北出茂 大阪・枚方の社労士の働き方ブログ 【三方良し】ブログ

北出茂 大阪・枚方の社労士の働き方ブログ 【三方良し】ブログ

法律家20年、開業10年のコンサル。働き方、資格、法律などについて語ります。(補助 えみ+あり+まい)

※当ブログは出展だけ明記してくだされば引用自由で連絡不要とします。但し、商業使用に関しては連絡のうえ使用条件につき許可を得てください。

このブログは、北出茂社会保険労務士事務所(北出茂と仲間たち)が運営しております。
皆様のおかげで、前身の「ポラリス北出法務事務所」より数えて開業10年を迎えることができました。ポラリスは北極星であり、道しるべとなる星です。変化の速い時代であるからこそ変わらない存在でありたい。困難に陥った時に頼れる存在でありたい。思いは今も変わりません。
ありがたいことに、毎年、様々なところから、講演やセミナーの依頼をいただきます。その中には病院での講演会講師も含まれています。2020年から2023年にかけて、いまや世界中の人々がコロナウイルスにより、生命や健康を脅かされております。
命と健康にかかわる仕事をされておられる方に、心からの経緯を表します。
改めて思います。
生きていることは奇跡なのだと。一人ひとりが、かけがえのない存在であるのだと。
だからこそ、自分自身を大切に大切に。
今日という日は、昨日亡くなった方が、あれほどまでに夢見た明日という日。
今日という日が、あなたにとって、素敵な1日でありますように。

北出茂社会保険労務士事務所 所長 北出茂     http://www.sanpouyoshi-kitade.com/

弁論大会において、当職が関西大学のエースであったころ、立命館大学でエースであったのが泉であった。

ともに関関同立の弁論部に所属しており、法律討論会などでもよく顔を合わせた。

泉が2024年6月28日に、記者会見で以下のように発言をした。

 

■立憲民主党・泉健太代表(発言録)

 日本維新の会は国会が閉じた後、(政党から議員個人に渡し、使途公開の義務がない)政策活動費を廃止する方針を決めた。「何ですか、これは」という話だ。

維新と自民党との党首会談の結果、国民もあきれる政策活動費の領収書10年後公開が妥結された。維新のこの対応が、岸田政権に対する最大の助け舟になったのに、今になって「私たちは政策活動費を廃止します」では済まされない。10年後公開という置き土産はどうしてくれるんだ。恐ろしい、とんでもないものを残してしまった。対応は支離滅裂で、政党の体をなしていないし、ありえない。

 維新は、第2自民党という立場は金輪際やめにしてもらいたい。現時点では(与党か野党かわからない)「ゆ党」だ。(次期衆院選の野党連携は)ふらふらしているなら一緒にできない。自民党と戦っていく路線で覚悟を決められるかどうかが問われている。

 

当職は経済政策において立憲民主党の精査を必ずしも支持しない。

しかし、今回の維新の政治姿勢に対する発言はまったく正しい。

立憲民主党・泉健太の発言を指示する

北出茂を推そうと水面下で動いて下さっている人たち、物心両面で支えて下さる人たちがいる。
感謝の気持ちを込めて記す。

第一に、松尾ゼミの皆さま。

松尾匡先生による講読会は今回も面白かった。

松尾匡立命館大学教授による学習会も2回目を迎えた。

大学院生のAさんのために開かれているわけであるが、松尾匡先生には以前、本を献本させていただいたり、NPOでイベントのシンポジスト候補にさせていただいたこともある。

Aさんは、親子で参加しており、25歳前後の私とは違って、勉強家である。

「この親ありてこの子あり」温かい人柄は見事にDNA化されておられる。
また、かつて大石ボラのリーダー的存在だった、堀口こうすけさん(元派遣社員)も参加されている。彼は公人なので、名前を出しても良いだろう。

他にも、読書家で幅広い知識の持ち主の方々が参加されておられる。

 

第二に、特定社労士同期会のみなさま。

資料を見直すと、リーダーが北出茂になっている。

飲み会に参加されなかった皆さんにも心より感謝している。

また、小林由香社労士に謝意を表す。

何かと気を遣ってくれて、いろんな意味でクッション的存在であった。

我々男性社労士が気付かない細やかなところに手をつけてくれたり。

今後ともコラボしたい、協同していきたい存在である。

 

第三に、天満塾経営労務研究会の皆さま。

Bさんとはちょいちょい歴史観で論争になるのだけど、すぐにノーマルモードにスイッチできて大笑いできる関係。

全員書くと大変なのでぎゅっとまとめる‥。
Cさんは不屈の人。
Dさんはとにかく熱いハートの持ち主。
Eさんはまさしくプロ。そしてベテラン。
他にもいろんなキャラたちが長年付き添って学ばせていただいている。
それにしても、主要メンバーとは本当に長い付き合いになった。

