こんにちは、語源大好き・きんぞうです。「今年一番の冷え込み」という言葉が、天気予報で流れていました。冬の訪れ歩調を合わせるように、インフルエンザが大流行し、学級閉鎖や学校閉鎖が起こっています。ここでも、やはり、手洗・うがい・マスクが基本のようです。

influenzaとinfluence

「インフルエンサー」という言葉はよく耳にします。SNSなどで影響力の大きな発信をする人、そんな定義になるでしょうか。その語の基となっている influence = 影響 と influenza = インフルエンザ、はとてもよく似ています。

実は、influenza はイタリア語(大本はラテン語)に起源があり、語源は、influence そのものです。

そこで、influence を分解すると

in- + flu + -ence = 中に + 流れる + 名詞語尾

全体で「流れ込んでくるもの」となります。 

昔、病気は星の影響で“流れ込んで”起こると考えられていたようです。その後、“星”が“寒さ”になり、influenza になったようです。

今日は、influence の語幹 flu = to flow を取り上げます。

冬が来て 流れ込むのが influenza

では、同語源の語を挙げてみます。意味を隠して挑戦してみてください。

 

・fluid    流動性の

・flood   洪水

・float     浮かぶ, 広がる

・flush    どっと流す, 紅潮する

・fluent  流ちょうな

・affluent                裕福な, 豊富な (af- = ad-)

・influx  流入

・efflux 流出, 発散    (ef- = ex-)

・reflux  逆流, 胃酸逆流

・afflux   充血, 殺到    (af- = ad-)

 

如何でしたか。日本語の意味にも「流」という文字が多く登場しています。語源が見えると英語への親近感が湧くように思います。

アヒルさんの保険会社「アフラック」は?

上のリストの最後の語 afflux 「アフラックス」を見てしまうと“あのアヒルさん”が浮かびました。

「お金が殺到する会社」なんだろうか、などと勘繰ってしまいましたが、ネットで調べると、

American Family Life Assurance Company of Columbus の頭字語(acronym)とのことでした。失礼致しました。

fluを見たら「流」のイメージを

辞書で調べると、上記のリスト以外にも flux, outflux, fluvial, confluence, counterinfluence, effluent など flu を持つ語が登場しています。fluは見えやすい語幹です。是非、センサーのひとつにしてみてください。

 

今日は、インフルエンザから発想を広げました。私たちの周りには語源があふれているようです。

では、また、次回お会いしましょう。

〔編集後記〕 

今日は、influenza の中の語幹 fluに「流れる・流す」の意味があることをご紹介してきました。それでは、「液体・液体の」という語はなにだったでしょうか。

そうです liquid です。

こちらも語幹 flu と同様に、ラテン語に起源を持つ語です。語幹liqu には「溶ける・流れる」の意味があります。併せて、イメージに残してみてください。このグループには、地震の後で表れる「液化現象」の「液化」も含まれています。ご参照ください。

 liquor                     液体・酒

liqueur                     キュール(蒸留酒)

liquefy                     液化する
liquefaction         液化

liquidity                  流動性・換金性

liquidate                  資産を現金化する・清算する

liquidation              清算・解散

「みなさんは、朝食は、パンですか、ご飯ですか?」

「私は米田です。よろしくお願いします。」

 

きっと、全国の多くの米田さんが使っておられる自己紹介かも知れませんが、その人の顔が今も浮かぶのは、この自己紹介の効果でしょう。

 

そこで、私の自己紹介をご紹介させてください。

「みなさん、11月23日は、何の日ですか?」

「そうです、勤労感謝の日です。」

「父の名が武三。私の誕生日が、11月23日。」

「そんな訳で、勤三です。よろしくお願いします。」

 

名字の「水守」はいつの間にか「水森」になったりもするのですが、「勤三」は強く印象に残して頂けるようで、毎年、11月23日になると、年一回のLINEやメールを頂いています。

 

こんにちは、語源大好き・きんぞうです。

今日がちょうど「勤労感謝の日=Labor Thanksgiving Day」ということで、単語 labor で俳句にしてみました。

labor と labour

まずは、綴りから。labour が本来の綴りで、簡素化する動きの中で labor が生まれたとまとめることができます。

本来の綴りがイギリスで、簡素化されたものがアメリカとなります。この現象は、代表的なものでも、color-colour, favor-favour, honor-honour, behavior-behaviour, neighbor-neighbour, rumor-rumour などがあります。イギリスの労働党が Labour Partyと綴られるのも自然なことだと納得です。今回のブログでは、こだわりが必要な場面を除いては、アメリカ綴りを使用していきます。

京都で目にした「おトイレはあちら」の看板

もう数十年前ですが、京都の有名なお寺で庭を散策していた時に、〔 Labatory ⇒ 〕という看板を目にしたのを強く記憶しています。

lavatory と laboratory が混在した綴りミスですが、間違った人の気持ちが伝わってきました。

 

*lavatory      洗面所・手洗所 lavaの語源は to wash

*laboratory  実験室・研究室 語源は labor

 

lavatory の語幹 lava の語源はそのままの形で「溶岩」という意味になっています。人々の家を「流していってしまう」、そんな意味が込められているように見えます。

また、お金を湯水のように使う「気前のよい= lavish」にも登場しています。

骨折って 仕事するとこ laboratory

laboratory は「骨折って働く = to labor」と「場所を表す接尾辞 -ary, -ery, -ory」が結ばれてできた語です。先頭のlabor が見えれば、「トイレ= lavatory」との混同は起きないでしょう。

