆくのか、それ以外の方法を選択するのか、開き直った上で一緒に冷静に判断しょう。


対応策1 長期的にみて支払うなら、金融機関の言う方法にのる。但し、金利を安くしたり返済期間をもう少し伸ばさせる(交渉早めに弁護士経由折衝専門家に頼むべき。)。


対応策2 支払はムリと決めたら、いつかは次のLevelが来るから、何事も信頼し早めに決断すること。時間の余裕があるだけ、Level3よりは資産の保全策が立て易い。


対応策3 どちらとも決めかねるなら、早期に違う弁護士に相談しても良い。資料をもとに客観的に判断してくれる。


Stage 3 :その後、適切な対応が出来ずにズルズル来た。

金融機関の対応 金融機関から内容証明郵便が来た。〈保証会社の代位弁済手続をとる〉とか〈法的手続をとる〉と書かれた物が舞い込む。

考え方 内容証明郵便自体にはそれほど大きな意味はないが、一般の人は驚く。そして〈代位弁済〉されると、その日までの遅延損害金が15%程度のせられるので(通常の金利なら5%程度で安い)、思いの外多額の請求を受けることになる。また〈法的手続〉をとられると、その費用(弁護士費用も含めて)を加えられ、泣きっ面に蜂というくらいのびっくりするような金額となる。


対応策1 ここで大切なことは、支払う方法でいくのか、支払えないと考えるか大きな分かれ道です(恐らく支払うことはムリだと思う。)。この辺りは専門家も交えて私と冷静に分析しょう。


対応策2 もし、支払えないと決めたなら、次は担保不動産以外の健全な資産の保全の方法を考えること。これは早ければ早い法がよい(Stage4の自己破産選択のときにこれをやろうとしても殆ど役に立たない。)。


対応策3 以下に述べる何らかの手段をとらねばならない(弁護士を含む専門家の出番です。)

次頁に考えられえる項目のみを示す。


[優良(健全)不動産の第三者(身内を含む)への移転]

身分行為(離婚、養子縁組など)

相続を予測した作戦(遺言、遺贈)

税務対策も考えての作戦(実質課税主義ですから、十分の根拠さえあれば課税は免れる。)


[担保不動産の有効利用]

短期賃貸借の利用

債権譲渡の利用

別法人の設立など

サブリース等の利用など(極端なケースは執行妨害となり、弁護士も逮捕されたケースがあることはご承知のとおりだ。したがって、法的に許される範囲でなければならない。しかし超法規的に断行する必要も有る。もはや信頼関系を構築し一心同体でなければこの難局は乗切れられない)


Stage4 :その後も何の対策も出来なかった。

金融機関の対応 現実に競売の申立をされたり、担保権が設定されていない場合、支払命令や訴訟を受けた。

考え方 本当はここまで放置してはいけない。


少なくともStage3で方向を決める。しかし、ここまで来てしまったら、超法規的に行かざるを得ない。対応策1 自己破産の申立を考える(「自己破産」参照)。但し、不良資産とはいえ不動産が残っているので、申立の予納金が多くかかる(1000万とか2000万円)。




対応策2 担保不動産の任意売却を考える。これに滌除を加味して考えれば、金融機関は大体応じてくれる。

バブル不動産の整理(担保不動産の任意売却)


【評価損と不良債権】

バブル崩壊後の地価は、公示価格で8年連続、実勢価格ペースでは9年連続して下落している。更なる暴落もありうる。

六大都市の地価指数でみて、商業地が68%、住宅地が49%もの大幅な下落を記録した。これはもちろん地価だけではなく、ビル、住宅、株、ゴルフ会員権など、バブル関連資産すべてが同様の暴落となっている。バブル期の不動産評価額を低めに見積もって日本全体で2400兆円だとすれば、下落率50%でも、その半分1200兆円分の資産価値が吹き飛んだことになる。つまり、低めに見積っても約1200兆円もの評価損が発生したとみられる。


もちろん、これらは金融機関が不動産全体を担保として融資したわけではない。このうち10分の1の200兆円程度の物件を担保として 貸し出したと思われる。これを現在価値で再評価すれば、担保価値は下落率50%で100兆円に目減りする。その減価分100兆円が不良債権として焦げ付いたわけだ。この数字は金融機関の不良債権(第2,3,4分類)が約70兆円と言われていることにも符合してくる。


増価競売と滌除(てきじょ)について :債務者側の担保物件処理

「滌除」とは債権者(金融機関)からではなく、債務者の側から担保物件を売りに出す方法と考えてよい。

金融機関からの申立は「競売」ですが、債務者の側が合法的に処理するのが「滌除」だ。


抵当不動産について所有権、地上権、永小作権を取得した者(第三取得者滌除権者)が抵当権者に対し、[民法382条乃至384条]の規定に従い、 一定金額(滌除金額)を提供して、その承諾を得た金額を抵当権者に支払い、又は供託することにより抵当権を消滅させることができる制度。


つまり、買主が土地の時価を1億円と思えば、抵当権者に1億円払うと通知する。抵当権者としては、1億円で納得するか、自らリスクを覚悟で(1割高く自ら買うというリスク)競売の申立をするしかない。


抵当権者が「滌除」の申出を承諾したときは、抵当権は消滅することになる。

しかし、承諾せず、即ち拒絶した場合は抵当権者は申出後1ヵ月以内に書面により滌除申出人に対し「増価競売」の請求をすることになる。 その後(発信後)1週間以内に「増価競売」の申立をしなければならない。これをしないと申出を承諾したとみなされ「滌除」が成立することになる。


(抵当権者が「増価競売」の請求をするときは、滌除申出後1ヵ月以内に債務者及び抵当不動産の譲渡人に対しても、その旨通知しなければならない。)

抵当権者は、競売物件が競売手続により滌除金額の1割増以上の金額で買受申出する者が出なかった時は、自ら滌除金額の1割増の価額で競売物件を買い受けなければならない。(「増価競売」といわれる所以だ。)

「増価競売」とは、滌除に対応する手法で、抵当権者の競売手続の申出をする前に始める有力な方法だ。


「増価競売」とは抵当権者が滌除権者(第三取得者)から滌除の申出に対し、申出の滌除金額が納得できない場合にこれを拒絶して行う競売手続をいう。

「増価競売」の申立には申立債権者は裁判所の命令に基づき、滌除申立額の一割増に相当する保証金を納付しなければならない。この保証金は競売の実施により同金額以上の買受申出人がなかった時、申出債権者自らが同金額で買受申出をしたものとされ、その買受代金に充当されることになる。


滌除のノウハウ:

滌除は(債務者側から申立てる競売)といわれる位に、債務者の側から抵当権を整理する有効な方法だ。


土地を活用するノウハウと力を持っている買主をみつけ、この人に滌除を前提として購入してもらう(任意売却)と、不動産がこれほど安くなっているご時世だから、案外スッキリ銀行も任意売却に応じてくれることもある(増価競売をしても1割高く売れないので。)


次回の予定は

自己破産:それぞれのケースと実際

任意整理と自己破産の説明 (参考例として)   きたやん(osaka)