..ソフトバンク又吉投手 リスフラン関節損傷、内側楔状骨骨折、舟状骨骨折を考察 | popliteus mのブログ

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整形外科クリニック理学療法士の独り言

ソフトバンクの又吉投手が、2022年7月8日の試合で負傷交代となりました。

 

 

診断名は、右足のリスフラン関節損傷、内側楔状骨骨折、舟状骨骨折で、レアな負傷となりました。

内側楔状骨が赤、舟状骨が緑、リスフラン関節は青い線のあたりになります。

おそらくリスフラン関節損傷は、全部ではなく、内側楔状骨と第一中足骨からなる第1足根(楔状)中足関節の部分だと思われます。

 

損傷部位は、内側縦アーチといわれる部分で、ここに過度の負荷が生じてしまったと考えられます。

 

受傷機転は、投球後、1-2塁間への打球に対して、1塁ベースカバーに入ろうとして、後ろ足で踏み込んだ際に負傷しました。

映像を見ると、つま先はやや外側に向いた状態(toe-out)で、足全体ではなく、つま先の方で踏み込むような形になっています。

考慮すべき点として、マウンド傾斜もあります。

 

足の向きやマウンドの傾斜を考えると、足部は外側(ホームベース方向)に力が向かっています。

それに対して、右足のつま先の方で踏み込んで左前方(1塁ベースの方向)に向かおうとしたため、ちょうどリスフラン関節の内側付近に相反する力が生じたと考えられます。

 

また、踏み込んだ際に、左足(前の足)が浮いてしまっています。

このため左足だけで前方の推進力を得ようとしているので、これも左足に過度に負荷がかかった要因になりそうです。

 

ということで、

・つま先踏み込み

・toe-out

・マウンドの傾斜

・左足だけで踏み込み

このようなことが組み合わさって、負傷してしまったのかもしれません。

 

これが、つま先踏み込みでなく、もっと重心が後方にあり、足底全体で踏み込む状態だと、アキレス腱断裂のリスクも出てくるかもしれません。

そう考えると、ACL損傷もそうですが、ケガの発症要因として、ちょっとした重心の位置とかタイミングなどの影響が意外と大きいのかもしれません。