かなり大変な仕事をする、という意味をもっているため、俳句には、「骨折って」という語を上の句に入れています。

laborの仲間たち

Labor Thanksgiving Dayと私の名前から登場してもらった語幹なので、派生する語は決して多くはありませんが、labor さえ見えれば、意味が記憶に残る語ばかりです。挑戦してみてください。

laborer

laborious, laboriously

collaborate, collaboration, collaborative, collaborator

elaborate, elaboration, elaborative, elaborator

belabor

go into labor, be in labor

早速、解説へ

laborer = labor + -er ⇒ 労働する人 ⇒「労働者」

laborious = labor + 形容詞語尾 -ous

 ⇒「骨の折れる・勤勉な」

collaborate = col- + labor + -ate

                       col- = com- = 一緒に⇒「共同して働く」

elaborate = e- + labor + -ate

                       e- = ex- = 思い切り ⇒「苦心して作る」

belabor = 「強意」の接頭辞 be- + labor
⇒「長々と論じる・詳説する」

go into labor = 大変な仕事 = お産 ⇒「産気づく」

be in labor = 「陣痛発作中である・分娩中である」

 

如何でしたか。「労働」とイメージしていた labor に、「お産」の意味もあることを意識すると、どれくらいのレベルの「労働」かが想像できるように感じます。

骨折って 仕事するとこ laboratory 

味わって頂けましたでしょうか。

では、また次回にお会いしましょう。

〔編集後記〕

勤労感謝の日= Labor Thanksgiving Dayから、語幹 labor を取り上げました。「レイバー」という発音が、collaborateやelaborate では「-ラボ-」となるため、意外と見落してしまうが多いように思います。

「発音が変わるために語源が見えにくくなる」にも、是非挑戦してみてください。
例題:〔発音変化編〕各語に関連する基本単語はなに?

heal 「ヒール・いやす」⇒〔       〕

youth「ユース・若さ」⇒〔       〕

bathe「ベイズ・浸す」⇒〔       〕

weary「ウィアリー・疲れた」⇒〔       〕

答えは、

お店へと 人を引き付け attraction   tract = to draw, pull |

の編集後記の最後に付け足しました。ご参照ください。

 先日、能登半島にドライブに出かけました。地震と豪雨に見舞われた地域を実際に目で見て学ぶべきことを考えてみようと思いました。また、地元経済に少しでもお役に立てればとの思いからのドライブでした。

 

近付くにつれて、主要県道でさえ、幾度となく片側通行になる区域があり、地震から2年弱、豪雨から1年強が過ぎたとは思えない状況がありました。

 

輪島では、至るところの舗道が、車道と接するところで盛り上がっていて、地震の威力を感じました。

 

そんな中、

What attracted my attention the most is the small number of people.

 

とにかく、人を見かけないのです。外に出ている人と言えば、修復の作業員の人だったり、銀行や郵便局に出入りする人くらいだったりで、普通の生活をしている人の姿がほとんど存在しませんでした。

 

こんにちは、語源大好き・きんぞうです。

能登に人が戻る日を応援しながら、今日の俳句へと進みます。

お店へと 人を引き付け attraction

「注意を引く」の英語版である“attract attention”にも登場する attract。名詞のattraction はカタカナ語として、十分に市民権を得ています。

「USJには、どんなアトラクションがあった?」のような感じでしょうか。

 

では、次の文を英語にしてみてみましょう。

 

「どんなアトラクションにあなたは引き付けられたの?」

 

Which attractions were you attracted to?

Which attractions attracted you the most?

 

答えとしては、

I was attracted to The Flying Dinosaur.  のようなものが聞けるのではないでしょうか。

 

なぜ、I was attracted by The Flying Dinosaur. ではないのでしょうか。実は、語源を丁寧に見ていくと、be attracted to … になる理由もなんとなく見えてきます。

attract = ad- + tract

語幹 tract は、tract, tra-, trac-, trea- などの形になり、「引く」を意味し、多くの語を生み出している影響力の大きな語幹です。

「引く」のイメージは、「線を引く」です。また、「線を引いて残ったもの」に焦点があてられるものもあります。

 

日本語を20個出しますので、語幹 tract = 引く・引っ張る を感じながら英語にしてみてください。

 

1.       引き付ける

2.       契約する

3.       下請け契約をする

4.       抽出する

5.       撤回する

6.       引き算をする

7.       逸らす

8.       散らす

9.       抽象的な

10.    収縮する・しかめる

11.    小道・走路・陸上競技

12.    索引者(車)・トラクター

13.    もてなす・手当する

14.    条約・約束

15.    懇願する

16.    特徴・人相

17.    あとを辿る

18.    土地・時間・管

19.    線を引く

20.    物を引っ張る

 

英語にしていきます。

1.       attract             引き付ける

2.       contract          契約する

3.       subcontract   下請け契約をする

4.       extract            抽出する

5.       retract             撤回する

6.       subtract          引き算をする

7.       detract            逸らす

8.       distract           散らす

9.       abstract          抽象的な

10.    contract          収縮する・しかめる

11.    track                小道・走路・陸上競技

12.    tractor             索引者(車)・トラクター

13.    treat                もてなす・手当する

14.    treaty              条約・約束

15.    entreat            懇願する

16.    trait                  特徴・人相

17.    trace                あとを辿る

18.    tract                土地・時間・管

19.    draw                線を引く

20.    drag                 物を引っ張る

 

〔ミニミニ解説〕

なんと言っても「トラック競技」

語幹 tract の最後の -t を省いて tract を発音すると、track が登場してきます。出どころは同じ 語幹 tract で「引く」です。
陸上競技には、トラック競技とフィールド競技があります。スタジアムをイメージすると、外側をぐるっと取り巻くように線を「引いた」場所でするのがトラック競技。その中の広場でするのがフィールド競技です。

トラック競技の語源は、「走る人が残す線」でしょうが、競技場に引かれた白線をイメージしても問題ないでしょう。

契約 収縮する

contract の代表的な意味は、やはり「契約」です。

con- = 共に、tract = 引っ張る で、「両方から(自分の有利は方へ)引っ張り合う」イメージでしょう。

 

そうなると、

Muscles contract when you move your body.

