$世界映画博-トゥルー・ロマンス

『トゥルー・ロマンス』 TRUE ROMANCE 1993年・アメリカ


ハリウッドには法則がある。
ひとつめは、トニー・スコット作品にハズレ無し。
今ひとつは、デヴィッド・フィンチャー監督の傑作ターンは一作おき。

そのトニー・スコット監督が亡くなった。
ロサンゼルスのビンセント・トーマス・ブリッジは大きな吊り橋。
そこから飛び降りた。

映画論や評論に、とんと疎い当方は、商業映画にヨダレが出る。
何も知らずに扉を開けた観客を、楽しませて悶絶させてやろうとする気持ちにうっとりする。

トニー・スコット監督は、間違いがなかった。
驚かせてくれた。
引き込んでくれた。
巻き込んでくれた。


傑作『トゥルー・ロマンス』はラブ・ロマンスで、バイオレンスで、逃避行で、音と人間たちが生きている。

撃ち込まれる銃弾。
対面で向かい合う緊張感。

女の前で頑張る男の純情さ!
銃、クスリ、奪って追われて車を駆る。
面白すぎて悶絶。


クラレンス役のクリスチャン・スレーターは、全盛期。若くて無謀で愛らしい。

アラバマ役のパトリシア・アークエットは当時、ロザンナ・アークエットの妹という認識から今作で抜け出した。アホっぽい喋り方も最高。

デニス・ホッパー、ブラッド・ピット、クリストファー・ウォーケン、ヴァル・キルマー、ゲイリー・オールドマン。
この顔ぶれが皆、観たいと思う役柄で観たい芝居を見せてくれる。至福。

弾けまくりな脚本のクエンティン・タランティーノが書いたラストではないけれど、このラストは好き。
ハンス・ジマーの音楽も画を潤し、引っ張るのだ。


トニー・スコット監督、いつも安心して身を委ねられた。
気がつくと、ドキドキしている。
遺作となった『アンストッパブル』の暴走列車には手汗をかいた。
何本も大ヒットを生み出すのは、並大抵の力ではない。

作品には、必ずポジティブな輝きがあった。
兄のリドリー・スコットが闇ならば、弟のトニーは太陽。
『トップガン2』も準備中であったのに。

トニー・スコット監督が抱えていたものは知る由もないけれども、遺してくれたものの大きさは知っている。



「ハンガー The Hunger(1983)」「トップガン Top Gun(1986)」「ビバリーヒルズ・コップ2 Beverly Hills Cop II(1987)」「リベンジ Revenge(1990)」「デイズ・オブ・サンダー Days of Thunder(1990)」「ラスト・ボーイスカウト The Last Boy Scout(1991)」「トゥルー・ロマンス True Romance(1993)」「クリムゾン・タイド Crimson Tide(1995)」「ザ・ファン The Fan(1996)」「エネミー・オブ・アメリカ Enemy of the State(1998)」「スパイ・ゲーム Spy Game(2001)」「マイ・ボディガード Man on Fire(2004)」「ドミノ Domino(2005)」「デジャヴ Déjà Vu(2006)」「サブウェイ123 激突 The Taking of Pelham 1 2 3(2009)」「アンストッパブル Unstoppable(2010)」



千葉真一の映画3本立てで出会ったクラレンスとアラバマ。映画の趣味が合う男女の相性は鉄板。
トニー・スコット監督の映画、好きでした。



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