 

第四は、週末に労働相談をして「きたで社労士事務所」に振り込みをしてくださる、長年ご愛顧下さるリピーターの皆々様。
荒削りな「きたでとゆかいな仲間たち」の様々な活動を、ハラハラしながらカンパや御寄附で

 

第五に、支えて下さる皆々様。
志を同じくする皆々様。

北出茂という変人と関わることとなった家族や友人たち。

地元の皆さま。会社の皆さま。営業の皆さま。技術屋の皆さま。

 

本当に多くの皆々様に支えられて好き放題生きております。
心より感謝申し上げます。

そしてこれからも、「きたでとゆかいな仲間たち」の活動にご協力を願いますよう
隅から隅まで、ずいと御(おん)願い奉ります!

 カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、消費者・顧客による悪質な嫌がらせや迷惑行為のことです。
 カスハラには、理不尽なクレームや暴言を繰り返す、度を超えた謝罪や対価を要求をする、暴行を加える、やらの種類があるんや。

● カスタマーハラスメント(カスハラ)等を労災認定基準に追加へ

 記事でもご紹介したように、以前からおっきな問題になってるカスタマーハラスメント(カスハラ)やねんけど、厚生労働省が重い腰をようやくあげて、相談体制の整備や被害者への配慮等、従業員を保護する対策を企業に義務付ける検討に入った。

詳細については・・・以下をご参照ください。

● カスハラ対策、義務化検討 企業が従業員保護 (東京新聞)
顧客が理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)を巡り、厚生労働省は従業員を保護する対策を企業に義務付ける検討に入った。

具体策として対応マニュアルの策定や従業員から相談を受ける社内体制の整備やらが浮上してる。労働施策総合推進法改正案を2025年の通常国会にも提出する。

カスハラは近年、小売りやサービス業界を中心に社会問題化。
被害から守るため、従業員の名札や、公共交通機関の運転者の氏名表示をやめる動きが広がってる。
背景として日本社会特有の「顧客第一主義」が指摘されとり、法改正が改善への布石となる可能性がある一方、品質やサービス向上につながる正当な要求とどう区別するかが検討課題となる。

● 「ぶっ殺すねんとどやされた」 カスハラ被害46% 小売業の労組調査(毎日新聞参照)
顧客による迷惑行為である「カスタマーハラスメント(カスハラ)」について、小売業やサービス業の従業員らで組織する労働組合は、組合員を対象としたアンケート結果を公表した。

直近2年間で被害に遭うた人は回答者の46・8%に上った。
自由記述では「ぶっ殺すねんとどやされた」やら、深刻な被害の事例が寄せられた。
「最も印象に残ってる迷惑行為」を尋ねたとこ、被害の種類で最も多かったのは暴言(39・8%)。
実例としては「女のくせに」て暴言を受けた上で再来店時に木刀を持ってこられたり、客にデザートを運ぼうと声をかけると「うるせえ、てめえぶっ殺すねん」てどやされたりした。

2番目に多かったのは威嚇・脅迫(14・7%)で「『歯食いしばらんかい』て言われ、しばこうとしたり、車でひこうとしてきたりした」っちゅう事例もあった。
ほとんど犯罪者やないか…。

同じ内容を繰り返すクレーム(13・8%)、長時間拘束(11・1%)、権威的態度(10・2%)と続いた。
「動画を撮られ、警察を呼んで対応したけど、心当たりのあれへん中傷をネット上に掲載された」やらネット上の被害も0・8%あった。

加害者の性別は70・6%が男性やった。
年齢は40代以上とみられる人が全体の9割以上で、中でも50代と60代がそれぞれ約3割を占めた。
対応した時間は「1時間以内」が62・7%やったが、それ以上の時間を要したケースも40%近うあった。

雇用主やらの対策は「特にあれへん」が42・2%で、前回調査からほぼ横ばいやった。

厚生労働省は、カスハラから従業員を守るため、企業に相談体制の整備や被害者への配慮を義務づける法整備を検討してる。

● サービス職、3人に1人がカスハラ被害 逆に「退職促された」声も(毎日新聞)
客からの理不尽な要求や威圧的な言動やら迷惑行為を指す「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。

飲食、介護やらサービス職では従業員の3分の1超が「カスハラ」の被害を受けてること民間調査で明らかになった。
強いストレスにさらされてる現場では、対応が悪い企業からの転職希望が高まることも浮き彫りになった。
 