のように使われると、「体を動かすと筋肉が契約する」と混乱してしまうでしょう。

 

アクセントが後ろになりますが、語源の材料は同じです。

ただ、接頭辞の con- は「一緒に」というよりも「思い切り」という感じの強調と考えるとイメージが出てくるでしょう。

 

「思い切り引っ張る」⇒「縮む・眉をしかめる」

detractor と distracter

どちらをよく見かけているかというと、圧倒的にdistracter でしょう。

dis- は、dislike に登場する接頭辞で、反対の意味を表すこともありますが、元となるイメージは「離れる」です。

distracter = 離れたところに引き付けるもの

選択肢問題の正答以外の選択肢を意味する語です。嫌ですね。

一方、detractor は、これも「離れる」を意味する接頭辞 de- と tract がセットになって、「本来あるべき状態から離す」になり、それをする detractor は「誹謗中傷する人」となります。

dragに tract 、音も綴りも似ていないのでは?

如何でしょうか、気付かれたでしょうか。drag と tract の関係は見えましたでしょうか。

ヒントは、「有声音と無声音」です。

「有声音と無声音」の知識は、すでに使える知識になっておられるでしょうか。危ないと思われる方は、

大統領 前に座って President / sed, sid = to sit

をご参照ください。

tract と drag に当てはめると

*無声音[t]の有声音が[d]

*無声音[k]の有声音が[g]

ときれいにふたつが同一物であることが分かります。

 

如何でしたでしょうか。今回もまた、とてもとても長いブログになりました。最後まで、お付き合い頂き有難うございました。

 

最後に、語幹 tract = to draw, pull = 引く・引っ張る

は強力な語幹です。是非是非、

お店へと 人を引き付け attraction

で、記憶に留めてください。では、また、お会いしましょう。

〔編集後記〕

なぜ、I was attracted by The Flying Dinosaur. ではなく、I was attracted to The Flying Dinosaur. になるのかについての語源的解説を。

 

attract を分析すると

attract = at- + tract = ad- + tract

となります。

 

接頭辞 ad- が、語幹の先頭の音[t]につられて、at- と変化をしています。同化と呼ばれる、極自然な変化です。

接頭辞 ad- はとてもシンプルな接頭辞で、「方向」を示すのみです。He goes to school. の to のイメージ。

「彼は学校へ行く」

「人をお店へ引き付ける」

この「へ」が 前置詞 to へと繋がっています。

単純に 「attract A to B = AをBに引き付ける」と覚えるもよし、「attract の at- は ad- だから attract A to B」と覚えるのもよし。個性に合わせてご活用ください。

 

同化については、

離すよう 運んでいるのが different  / fer, late = to carry |

をご参照ください。

 

11月23日掲載「骨折って 仕事するとこ laboratory」の答え

heal 「ヒール・いやす」⇒〔  health  〕

youth「ユース・若さ」⇒〔  young 〕

bathe「ベイズ・浸す」⇒〔  bath  〕

weary「ウィアリー・疲れた」

        ⇒〔  wear  「着る」の他に「すり減る」という身もあり 〕

 

 かなり以前に、Osaka Municipal Subway という英語を電車の中で見かけました。大阪市営地下鉄、今の大阪メトロの旧称です。そこら municipal = 自治都市の・市政の・市営の という語を知りました。

語源を調べて、muni = service, duty、cip = to take、-al = 形容詞語尾 が分かり、「奉仕を引き受けてくれる」から「市営かぁ」と腑に落ちたことを今でも覚えています。

 

こんにちは、語源大好き・きんぞうです。

大阪大学の坂口志文特任教授がノーベル生理学・医学賞受賞を受賞されました。そのニュースを聞きながら、「大阪市営地下鉄」が浮かびました。

免疫反応を抑える「制御性T細胞」

今回のニュースの中で、「免疫 = immune」が繰り返し登場しています。

見えたでしょうか、

*市営の =     municipal    =  muni + cipal

*免疫  =  immune = im- + mune    

これが、ノーベル賞受賞のニュースと市営地下鉄を結び付けた私の中の回路です。

 

一時期、エイズの報道が過熱したように記憶しています。このエイズ=AIDS=後天性免疫不全症候群 の中にも immune が含まれています。

 

*Acquired Immune Deficiency Syndrome

*Acquired Immunodeficiency Syndrome

 

では、immuneを理解するために、次の二つの英語を訳してみてください。ヒント:chickenpox=水ぼうそう

 

1. Children who had chickenpox once are usually immune to it for life.

2. Members of Parliament are immune from arrest during sessions. 
 

1番は、be immune to – で -に対して免疫がある で

 

一度水ぼうそうにかかった子どもは、たいてい一生その病気に免疫がある。

 

語幹  mun, muni = service(奉仕・兵役≒仕事), duty と冒頭でご案内しました。immuneの頭部分=接頭辞 im- は、impossible に登場する否定です。immune を語源的に解釈すると「serviceやduty がない」となり、すんなりと「免疫」という言葉には辿り着けません。因みに、免疫の「疫」は、伝染性して流行する病気を意味しています。

 

では、2番目の英文の意味はどうでしょう。

 

Members of Parliament are immune from arrest during sessions.
「国会議員は会期中は、逮捕に免疫がある」では、意味不明ですし、be immune to ではなく、be immune from になっています。

 

実は、こちらの用法が本来の immune の姿と言えます。

 

こちらの意味に慣れるために、次の日本語を英語にしてみましょう。(学徒出陣に至る場面の表現として)

 

「学生は兵役を免除されていた」

 

Students were exempt from military service.

Students were immune from military service.

