ゴジラ映画の4作目。

素晴らしい。

前作『キングコング対ゴジラ』から一転、しっかりと人間の脅威に戻ったゴジラだ。

 

モスラ対ゴジラ

 

 

  ゴジラがしっかりと怖い

 

冒頭の台風シーンから特撮の魅力が炸裂だ。

愛知の浜に流れ着いた巨大な卵。

謎の卵である。

緑のまだらの殻が幻想的。

卵を巡って、金儲けの私利私欲に走る人々。

絵に描いたようなバチ当たりである。

 

ゴジラの対決VSシリーズ第二弾だ。

今回のお相手は、みんな大好きモスラである。

モスラの人気が伺えるというもの。

インファント島やら、小美人やら、映画『モスラ』陣営の体当たり企画だ。

 

モスラの羽の極彩色!

小美人の可憐さ。

工業地帯や山の向こうを進むゴジラの、その大きさたるや。

『シン・ゴジラ』で同様の効果が使われていたけれど、そのオリジナルがここでしょうか?

いかに大きく恐ろしい生物か、実感できる。

達人の合成技術だ。

 

 

  キャストとスタッフ

 

宝田明は行動力の塊だが、新聞記者だというのに一文字も書かない潔さ。

 

カメラマン役の星由里子は職業婦人。美しい。仕事中だろうとオシャレ衣装。

 

藤木悠がお茶目担当。

 

博士役の小泉博『モスラ』から続投。

 

ザ・ピーナッツは天才的な歌唱はもとより、双子ならではのセリフ同時発声が可愛いのなんの。衣装も最高で可憐。

 

全編を彩る伊福部昭の音楽にシビれる。

 

円谷英二監督の特撮シーンは、やはり世界に誇るミラクルワールド。アレもコレもミニチュアなのだと思うと、その精巧さに震える。

 

向山宏の合成が実に自然で、実に恐ろしげ。

 

関沢新一脚本はオフザケなし。メディアの可能性と限界にも切り込んで、骨太だ。

 

本多猪四郎監督はドラマ部分をしっかりと仕上げてくれている。大量エキストラの迫力といったら!

 

 

  反核路線に引き戻す

 

反核、反原水爆実験である。

ゴジラ1作目の流れに引き戻した。

戦車のキャタピラの動き。

チョココロネ状態のモスラの匍匐前進。

ゴジラの動きも、尻尾が予測不能で恐ろしい。

 

そう、ちゃんと怖いのである。

どうしても城を壊したいゴジラ。

今回の被害者は名古屋城だ。

その暴れっぷりも良い。

人間も、モスラばかりに頼らない姿勢に胸が熱くなる。

 

前作のお笑い路線への世評が芳しくなかったのかどうか。

一気に舵を切り直してくれた。

素晴らしい特撮。

ゴジラの三白眼。

モスラの健気さ。

鬱陶しいことをし続けるのがいちばん効く、という見本。

 

文句なし。

 

 

 

 

 

1964年製作/89分/日本
英語タイトル:Godzilla against Mothra
配給:東宝

監督:本多猪四郎、特技監督:円谷英二、脚本:関沢新一、製作:田中友幸、撮影:小泉一、特技撮影:有川貞昌、富岡素敬、合成:向山宏、美術:北猛夫、音楽:伊福部昭、挿入歌:ザ・ピーナッツ、出演:宝田明、星由里子、小泉博、藤木悠、田島義文、佐原健二、ザ・ピーナッツ、小杉義男、中島春雄、手塚勝己

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