カスハラの有無を尋ねると、全体の20・8%が「3年以内に被害を受けた」て答えた。
「3年以上前に被害を受けた」っちゅう人も合わすと3分の1を超える計35・5%が被害を経験しとった。

カスハラ被害者3000人に「ここ3年のカスハラ経験の増減」を聞くと、32・6%が「増えた」て回答。
「変われへん」も46・8%あった。
「減った」は13・8%にとどまっとり、カスハラ被害は拡大してる。

深刻なのは、被害を受けた従業員を守るべき会社側の対応がずさんなこっちゃ。
カスハラ被害者の36・3%が「嫌がらせの被害を(雇用先が)認知しとったけど、なんも対応はなかった」て訴えた。

従業員がカスハラ被害を会社に報告・相談したにもかかわらんと、適切な対応をされへんこと「セカンド・ハラスメント」て呼ぶ。
25・5%がセカンド・ハラスメントを受けた経験が「ある」て答えた。

複数回答で具体例を聞くと「ひたすら我慢すること強要された」(11%)、「軽んじられ、相手にしてもらえへんかった」(8・9%)といった声が多い。
「退職を促された」(0・7%)ちゅう人もおり、本来は従業員を守るべき会社や上司が被害に追い打ちを掛けるケースが目立つ。

 

担当:美波 帝 (みなみ みかど)大阪出身

作家で政治団体日本保守党代表の百田尚樹氏(68)が6月8日に、自身の「X」(旧ツイッター)で、党の代表を退くことを検討していると明かした。

また、「最近、百田の発言が気に入らんからと、党員を辞める人もいるようなので、マジで代表を退くことを考えています」と明かしている。

筆者も物書きの一人として、百田氏のことは尊敬している。

とりわけ、「永遠のゼロ」を読み、創作意欲を書きたてられた。

取ってよかった資格 「第一種衛生管理者」

 

労働安全衛生法により、常時50人以上が働く事業場では、衛生管理者を1人以上置くことが義務づけられています。衛生管理者は、事業場で働く人が増えるにつれて設置する人数を増やす必要があります。

 

どこの事業場でも、当然、衛生管理者の設置義務があり、資格を持っていれば、職場では重宝されます(^^)/

 

<衛生管理者の種類>

衛生管理者には第一種と第二種の2種類があります。

第一種であれば、すべての業種で衛生管理者となることができるので、転職、再就職に役立てたいという方はオススメです!

第二種は事務作業中心の職場が対象となり、第一種は有害業務を扱う業種(製造業、運送業、鉱業、建設業等)が対象となります。

 

<合格率>

合格率は第一種衛生管理者が40%前後(初回合格率は20%程度)、第二種衛生管理者が50%前後(初回合格率は25%程度)です。

 

<必要な勉強時間>

第一種でおよそ100時間、第二種で60時間と言われています。

毎日1時間勉強するとして、第一種で3カ月、第二種で2カ月が受験までの目安となります。

 

<試験日>

全国7ブロックに分けて、毎月試験日が3~5日あります。

 

衛生管理者は難易度もそれほど高くなく、地道に勉強すれば取れる資格です。

50人以上の人が働く職場では有資格者が必要となるので、重宝がられることも多いはず。

製造業や建設業、運送業等にお勤めの方で、何か資格を取ろうかな?と思っている方にはオススメです。

取ってよかった資格

 

合格してよかった資格、社会保険労務士(以下、社労士)について。

 

もともと総務・人事・労務・法務・保険の仕事を経験していて、業務で必要な知識を身につけるために始めた勉強。

特に、損保ジャパンで働いているときに女性社員が受験をしていると聞いて、刺激を受けて

勉強を本気で始めました。

 

<社労士とは>

社労士は、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。

企業の成長には、お金、モノ、人材が必要とされていますが、社労士はその中でも人材に関する専門家。

企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」や「年金の相談」に応じるなど、業務の内容は広範囲にわたります。

 

<合格率>

社労士試験の合格率は年度によってばらつきがあるものの、平均6~7%程度です。

 

<必要な勉強時間>

試験範囲が広く、合格するためには1000時間以上の勉強が必要だと言われています。

ただし、予備校の学習時間には【3倍の法則】があります。

3000時間はかかると考えておいた方が無難です。

しかも、3,000時間勉強すれば必ず合格できるとは限らないので、目安として考えてください。

 

< 試験日>

社労士の試験は年に1回、8月の第4日曜日に実施されます。

社労士試験に合格すれば、会社員として働くだけでなく、独立・開業も可能です。

謹賀新年

 