 

一般的には、be exempt from – ですが、この exempt を immune に替えても意味は同じになるのです。そして、この用法で使われる immune の中に、「service(=兵役)やdutyが無い」という本来の意味が存在しています。

 

結果として、

Members of Parliament are immune from arrest during sessions. 
「会期中、国会議員は逮捕を免除されている。」

となります。

病原に「仕事」を「させない」⇒免疫

自分が「仕事」から「免除されていた」 immune がいつの間にか、「病原」に「仕事をさせない」という意味も持つようになったと考えると、「immune = 免疫」が実感できるのではないでしょうか。

医学の知識はありませんので、もしかしたら別の解釈をすることもあるかも知れませんが、あくまでも「語源は記憶に残る手掛かり」という考え方でいいと考えます。

また、免疫の対象となるものは、ウイルス以外に、細菌やアレルギーなどもありますが、俳句では、代表として「ウイルス」に登場してもらいました。

community にも語幹 muni がいる

「地域社会」と訳すことの多い community (com- + muni + -ty)にも、muni がいます。

「一緒に仕事をする」と考えると、社会集団・共同体 という意味も繋がっていくでしょう。

community の語源を辞書などで調べると

「⇒ common ⇒ mon = to go, change 」となって、serviceやduty という言葉は見当たらないのですが、必ずと言ってよいほど、補足として「ラテン語 serviceの意味」と付け足されます。

immune から発展する「免疫性」は immunity と community と語源を一にすることが明らかですから、語源の専門家でない私たちは、「community = 一緒に仕事をする社会」と考えて問題はないでしょう。

語幹 muni のゆかいな仲間たち

では、最後に仲間を紹介しましょう。チャレンジしてみてください。

(意味は編集後記に)

 

municipal

municipality

immune

immunity

commune

community

common

remunerate

remuneration

munificent

 

common, community のようなお馴染みの語もあれば、remunerate, munificent のような出くわすことの少ない語もありますが、muni = 仕事 というイメージを重ねることで、意味が染みてくる語だと思います。

ウイルスに 仕事させない immune

をお楽しみ頂ければ幸いです。

では、また次回にお会いしましょう。

〈編集後記〉

municipal               自治都市の・市政の

municipality           自治都市・市当局・全市民

immune                  免疫の・免除された

immunity                免疫(性)・免除・免役

commune               生活共同体・コミューン

community             地域社会・共同社会

common                  共通の・社会一般の

remunerate             報酬を与える・報いる

remuneration         報酬・報いること

munificent              気前の良い・惜しげもなく与える

 

決して仲間は多くないですが、ノーベル賞受賞記念として、語幹 muni をお届けしました。

「男でも、首相になれるの?」

ドイツの元首相、アンゲラ・メルケルさんが、息子さんからされた質問と、インタビューで紹介していました。時代の変化、環境の変化が、考え方の変化を生むのだなと感じました。

 

こんにちは、語源大好き・きんぞうです。

「小倉百人一首」に対抗して、我が町・交野(かたの)を冠して「交野一人百首」と呼び、月2回ゆったりと進めている語源知識の俳句化が、開始から一年を過ぎました。「語源の知識が九九扱いになる日」を目指す気持ちは、揺らぐことがありません。

 

さて、「一人百首」化をスタートする前も含めて、前回が43回目の投稿となり、「統計」という視点で自分のブログを見ることができるようになってきました。

 

amebaのブログ管理画面には、「過去30日間に検索経由で見られている記事」という統計があります。

 

ほぼ一貫して首位をキープしている投稿:

One, Two, Three …より、断然語源! 

 

これも固定的に2位をキープする投稿:

『一人百八十首』語源カルタ! 

 

そして、最近流行の投稿:

立っていて 統計とるから statistics 

 

これがほぼ固定化しています。

「One, Two, Three…」が「mono-, di-, tri-」や「uni-, bi-, tri-」に姿を変えていることに気付くと、単語の意味が具体化したり、記憶に留めやすくなることを、ブログを読んでくださっている方々も共感して頂けているのではないかと考えています。

 

「一人百八十首」は、ちょっと変わったものを見たいという心理からでしょうか。

 

それらに対して「立っていて 統計とるから statistics」がなぜ上位に来るのかには、明確な答えが見つかりません。

 

大相撲の力士に若隆景がいます。テレビの解説者はもちろんアナウンサーまでが、ゆっくりと発音しようとしていることが伝わってくる名前です。少し専門的に解説しますと、破裂音が多く含まれているために発音が難しくなっています。「か・た・か・か・げ」の5文字が、口・喉(声帯)のどこかを破裂させながら発音します。」

破裂音でないのは先頭の「わ」だけという発音からみると非常に稀な名前です。

 

「立っていて 統計とる…」には、19音中、10の破裂音があり、歯切れの良さを感じて頂けているのではないかと自己分析しています。

 

「交野一人百首」の目的は、語源の知識を広めることですが、やはり俳句である以上、響きの良さも追及していかなければと感じるランキングです。

 

さてさて、いつものように前置きが長くなりましたが、今回は理由があります。

 

今日は、「立っていて 統計とる…」からを、正式に「交野一人百首」の中に選んでやりたいと考えました。

決して、新しい俳句ができなくなったり、手を抜こうと考えたりした訳ではありませんのでご安心ください。(あと74首、三年です!)

