ゴジラ映画の7作目。
南国ムードである。
日本を離れ、南の島へ。
雰囲気を変えていこう作戦
南海に漕ぎ出るのは兄を探す地方男子と、ダンスバトル敗者2名と、逃亡者。
ゴーゴーダンスが流行った頃らしい。
太平洋横断ヨット旅も流行ったらしい。
流行り物を詰め込んで、船は行く。
南海なので、登場する怪獣も海産物系だ。
エビラという名はそのものズバリ。
ハサミは本物を使っているのではないか。
もちろん、海老の、である。
途中、登場する巨大鳥は名もなき鳥なのかと思ったら、名前はあった。
大コンドルだ。
漂うリゾート感だけれど、楽しい場所のわけがない。
流れ着いた先でトラブル発生。
怪しいヤツらも現れる。
その名も「赤イ竹」とは、中国共産党を思わせる。
もちろん、南の海といえばモスラだ。
モスラの故郷インファント島は、島民の顔ぶれが変わった。
他にも色々と趣向が変わっており、気分一新である。
というのも、本作は監督が変わったからだ。
スタッフとキャスト
福田純監督は、『電送人間』を撮った御方。細かいことは気にしない。スタジオの天井が映ってしまった気もするけれど無問題。謎の勢いがある。
これまでの本多猪四郎監督カラーを払拭したかったのだろうか、まず音楽が変わった。定番の伊福部昭から佐藤勝に交代。南国ムード漂う旋律が流れるせいか、リゾートでのんびりといったところ。
小美人役も、ザ・ピーナッツから変わってしまった。新キャストはこちらも双子デュオのペア・バンビ。はじめまして、である。
関沢新一脚本には、原水爆実験が加味された。
円谷英二特技監督は本作がゴジラ映画での、最後の特技監督クレジットになる。実際は撮影担当だった有川貞昌が指揮を執ったのだそう。市中の特撮ではないので建物はまばらだ。
逃亡者役の宝田明はワケアリなのに、リーダー面。
ゴジラ映画常連、善人と悪人を行ったり来たりする平田昭彦が今回は悪者。
こちらも常連の田崎潤は悪だろうが善だろうが、常に上司役。
代役で指名されたという水野久美が水着にパレオで駆けずり回る。目の保養だ。
兄探しの男子役が渡辺徹…って本当ですか…! 全っ然わからなかった…! 確認のために観直しておりますが、確かに声はそう…かもしれない…が!(戸惑い
ゴジラの立ち位置も変化する
南の島は時間に緩めだからだろうか、怪獣登場までかなり気を持たせる。
怪獣、なかなか現れない。
ようやく登場したものの、ウトウトするゴジラ。
さすが、南国である。
ゴジラが人間の敵から立場をズラしてきたのは、本作からでしょうか。
立ち位置の変化と共に、人間味がさらに増した。
仕草がオッサンである。
肝心の大決闘も、今回はテニス風味だろうか。
毎回、スポーツ要素を注入しているのかもしれない。
野外ロケの陽光が眩しい。
ヨットの航海シーンもある。
作戦は曖昧だが、気にしない。
これまでの緻密なゴジラとは雰囲気が変わってきた。
もちろん、城もない。
逃げて、飛んで、ドカーンである。
福田純監督は、特撮チームとあまり話し合わなかったそうだけれど。
お写真を拝見したところ、想像を超える黒サングラスであった。(→英語wiki)
なるほど…
人様を見た目で判断してしまい、猛省だ。
断崖のスリルもあり。
海中シーンは初めて見たような気がする。
海の中のゴジラも良い。
美しいバトルに、南の風、ほがらかなゴジラであった。
1966年製作/86分/日本
英語タイトル:Ebirah,Horror of the Deep
配給:東宝
監督:福田純、特技監督:円谷英二、特技監督補:有川貞昌、特技助監督:中野明慶、脚本:関沢新一、製作:田中友幸、音楽:佐藤勝、出演:宝田明、水野久美、平田昭彦、田崎潤、砂塚秀夫、当銀長太郎、伊吹徹、渡辺徹、天本英世、中島春雄(ゴジラ)、関田裕(エビラ)、ペア・バンビ
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