 新年あけましておめでとうございます。

 日本でも、新年早々胸が痛くなる災害や事故が相次ぎました。

 世界に目を向けると、ウクライナやガザ地区(パレスチナ)では、今も無辜(むこ)の民の命が奪われています。理不尽な経済制裁に苦しめられている国もあります。

この正月に私は数え年で五〇を迎えました。

 敬愛する四宮先生に見習って、非常の死を遂げながら、理不尽な国際的経済制裁に苦しめられているアフガニスタンの人々から今なお敬愛されている中村哲氏の言葉を噛み締めつつ、残りの人生を送りたいと思います。

 彼は、「全ての『繁栄』と名の付くものは弱者の犠牲の上に築かれてきた」と指摘し、自己責任を唱えることは、「人のことをかまっておれるか」と開き直ることであると喝破(かっぱ)しています。

 そして、「人は、夫々(それぞれ)のやり方で、重荷を負いあって生きていくように召されている」ことが、自らの出発点であり、くりかえしたちかえっていくべき共有点でもあると考えました(ペシャワール会報第2号より)。

 彼のような大きな業を成し遂げる能力は私にはありませんし、特定の信仰をもつ者でもありません。

しかし、職業人としては勿論のこと、資本主義の暴走下で苦しむ同時代に生きる人々のために、法律家として何某(なにがし)かのお力になれるように、作家・活動家として社会の闇を光で照らし警鐘を鳴らす活動ができるように、微力ながらも尽力していきたい、日々精進をしていきたいと考えています。

 皆様には、今後とも御指導、御鞭撻の程を、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

2024年元旦  北出 茂

第19回試験 倫理2

 

<おきらく社労士の答案>

【解答例】 イ 代理人となることができない
本来、D社の代表から「報酬として30万円支払うので、D社の代理人として」という言葉がなければ、当該D社の申し出は、社会保険労務士法第2条第3項第2号の和解交渉となるが、この文言があるため、依頼を受けると、双方代理を行うことになるので、D社の依頼は受けられない。(130字)

<下記より引用>
第19回紛争解決手続代理業務試験を解いてみた(倫理編=解答例):おきらく社労士のどたばた雑記帳@マジメ:SSブログ (ss-blog.jp)
 

<当研究会による上記答案の採点>

15点満点中0点

 

<講評>

条文の構造や法律の趣旨を理解していないという点が致命的です。

まずは、条文をきちんと読むことから始めてください。

「これをあげる」と商品をプレゼントされている(贈与)のに、

窃盗罪(犯罪)を成立させてしまうような、

極めて危険で法律を無視した独善的な解釈(もはや法解釈ですらない)をしてしまっています。

「おきらく」で済まされる話ではありません。

この答案では0点(もしくは「書き賃」として1点の獲得が関の山)だと考えられます。

【解答例①】 代理人となることができるとする立場からの[スペシャル答案]

<結論>

 イ 代理人となることができる
<理由>

紛争解決手続中に、乙は、D社から、退職を前提に金銭和解の提案をされている。D社が乙に有償でD社の代理人としてEを説得してほしいと申し出たのに対して、乙は即答せずに、Eと連絡をとり、誠実に信義則に反することなく申し出の内容を正確に伝えている。

すると、Eからも退職を前提とした金銭和解の金額の交渉を依頼されたうえ、有償で「D社の代理人にもなっていただいて結構です」との回答を得ている。

同意があるので、法律上も双方代理の禁止には該当しない。

よって、乙は、D社の申出に応じて同社の代理人となることができる。(249字)

 

(他の答案は掲載を省略。「究極の過去問題集」にはすべての答案が掲載されています)

 

〔出題の趣旨〕

 

第1回期日の直後、乙は、D社の代表者から電話で、「もしEが自発的に退職してくれるのであれば、相当額の金銭を支払って解決する用意がある。報酬として30万円を支払うので、D社の代理人として、Eをその方向で説得してくれないか。」という申し出をうけた。

 乙は、即答せず、電話を切ったうえで、Eと連絡をとり、D社代表者から上記申し出をそのまま正確に伝えた。

すると、Eは「第1回期日におけるD社の頑なな態度を見て、私も、お金を支払ってもらえるなら退職してもいいかなと思っていたところです。その前提でD社と金額の交渉をしてくれませんか。D社の代理人にもなっていただいて結構です。乙さんも、両方から報酬がもらえて得ですよね。」と答えた。

この場合において、法律に照らし、乙は、D社の申出に応じて同社の代理人となることができるのか①結論と、②その結論に至る理由の双方の記載を求める出題である

 