 

長くなりましたので、一気に締めにかかります。

「立っていて 統計とる…」では触れていいなかったふたつの単語に絞ります。

 

選挙人・安定化、もstand

アメリカの大統領選挙の時によく耳にする「選挙人」。得票率で配分されるのではなく勝者が州の総取をすることで有名なあの「選挙人」を constituent と呼んでいます。

基となる動詞を研究社の辞書では

 constitute = (要素として)組成する・構成する

を先頭にあげています。

 

正に、「候補者と共に立っている人」そんな感じが漂ってきます。

 

NHKのニュースを観ていると、選挙前に国会議員が自分の選挙区に帰って地元の人と意見を交わすシーンなどでも、constituent を使っていますので、「党員票を持つ人」というニュアンスもあるのだろうと思われます。こちらも「共に立つ」で納得してしまいます。

 

次に、「安定化」に進んでみましょう。

「中東情勢の安定化」などは何度も耳にする言葉ですが、意外と簡単に表現ができます。

 

まず、日本語でやってみます。英語にしていってみてください。

 

立つ ⇒ 安定した ⇒ 安定させる ⇒ 安定化

 

stand ⇒ stable ⇒ stabilize ⇒ stabilization

 

結果として、

中東の安定化 = stabilization of the Middle East

 

如何でしたか。本編の短い投稿でしたが、これで

立っていて 統計とるから statistics

を、交野一人百首に選ぶことができました。

皆様のご協力に感謝致します。

 

では、また次回にお会いしましょう。

〈編集後記〉

「統計」のためになぜ「(じっと)立っている」必要があるのかについては、「立っていて 統計とる…」で詳しくお話をさせて頂いています。ぜひ、ご参照ください。

5時過ぎに、車がヘッドライトをつけていました。ずいぶんと夕暮れが早くなりました。それもそのはず、今日は、秋分の日です。

こんばんは、語源大好き・きんぞうです。

窓からの自然の風を感じながら、ブログを書いています。語源好きにとって、今日は外せない日、autumn equinox です。もし、語源をやっていなければ、equinox は「覚えようというファイトが湧かない単語」だったかも知れません。(注:autumnal equinox, vernal equinox という表現もあります)

昼と夜の長さが equal

equinox の頭の部分 equiは、お馴染みの equal ですが、気になりますので、先に、残る nox を片付けてしまいましょう。

秋分の日 = 昼と夜の長さが等しくなる日、と考えると、昼でも夜でもどちらかを出しておけば意味は成立することになります。そうすると、「昼」それとも「夜」どちらにされますか。

 

「ノックス」としてしまうと連想が効きにくくなるのですが、「ノク…」とすると、「夜想曲」や「夜行性の動物」が出て来られるのではないでしょうか。

nocturne, nocturnal animal は登場することの多い語ではないでしょうか。まずは、equinox の nox は「夜」で、一件落着としましょう。

南北を 等しくする線 equator

語幹 equ のもうひとつの俳句です。日本語では「赤道」ですが、英語は equal の動詞形とも言える equate = 同一視する・平均化する に -er, -or が付いた equator がそれになります。equator に equal が見えると、記憶に残りやすい語です。

必要とされる質や量に等しい adequate

「適当」を辞書で引くと、次のような単語が出てきました。

suitable, proper, appropriate, fit, right, adequate, apt, etc

感覚的に使い分けができそうな語もありますが、難しいと感じる語もあります。そんな中にあって、adequate は、単語から意味がにじみ出ています。次の「適当」の気持ちを訳に出してみてください。

We didn’t have adequate rain to grow rice.

今年の夏は、雨が降らず、田が枯れてしまうというニュースを目にしました。逆に、大雨で稲が倒れてしまうものもありました。

正に、多からず少なからず、生育に必要とする量とイコールな雨、それが adequate rain の心でしょう。

(先頭の ad- は、2024年4月15日の「アドレス帳で演説?」

https://ameblo.jp/kinzo-gogen/entry-12848315362.html

をご参照ください)

 

equal を品詞変化させるだけで、語彙が広がります。少し発展もさせますので、品詞と意味を言ってみてください。はっきりした日本語にならなくても、「こんな意味だろう」と考えてみてください。(意味は、編集後記でご案内しています)

 

equally

equality

equalize

equity

equate

equation

inequal

inequality

残りが見えると意味が漂うグループ

先頭の equi, equ, を取り除いた残りの部分を考えると、意味に納得できる語もあります。代表的なものを挙げていますので、意味に挑戦してみてください。こちらも、答えは、編集後記でご案内します。

 

equivalent

equidistant

equilateral

equivocal

equanimity

equilibrium

夜と昼 等しい日だね equinox

普通は、「昼と夜」の並びですが、「nox = 夜」を印象に残して頂くために「夜と昼」としてみました。先頭は、正に equal。だから、春分の日が spring equinox で、秋分の日が autumn equinox。きっと記憶に残して頂きやすくなると確信します。

では、また次回、お会いしましょう。

〔編集後記〕

秋分の日については、autumn equinox の他に、autumnal equinox や vernal equinox という語もありますが、Google Ngram Viewerでみると、徐々に、シンプルな autumn equinox が安定してきている傾向がありましたので、これを中心にして本編を勧めました。

その一方で、春分の日は spring equinox で一本化されているようです。ご安心ください。

 

では最後に、本編に出てきた単語の意味をご紹介します。

 

equally    等しく

equality  同等・等しいこと

equalize  等しくする・均一にする

equity 公平・公正

equate     同等とみなす・等しくする

equation 同一視すること・方程式

inequal   不平等な

inequality               不平等・不均衡

 

equivalent               (価値などが)同等の

equidistant             等距離の

equilateral              等辺の・等辺形

equivocal                両義にとれる・あいまいな

equanimity             冷静・落ち着き

equilibrium            釣合い・均衡

 

お疲れさまでした。

 こんにちは、語源大好き・きんぞうです。竜巻が発生し、石破茂首相が辞任し、阪神タイガースが優勝。日々、様々なことが起こっていることを感じます。そんな中で、大谷選手の緊急登板も気になりました。先発予定の投手が不調を訴えたために、試合開始の数時間前に言われてマウンドに登ったとこのこと。

 

時期を同じくして、同僚がコロナに罹ったために、私も緊急代講をしました。レベルは全く異なりますが…。

今回の変異種は「剃刀を飲み込んだような痛み」をともない、「ニンバス」と名付けられています。これまでは、アルファ、ベータ、オミクロンなどのギリシャ文字で呼ばれていたのに、今回は「ニンバス」。

