モスラ1961

©1961東宝

 

目をみはる特撮シーンに胸が高まりまくる傑作映画。
 
原水爆実験場となったインファント島沖で日本の漁船が転覆。
調査に向かった一行が遭遇したのは、体長30センチほどの双子小美人であった。
 
彼女たちを連れ帰った悪人。
小美人を追って島を旅立つ、原住民の神、怪獣モスラ
 
私事で恐縮ながら、モスラ関連は何本か観ていたのですが、どうやら、この初登場作品を観ていなかったらしく…
何から何まで驚いてしまう結果に…
モスラ、凄くないですか?(今頃
 
モスラとは健気である。
そして、モスラとは無心である。
ああ、圧倒されて腰が抜けたので、少し落ち着きたい。
 
前半は日本が誇る喜劇人、フランキー堺のオンステージである。
隙あらば、ユーモア
 
モスラが登場してからは、これ、本当に手作り…なの…?と、唖然である。
目がクギヅケ。
総天然色カラー作品なので、衣装、セット、モスラとオシャレが止まらない
 
島の宝である小美人を取り戻すため、旅立つモスラ。
羽化前なので、時間がかかる。
おそらく、自分がやがて飛べるとは知らなかったのだろう。
 
ご存じない方もいらっしゃるかもしれないのでお伝えするのですが、モスラはである。
だから、泳げるはずもない。
でも、泳ぐ。
なんと健気なのか。
当方は虫嫌いなのですが、それでも「かわいい・・・」と呟いてしまったほど。
 
小美人をめぐる、人間の欲と誠意のせめぎ合い。
そんな人間ドラマがたっぷりと。
モスラは案外、遅めに登場するのだが、そこからの一気呵成が凄まじい。
 
ああ、日本に生まれて良かった。
何やら、そんな感慨さえ沸き起こる。
 
 
本多猪四郎監督は『ゴジラ』『妖星ゴラス』と並んで「最も気に入っている作品」だそう(Wikipedia)。そうでしょうそうでしょう。
人間も怪獣も見事で、因果応報もきちんと見せて、大人も子供もワクワクと。最高。
 
円谷英二特技監督のミニチュアと創意工夫による恐ろしい画力
殊に、橋の崩落シーンは思わず「あっ!」と声が出てしまった。
戦車も戦闘機も大兵器も、重火器による火花もド迫力。
圧巻だ。ああ、特撮って凄い!
 
フランキー堺は新聞記者役とは思えぬ八面六臂の活躍。笑いとアクションと人情もある。その存在感、怪獣並み
 
香川京子がカメラマンという役柄も良く、可愛さを再認識。良い!
 
守銭奴ネルソン役がジェリー伊藤。やけにクセのある外人俳優だと思ったら! 若い! 上手い! さすが、昭和のスター
 
ネルソン配下役の中村哲は悪役中の悪役なのに、ビビり顔に笑ってしまった。
 
小泉博は年の離れ過ぎた弟を持つ博士役。全く似ていないので家庭事情も気になったが、その辺りの設定説明は無い。なお、イケメン。
 
小美人役のザ・ピーナッツ! 歌うま姉妹
素敵な衣装の数々で歌いまくり。麗しきハーモニー。
ジュリー沢田研二と結婚した姉エミがホクロのある方。と覚えていたのに、今作では2人ともホクロありまくるという罠。
 
ゴジラの中身の人、中島春雄が幼きモスラの中身も担当されていたとは! あのハイハイする中に入っていたらしたとは! 愛おしさが増すわけだ。
 
朝ドラ『エール』で話題沸騰の作曲家・古関裕而が音楽担当。
『モスラの歌』は珠玉。
ちなみに、インドネシア語の歌詞の訳は「モスラよ。永遠の生命。モスラよ。悲しき下僕の祈りに応えて今こそ蘇れ。モスラよ。力強き生命を得て我らを守れ。平和を守れ。平和こそは永遠に続く繁栄の道である」
素晴らしき祈りだが、当のモスラは悪気なく町を破壊してしまうという切なさ。
 
 
モスラが日本に上陸して以降、土色の形状や動きもあいまって気づいたのだが。
これ…『シン・ゴジラ』じゃないですか…?
・・・え?
もしかして特撮ファンのみならず、今作をご覧になっていた方にはもう、お分かりでしたか?(震え
市中を、モスラが体をよじって進む姿。
ビルに乗っかっていくスタイルも、そう。
 
特撮ド素人ババア(当方)、『ゴジラVSモスラ』のオマージュかと思っていたのですが、そもそも論である。
これが原点じゃないか!
ウハーーーーーッ!である。
温故知新である。遺産の継承だ。
 
原住民は、日本人が体を茶色に塗って演じている、とか。
そのダンスがキレキレで泡を吹く、とか。
日劇ダンシングチームと聞いて納得、とか。
30分過ぎのフランキーの背後に、そこにいないはずの人が映っていた、とか。
私事ながら、先にダイジェスト(東宝チャンピオンまつり版)を観てしまう失態も乗り越えつつ。
 
原水爆実験で被ばくした五福竜丸の事件が、発端である。
テーマは反核であり、多民族への敬意や、世界平和だ。
 
東京タワーにモスラが繭を作る光景は、圧倒的
奪われたものを取り返す。
多種多様な人種も登場する中で、ある意味、怪獣だけが真っ当な行動に出る。
 
解決策も平和的だ。
モスラが愛される理由が、よく分かった。
 

モスラ1961

©1961東宝

 

予告編

 

カチンコWOWOW

 

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『モスラ』
1961年/日本/101分
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚色:関沢新一
原作:中村真一郎、福永武彦、堀田善衛
特技撮影:有川貞昌
造形:利光貞三、八木康栄、八木勘寿
音楽:古関裕而
歌:ザ・ピーナッツ
キャスト:フランキー堺、小泉博、香川京子、田山雅充、ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ)、上原謙、ジェリー伊藤、志村喬、平田昭彦、中島春雄

 

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