「花粉を香りでガード」に措置命令 ~236 号~(2024/05/08) | 景表法ニュースレター バックナンバー

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弁護士出身の実業家・林田です。

 

消費者庁は4月26日、エステー社の花粉対策

商品MoriLaboの訴求「花粉を香りでガード」

に合理的根拠がないとして、措置命令を下しま

した(>措置命令DB)。

 

今日はこの事件についてお話しします。

 

1.本品は置き型だったりマスクに塗るタイプ

だったり色々ありますが、「花粉を香りでガー

ド」の仕組みはどれも同じで、「北海道のトド

マツから抽出された香り成分配合の薬液が、

まわりに浮遊する花粉をガードします」という

もの(>別紙1)。

 

2.その根拠(エビデンス)については、「本品

に配合されているトドマツ精油は、スギ花粉

をコーティングすることにより、アレル物質の

働きを低減するという研究成果が報告されて

います」とありますが(>別紙1)、どういうエ

ビデンスなのか、よくわかりません。

 

3.盛んに「特許技術取得済」と書いていると

ころを見ると(>別紙1)、「特許を取得してい

ることが根拠になる」と考えたのかもしれませ

んが、それは全くの見当違いです。

「特許」の主眼は「新規性」。

つまり、そういう技術が新しいものなのかどう

かであって、本当にそういう効果があるかどう

かはポイントではありません。

極端なことを言うと、そういう効果があること

が全くの作り話であったとしても特許は取得で

きます(他社が追試をして「この効果はデタラ

メ」ということを示すと特許は無効になります)。

 

このことは2018年10月18日に措置命令を

受けた「タバコグッズ事件」で明らかになって

います(この事件についてはYDCのサイト「景

表法ドットコム」で詳しく説明していますので

そちらをご覧下さい>該当ページ)。

 

4.「花粉対策訴求」で措置命令を受けた事件

として、大正製薬社のパブロンマスク事件があ

ります。

この事件は2019年7月4日に措置命令を受

けた事件ですが、もつれにもつれ、今は取消訴

訟で争っています(この「もつれ」はとても重要

な先例なのでレポートにまとめました>

「特集.大正製薬パブロンマスク事件」)。

 

この事件では、大正製薬社は自ら行った試験を

根拠としていましたが、「その方法に一般性が

ない」ということで敗れています。

エステー社はどうだったのでしょうか?

 

5.広告から見る限り、エステー社の守りはイ

マイチな感じがします。

YDCの広告チェックに出してくれていれば

こんなことにはならなかったのに…(この後、

課徴金が来ます)という気がします。

 

詳しいことは、info@yakujihou.com 問合せ窓

口までお問合せ下さい。