 

この夏、何度も目にした積乱雲。英語名は Cumulonimbus。カタカナで書くと「キュミュロニンバス」となります。

前半部分は、蓄積する= accumulate や 万博の cumulative total visitors のような、累積する、という形容詞に登場する語幹で、「積み重ねる・膨れる」という意味があります。

 

そうすると、後半の nimbus は「雲」となってきます。

今回のコロナが、身体の中に雲となって出現している、そんなイメージが伝わる命名だと思いました。

 

語幹 cumulo は、広がりが少ない語幹なので、そろそろ今日の本命語幹に移っていきます。(また、ブログが長くなる予感が…)

離すよう 運んでいるのが different

中学で習う単語に differentがあります。同時期に登場するdifficult との区別に苦しむ生徒が多い単語でもあります。

英語初心者の中学生に different を語ると、英語嫌いを作ってしまう危険性があるので、さらっと「覚えよう!」で良いと思います。その一方で、different からは多くのことが学べるとも思います。

同化   dif- は dis-!

単語の中で f がふたつ続いています。これを切り離して、different = dif- + fer + -ent と見ることができようになれば、もう語源の知識がかなりついておられるでしょう。

 

dislike, disease, discuss などに登場する接頭辞 dis- の変化形です。dis- は「否定」と覚える人が多いですが、dis- 自身が、mono-, di-, tri- =1, 2, 3の di- = 2から来ていることを知って頂けると、

dislike = 好きだった状態から離れて2つ目の状態になる

イメージを持って頂けるでしょう。

dis- の基本となるイメージを「離れる」としてみてください。

 

その dis- の後ろにfで始まる語幹 fer が来たために

dis- ⇒ dif- と変化 = 同化

しました。

 

それを表現する方法として、俳句の上の句に「離すよう」と表現してみました。

麻生派よりも大きな fer 派閥

論より証拠。挑戦してみましょう。

-ferで終わる単語を挙げてみてください。動詞であれば、語幹 fer のグループと考えてよいでしょう。私の好きな golfer は名詞なのでダメです。

 

では、やってみましょう。

 

differ = (他とは)離れたところに運ばれている

prefer = 好きなものは他よりも前に運ぶ

suffer = 下(sub-)に運んだら ⇒ 苦しむ

offer = 目の前に面と向かって運ぶ ⇒ 提供する

refer = 何度も運ぶ ⇒ 参照する・言及する

infer = 中に運ぶ = 推論する・ほのめかす

confer = 賞をあげたら、それを一緒に運ぶ ⇒ 授与する

      = みんなが自分を運んできたら ⇒ 協議する

transfer = 超えて運ぶ ⇒ 運ぶ・転勤させる

defer = differと同じイメージ ⇒ 延期する・据え置く

物を運べば transfer、言葉を運べば translate

translate = 訳す・解釈する の語幹 late も実は、fer の変化形。だから、translate と transfer のイメージは同じ。

こちらにも

relate = 関連がある や

なかなかお目に掛からないけれど

elate = …の意気をあげる・元気づける

などもあります。

 

いつものように、品詞を変化させれば、更に広がっていきます。

 

コロナ「ニンバス」を語ってしまい、前書きが長くなりました。今回は、この辺りで失礼します。

離すよう 運んでいるのが different

では、また、次回!

 

〈編集後記〉

エアコン無しの自然の風の中で寝ようかどうかを迷うようになりました。そろそろ夏も終わっていくようです。

今年の夏も、色々なところからお声を掛けて頂き、夏休み中の学生を相手に、語源のお話をさせて頂きました。

 

このブログで、中学生を対象に講座を実施したことを知って頂いた方からもご要望を頂きました。

 

語源だけに偏らず「語彙をどのように身につけていくのか」を、生徒と一緒に考えることができる素晴らしい機会だったと思います。

チャンスを頂きましたことに、心より感謝致します。

 

そして、また、新たな出会いが生まれることを楽しみにしています。ご興味のある方はぜひご連絡ください。

こんにちは、語源大好き・きんぞうです。60年くらい前、小学校の夏休みの宿題で、毎日の天気と気温を記録したことを覚えています。夏休みを通して、30度を超える日は数えるほどだったように記憶しています。最近の天候を見ていても、温暖化は明らかです。人類の二酸化炭素排出(CO2 emission)を削減できるか、もう待ったなしの課題のようです。

 

その emission から、今日のお話を始めていきましょう。

emissionを眺めていると、嫌でも mission が見えてきますので、まずは、e- + mission と分けていってみましょう。

単語の頭の e- は、かなりの確率で ex- の変化形です。

「外へ」を表す ex-

接頭辞 ex- = 外へ はお馴染みです。「排出」を平たく表現すると「外に放り出すこと」なので、mission に「送り出す・解き放つ」という意味を付けることができてきます。動詞 emit では、mit 部分が語幹になります。

「送り出す・解き放つ」をざっくりと「送る = send」で記憶に留めていきましょう。

「ミッション系の学校」という表現

映画 Mission Impossible で有名な mission。映画では、「遂行不可能な任務」という感じでしょう。これも「本部がエージェントを“送り込む”」というイメージで、send に結び付けることができます。ローマ教皇が布教という任務を与えて“送り出す”宣教師たちが missionary で、ミッション系の学校へと繋がっていきます。

語幹 mise, mit, miss = to send

主な変化形は、missionのmiss、emit の mit、そしてもうひとつが promise の mise。品詞を変化させると大きな広がりになりますので、今日は、動詞を中心に一覧にしてみます。“送る”というイメージ持ちながら、まずは意味が言えるかやってみてください。

 

emit, admit, commit, submit, transmit, permit, omit, remit, decommission, dismiss, promise, compromise, premise, demise, surmise, intermittently

 

