ゴジラ映画の6作目。
ついに宇宙である。
ゴジラが未知の惑星に降り立った!
X星人との対話が熱い
あらすじは、怪獣そっちのけである。
敵は一つ、そんな時代は終わった。
宇宙からX星人が現れるのだから。
UFOがなんとも可愛らしいのだから。
宇宙飛行士2人が調査に向かった新星X。
未踏のはずが、足跡を発見。
誰かいる。
それが、宇宙人X星人であった。
X星人は日本語も堪能。
日本の地理にも詳しい。
ピンポイントで場所を指定。
怪しすぎる。
やがて訪れる危機に、人類の知恵を結集だ。
敵との戦い方、そのアイデアの斬新さといったら!
つい先日観たハリウッド作品でも同じ方法を採用していたことを思うと、先見の明があり過ぎではないか。
と、SFサスペンス部分に見応えがあるので、うっかり怪獣を忘れがちである。
アメリカ人宇宙飛行士と美女の恋の行方も、気になって仕方ない。
が、それでは物足りないわけだ、怪獣映画なのだから。
怪獣を見たいのだから。
と思っていたら、期待に応えてくれるからありがたい。
キャストとスタッフ
宇宙飛行士役1は宝田明だ。ザ・有能。研究所でもリーダー、門外漢だろうに自衛隊に指示も飛ばす。
宇宙飛行士役2はニック・アダムス。『フランケンシュタイン対地底怪獣』でもお目にかかったが、アカデミー賞助演男優賞にノミネート経験があったとは…!
上手いのだ。しかしセリフは全部、納谷悟朗が吹き替えている。納谷悟朗効果でカッコよさが激増。
水野久美がクレオパトラ的な美貌。この人の役柄に、綾波レイ©️エヴァンゲリオンのルーツを見た気がする。
塩沢ときが婦人代表として国連的な場で発言し、地球の運命を決めるテーブルにつき、わりとどこまでも現場に登場するのは、フェミニスト団体から表彰されるべき。
存在感しかない統制官役がどなたか分からず観ていたのですけれども、土屋嘉男だったのか! 名作『ガス人間第一号』でのオタクの鑑も鮮烈であった。
(↓観てました感想です)
伊福部昭のマーチが勇躍! 『シン・ゴジラ』のエンディングが印象的だったけれど、本作のテーマ曲だったことを初めて知りました。(遅い
円谷英二特技監督は宇宙を表現。星なので城はないのだけれど、酸素大丈夫?と心配になるくらいの風景である。
関沢新一の脚本は、怪獣以外のシーンに熱が入る。
本多猪四郎監督はお得意のエキストラ大量動員をしていない。ここまでのゴジラ映画でいちばん、出演者の数が少ないのではないか。しかし、昭和ゴジラ・シリーズの興行収入では『キングコング対ゴジラ』の4.3億円に次ぐ、4.1億円を稼ぎ出した。
満を持しての怪獣シーンに高まる
本作の公開は1965年である。
初老の当方も生まれる前である。
当時、何があったかといえば、1961年にアメリカでアポロ計画がスタート。
宇宙への夢が膨らんでいた頃だ。
怪獣が宇宙に飛び出したのも、そんな時代背景あってだろう。
ゴジラが「シェー!(©️おそ松くん)」を繰り出すシーンに凍りついたが、ここに来て狙いを把握した。
つまり、流行を取り入れていこう精神である。
映画にとって大切な側面だ。
おかげで今、この作品を観ることで当時の空気感が伝わってくる。
さて、お楽しみの怪獣だ。
ゴジラ、ラドン、キングギドラの揃い踏みである。
しかも、今回は熱い戦闘である。
大乱闘に思わず身を乗り出してしまった。
いいぞいいぞと拳を握った。
これは、『怪獣大戦争』のタイトルに恥じない戦いぶり。
娯楽作として進化するゴジラである。
汗を拭うゴジラに苦笑いしつつも、この面白さもまた嬉しい。
1965年製作/94分/日本
英語タイトル:Invasion of Astro-Monster
配給:東宝
監督:本多猪四郎、特技監督:円谷英二、脚本:関沢新一、製作:田中友幸、撮影:小泉一、美術:北猛夫、特技撮影:有川貞昌、富岡素敬、特技美術:渡辺明、合成:向山宏、特技助監督:中野昭慶、出演:宝田明、ニック・アダムス、田崎潤、沢井桂子、水野久美、土屋嘉男、塩沢とき、千石規子、中島春雄(ゴジラ)、篠原正記(ラドン)、広瀬正一(キングギドラ)、納谷悟朗
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