<この問題を解く上での条文とキーワード>

 

【第19回(倫理2)】

民法108条、双方の同意

一般義務

社労士法1条、公正誠実、

社労士法16条、社労士としての信用や品位、                                                               

 

<北出博士のワンポイント解説>

 

【特定社労士の法律上の権限について】

 まず、このような交渉をすることが特定社労士の権限内であるかについて考察をしなければならない。

 この点、問題文より、乙はEの代理人として調停の第1回期日に出頭し意見を述べたが、合意に至らず、約1ヵ月後に第2回期日が設定されたことが明らかである。そして、この第1回期日の直後に和解交渉の申し入れがあったわけである。

 とすれば、金銭和解の交渉自体は、紛争解決手続中であるため、社労士法2条3項2号(和解交渉)で特定社労士の業務の範囲内として認められるということになる。

 

【双方代理と双方の同意(許諾)について】

 次に、乙はD社の代表からの電話で「報酬として30万円やるから、退職して金銭解決する方向で説得してくれ」と言われている。D社の申出に応じて同社の代理人になることができるか。
 この点、D社の依頼を受けると双方代理となるのであれば、同社の代理人になることができないということになる(民法108条、弁護士職務倫理規定28条参照)。
 しかし、本件についてみると、第一に、D社の代表は、乙がEの代理人として調停の第1回期日に出頭し意見を述べた経緯から、乙がEの代理人であることを当然分かったうえで依頼をしている

しかも、乙は、即答せず、電話を切ったうえで、Eと連絡をとり、D社代表者から上記申し出をそのまま正確に伝えている。乙は誠実に職務を遂行し何ら信義則に反することはしていないのである。

 さらに、第二に、Eも金銭和解の金額の交渉を依頼したうえで、乙がD社の代理人になることを承諾している

 すなわち、Eは「第1回期日におけるD社の頑なな態度を見て、私も、お金を支払ってもらえるなら退職してもいいかなと思っていたところです。その前提でD社と金額の交渉をしてくれませんか。D社の代理人にもなっていただいて結構です。乙さんも、両方から報酬がもらえて得ですよね。」と答えている。

 Eは方向性が一致することを確認したうえで、乙がD社の代理人になることでより交渉が上手くいくことを理解したからこそ、乙がD社の代理人になることを快く許諾しているのである。

 

【あてはめと結論について】

 本問では、わざわざ双方の依頼(許諾・同意)があることを浮かび上がらせている。そうすると、少なくとも双方代理として禁止される行為には当たらない。

この観点からは、代理人になることができる結論に傾く。明文上、そうであるし、双方が望んでいるのであるから、できない理由がないというのが素直な解釈である。

他方で、公正な業務遂行という観点からは慎重を要する、もしくは影響が僅少であっても倫理上許されないと考えることも(苦しいが)不可能ではない。

 なお、双方代理になるから法律上許されないという回答では不合格答案になることは当然である。

 そこで、代理人となることができるとする立場からの解答例(参考答案)を【4通】掲載した。

 さらに、代理人となることができるが、慎重を要する立場からの答案を【1通】掲載した。

 そして、双方代理にはならないので法律上は禁止されないが倫理上許されないので代理人となることができないとする立場からの解答例(参考答案)を【1通】掲載した。

 合計で【6通】の解答例を掲載することにした。

 

以下の条文が参考になる。

 

<民法>

(自己契約及び双方代理等)

第108条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない

 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

<社労士法>

(社会保険労務士の職責)

第1条の2 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。

 

(信用失墜行為の禁止)

第16条 社会保険労務士は、社会保険労務士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。

 

(秘密を守る義務)

第21条 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなった後においても、また同様とする。

 

<弁護士職務倫理規定>

(職務を行い得ない事件)
第二十八条 弁護士は、前条に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第一号及び

第四号に掲げる事件についてその依頼者が同意した場合、第二号に掲げる事件についてその依頼者及び相手方が同意した場合並びに第三号に掲げる事件についてその依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合は、この限りでない
一 相手方が配偶者、直系血族、兄弟姉妹又は同居の親族である事件
二 受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供を約している者を相手
方とする事件
三 依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件
四 依頼者の利益と自己の経済的利益が相反する事件

 

【追記】

<読者から「反面教師として非常に示唆に富む解答例がある」との連絡を受けたので、みなさんにも紹介させていただきます>

第19回紛争解決手続代理業務試験を解いてみた(倫理編=解答例):おきらく社労士のどたばた雑記帳@マジメ:SSブログ (ss-blog.jp)