では、意味を付けていってみましょう。

 

emit = 排出する

admit = 認める・入れる

commit = 任せる・犯す

submit = 服従させる・提出する

transmit = 送る・伝える

permit = 許す・させておく

omit = 除外する・怠る

remit = (金・ものなどを)送る・差し向ける

decommission = 退役させる・廃炉にする

dismiss = 退ける・解雇する

promise = 約束する

compromise = 妥協する・危うくする

premise = 前提とする・家屋敷・構内

demise = 死去・消滅

surmise = 推量する

intermittently = 断続的に

 

decommission は、福島原発事故関連で、intermittentlyは天気予報で、premise は基地の問題で、demise は高貴な方がお亡くなりになった時に、耳にすることの多い語です。すべて「送る」というイメージが含まれています。

 

そこで、語幹 mise, mit, miss = to send を活かして

前方に 送る約束 promise

約束は「これからのこと」についてするものであり、

「これから」=「前方」となり、接頭辞 pro- が登場します。

将来のことについて、送りだすものが「約束」、そんなイメージを持ってみてください。

admit =「認める」 はなぜ?

方向性を表す接頭辞 ad- と「送る」意味の mit でなぜ「認める」になるのかは、語源をやり始めた頃は、なかなか連想できませんでした。

しかし、admit 「〈人・物を〉入れる・通す」については、語源がそのまま当てはまると感じました。

 

☆  The guard admitted the visitor to the palace.

   警備員はその訪問者を宮殿に通した。

☆    The teacher admitted the students to the classroom after the bell rang.

   先生はベルが鳴った後、生徒たちを教室に入れた。

 

などを見ていると、「認める」という意味に発展していくことを感じることができました。

 

とても、多くの語を持つ語幹です。ぜひ、味わってみてください。

では、また次回、お会いしましょう。

 

〈編集後記〉

接頭辞 pro- については、昨年11月の下のブログで取り上げています。ご参照ください。

大統領 前に座って President / sed, sid = to sit | 英単語・語彙力強化に有効な語源の知識とその定着方法をご提供します

こんにちは、語源大好き・きんぞうです。二日前に始まった全国高校野球大会が、雨のために中止になっています。無情の雨ですが、干からびた田んぼや畑に苦しんでおられる農家の方々にとっては、恵みの雨になれば、と願うばかりです。

自然に左右されることの多い農業ですが、後継者不足の問題も深刻なようです。

「成功者」を何という

「成功する」で早い段階から学習する succeed。名詞形は success。では、「成功者」はなんというでしょうか。

一般的には、a successful person, successful people ですが、success だけでも表すことができます。

“successor” はなに?

では、success に人を表す接尾辞 -er の変化形 -or が付いた successor はなにを表すのでしょうか。文にしてみましょう。

 

Many farmers are facing the problem of finding successors.

 

successor の意味が見えてきました。その答えが、今日の語幹 ced, cede, ceed = to go を印象に残す大きな手掛かりになります。

動詞 succeed のふたつの意味

They succeeded in getting what they wanted.

She succeeded to the family business.

 

早速、意味へ。

彼らは欲しいものを手に入れることに成功した。

彼女は家業を継いだ。

 

動詞 succeed には、「成功する」と「あとを継ぐ」という意味があります。それぞれを、動詞・名詞・形容詞と変化させてみます。

 

成功する:succeed ⇒ success ⇒ successful

あとを継ぐ:succeed ⇒ succession ⇒ successive

 

接尾辞を換えてはいるもののこの2つの意味が、同じ発想から成長してきたことが感じられます。

あとを継ぐなら、成功者のあとが良い!

動詞 succeed を語源でみてみましょう。

 

succeed = sub- + ceed

sub- = 副・次・下

ceed = 行く(to go)

 

接頭辞 sub- は、語幹に合わせて suc- に変化しています。語源でよく登場する同化という現象です。

 

「成功する」というイメージに、接頭辞 sub- は似合いません。しかし、「あとを継ぐ」なら、語幹の to go の意味とセットになって、sub- はきれいに当てはまります。

 

ということは、始めの頃に「あとを継ぐ」という意味で使われていた語が、「成功者のあとを継ぐ」ことが多かったために「成功する」という意味が追加されてきたと考えることができます。

 

「後継者」が successor となる歴史的な背景が味わえる気がします。

語幹 ced, cede, ceed, cess = 行く

語幹 ced には、実に多くの語があります。お馴染みの語もあれば、少し難しい目と言われるものもありますが、慣れてくると語幹がしっかりと見えてくるでしょう。まずは、お馴染みの単語を並べてみます。イメージを持てるか、結果として意味を言えるかをチェックしてみてください。

 

succeed, exceed, proceed, recede, precede, precedent, unprecedented, predecessor, intercede, concede, retrocede

 

では、意味を付けてみます。

 

succeed                     あとを継ぐ・成功する

exceed                        越える・まさる

proceed                     始める・進む

recede                       後へ退く・減退する

precede                    先んじる・優先する

precedent               前例・慣例

unprecedented    前例のない・前代未聞の

predecessor          前任者・先輩

intercede                 仲裁する

concede                   認める・譲与する

retrocede                返る・後退する

 

これらの語以外に、やや専門的な語にも語幹 ced は登場してきます。興味のある方は、電子辞書の曖昧検索でチェックしてみてください。

 

また、これらの語の多くが、いつものように品詞変化し大きな広がりを見せます。是非、味わってみてください。

 

では、最後にもう一度、本日の俳句へ

成功の あとを行きたい succeed

では、また次回、お会いしましょう。

〈編集後記〉

語幹 ced については、2024年5月10日の「…シード」で語源!でも取り上げています。絶対に、損のない語幹です。ご参照ください。

「…シード」で語源! | 英単語・語彙力強化に有効な語源の知識とその定着方法をご提供します

こんにちは、語源大好き・きんぞうです。参議院選挙が与党の過半数割れで終わりました。選挙戦では、大きな要素として、減税と給付のコントラストが際立っていました。今後、どんな展開になるかは不透明ですが、明るい今、そして、未来に繋がる政治になることを望むばかりです。

