ずっと誤解していました。これはとても重要な告発です。加害者も被害者も互いに両得=ウィンウィンだったのでは…などと高をくくっていたことを謝罪させて下さい。

 

SHE SAID シー・セッド その名を暴け

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

 

 

映画界の犯罪を新聞記者が追う

 

あらすじは、性暴力だ。

 

ハリウッドの映画プロデューサーによるセクシャルハラスメントを超えた犯罪。被害女性たち(サバイバー)の証言を集める2人の新聞記者。ニューヨーク・タイムズ紙の調査報道による、実話である。

 

アメリカのみならず映画界、いや世界を揺るがし、今なお余波が止まらない真実の暴露だ。ニュース等でご存知の方も多いことでしょう。

 

告発されたのはハーヴェイ・ワインスタインという大柄な男である。映画好きにとっては慣れ親しんだ名前だ。実弟と共に設立したミラマックス社は傑作映画を次々に発表、興行収入と人気を誇った。

 

たとえば『トゥルー・ロマンス』『パルプ・フィクション』『キル・ビル』『シカゴ』『イングリッシュ・ペイシェント』『スクリーム』『グッド・ウィル・ハンティング』『恋に落ちたシェイクスピア』、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズもプロデュース…!

 

ここには書ききれないほどのアカデミー賞ノミネートです。圧巻のラインナップ。ご興味がある方は↓コチラを。

 

 

面白い映画を作るプロデューサーだと、多くのファンが信頼していた。その裏で、女優やアシスタントを文字通り襲っていたのだという。

 

女優がプロデューサーの誘いに乗る=いわゆる「枕営業」は耳にする。この騒動も、仕事を得たい女と有力者の下心関係であっただろうに、今更、なにを騒いでいるのか。などと思っていた当方を、どなたか殴ってほしい。

 

全く違うではないか。互いの欲望を利用などというレベルではない。ただのレイプだ。犯罪だ。

 

ジャニー喜多川とあまりにも似たケース。同様に脳に支障をきたしている可能性がある。力のある大人が全裸で襲ってくるのだ、こんなに怖いことが他にあるだろうか。

 

 

キャスト&スタッフ

 

SHE SAID シー・セッド その名を暴け

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記者役(↑右側)が上手すぎる…って、キャリー・マリガン! 分からなかったのは当方だけですか?(震え)  『プロミシング・ヤング・ウーマン』とは、また全然違う。

 

記者役(↑左側)も生活感を醸し出して良いのだけれど、演じたゾーイ・カザンは私生活ではポール・ダノのパートナーであった! 優秀。

 

SHE SAID シー・セッド その名を暴け

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

 

グレイヘア上司役パトリシア・クラークソンが実に理知的。いずれはああなりたい。

 

マリア・シュラーダー監督はご自身も女優兼業だからか、気迫と気配りを感じる。原作はピューリッツァー賞を獲っており注目の映画化だったが、本作も真摯で硬派だ。

 

 

 

被害者本人が告発する怒り

 

映画には被害者本人たちも登場している。これ以上ない説得力だろう。

 

製作総指揮はブラピことブラッド・ピットだ。この意味が大きい。劇中に実名が登場するグウィネス・パルトロウは、ブラピと交際中に被害に遭っている。

 

グィネスパルトロウ ブラッドピット

 

そのことを知ったブラピワインスタインに怒鳴り込んだ過去がある。のちにブラピグウィネスは破局したけれど、両者が本作に賭ける思いが推し量れるというもの。原動力は怒りだろうか。

 

 

#MeTooの始まりは恐怖と勇気

 

記者や被害者たちの生活が描かれ、彼女たちが身近に思えてくる。誰が誰やら分からなくなりがちなのは当方(ボンヤリ)のせいと、被害人数の多さにもよるだろう。記者のありえない失敗や、世論を誘導しようとするマスコミの姿には嫌悪感もあった。

 

ところが物語が進むうち、実態が見えてくる。劇中である音が流れるのですが…実際のおとり捜査の時のものだというから、本当に怖い。あの数分が物語るものはとてつもない。

 

#MeToo(私たちも被害者)運動はここから世界に広がった。本件の被害者は売名だと誹謗中傷された。声を上げた者が叩かれる理不尽さ。恥ずかしながら当方も色眼鏡で見ていたこと、大反省です。本当にごめんなさい。(ハリウッドに届け)

 

聖職者の少年への虐待を描いた『スポットライト 世紀のスクープ』や本作を見るに、日本はどうかと考える。ジャニーズ問題がこうして映画になることはない。(確信)

 

ただ、アメリカでも日本でも誰かが声を上げ、誰かが動かなければ闇に葬られていただろう。誰も、誰かの夢を潰していいわけがない。止められない野獣が常に獲物を狙っている恐ろしさが、ここにはある。

 

 

 

 

 

2022年製作/129分/G/アメリカ
原題:She Said

監督:マリア・シュラーダー/製作:デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー/製作総指揮:ブラッド・ピット、リラ・ヤコブ、ミーガン・エリソン、スー・ネイグル/原作:ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー/脚本:レベッカ・レンキビチ/撮影:ナターシャ・ブライエ/美術:メレディス・リッピンコット/衣装:ブリタニー・ロア/編集:ハンスヨルク・バイスブリッヒ/音楽:ニコラス・ブリテル/出演:キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン、パトリシア・クラークソン、アンドレ・ブラウアー、ジェニファー・イーリー、サマンサ・モートン、アンジェラ・ヨー、アシュレイ・ジャッド(本人)

※お読みいただきましてありがとうございます。情報に誤りがありましたらご一報いただけたら幸いです。

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