意外な切れ目、 contrast = 対照・対比

語源に慣れて来られた方であれば、contrastは、接頭辞 con-と語幹 trast と見えて自然だと思います。そこで、

電子辞書の曖昧検索で「-trastで終わる語」を引いてみましょう。検索の窓に、「~trast」・「*trast」と入力すると-trastという綴りで終わる語が上がってくるのが曖昧検索でした。

contrastとphase-contrastのふたつだけ

意外なことにこの2語しか出てきません。それも後ろの語は、contrastの前にphaseが付いただけなので、実質的には contrast 一語しかないということになります。

試しに「~tract」・「*tract」をやってみてください。対抗意欲が無くなるくらいたくさんでてきます。数を絞りたいときは、「??tract」・「???tract」と?マークを使ってみましょう。

正しい切れ目は、contra- + st

「そんなの分からないよ」という声が上がりそうですが、自分で考える必要はありません。辞書やネットなどで、正しい切れ目を調べて、美味しい部分だけを味わえばいいのです。

結果、contrast は、con- + trast ではなく、contra- + st であることが分かりました。

コントラリー・コントラバス・…

contra- が接頭辞だと分かると、contrary が見えてきます。

contra- + -ary で、-a-が重なったのでひとつは遠慮して、contrary になったのでしょう。

接尾辞の -ary は形容詞であることを示すためのものなので、ほぼ、意味は無し、と考えられるので、接頭辞 contra- に「逆・反・対」的な意味があると考えることができます。

contrastに取り掛かる前に、接頭辞 contra- を含む語の一部をご紹介しましょう。変化形にお馴染みの counter-もいます。意味を味わってみてください。

 

contrast       対照・対比

contrary       反対の

contradict                反論する・矛盾する

controversy             論争・議論

contraception         避妊(受胎:conception)

contrabass               最低音の・コントラバス

counterpunch         カウンターパンチ

counteract               逆らう

counterclockwise    反時計回りの

counterpart             同地位の人

countermeasure      対案・対抗策

counterproductive   逆効果の

countercurrent          逆流・逆電流

st を見たら 「standでは?」を

contrastが、contra- + st であることが分かったところで、今日の語幹 st に進みましょう。意味は stand です。綴りがそのまま現代の stand にも生き残っているため、発見するのも意味を理解するも容易い語幹です。では、まずは「立つ」の意味がそのままの単語から見てみましょう。
 

station    駅・署

stance     姿勢・構え

state        状態

status      地位・身分

statue      彫像

stature    身長

static       静的な

stable      安定した

statistics 統計・統計学

 

どれも「立つ」というイメージを持てば、しっかりと意味に繋がっていく単語ばかりです。

 

次に、少し接頭辞を付けていってみましょう。

 

constant 不断の・一定の

distant    遠い・水臭い

substance               実質・物質・実体

circumstances       状況・環境

establish 設立する


書き始めると、絶対にだれにも読んで頂けないような量になってしまいますので、ここでストップします。興味のある方は、次のURLを見てみてください。

*sta- - Etymology and Meaning of the Root

 

ここまでを俳句でまとめましょう。

白と黒 反対に立つ contrast

参議院選挙のニュースに度々登場した語に「選挙区」がありました。

和英辞典を引くと、次のようなものが紹介されています。

 

an election district

an electoral district

a voting district

 

確かにこれらの語も耳にしましたが、もっと頻繁に使われていた「選挙区」は、constituency だったと思います。

選挙区 constituency も語幹 st

「選挙区」を表す単語の基を順に辿っていくと下のようになります。

 

constituency          選挙区

constituent             選挙区住民・有権者

constitute               構成する

 

基となる語の constitute にも st の綴りが見られます。

語源の本では「語幹 stitute =建てる」と紹介するものが多いですが、この語幹 stitute を詳しくみていくと、語幹 st = stand が存在していることが分かります。

二つの語幹 st, stitute を分けて覚えてもいいですし、「大本はst だ」てもいいでしょう。

 

「構成する=一緒に立つ」⇒「一緒に立つ人々」⇒「その人たちがいる場所」となって constituency が出来ている、そう思うと、この難しいそうな単語にも親しみが湧くように思います。

構成する= constitute の名詞形は constitution ですが、選挙に関係する意味としては「憲法」にもなります。色々な法律の大本としてそびえ「立つ」そんな存在なのかも知れません。

品詞変化で語彙拡張を

語幹 st を含む語の代表として、stable = 安定した に登場してもらいましょう。日本語を書いていきますので、英語を隠して、どんどん変化させて行ってみてください。

 

安定した                 stable

不安定な                 unstable

安定                           stability

安定させる             stabilize

安定(させること) stabilization

 

品詞を変化させたり接頭辞の付け足したりて、ひとつの語を何倍にも広げていってみてください。

 

最後に、次の英語を日本語に直してみてください。

 

Onosato belongs to the Nishinoseki stable.

 

「安定した」とは異なる語としての stable ですが、語源は同じです。この意味を知った時、少し複雑な気持ちになったことを覚えています。

 

今日は、参議院選挙から、最後は、終盤を迎えている大相撲へとお話を展開してきました。如何でしたでしょうか。

また、次回、お会いしましょう。

〔編集後記〕

語幹 st を持つ語の中に、statistics = 統計・統計学 をご紹介しました。接尾辞の -ics = …学・…術 に至るまでの部分が、state = 状態・様子 であり、その state の語源が、語幹 st になります。

昨年8月9日のブログで取り上げています。

立っていて 統計とるから statistics | 英単語・語彙力強化に有効な語源の知識とその定着方法をご提供します

是非、ご参照ください。