エステー株式会社「令和6年4月26日」 | 林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令データブック

林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令データブック

弁護士出身の実業家・林田学です。景表法のプロ薬事法ドットコムが措置命令についてお伝えしていきます。

Ⅰ.分類

1.誤認類型

優良誤認

 

2.表示媒体

WEB

 

3.業界

健康美容

 

Ⅱ.違反行為者

エステー株式会社

 

Ⅲ.措置命令の概要

⑴ 対象商品

アないしエの各商品(以下「本件4商品」という。)

ア 「MoriLabo ナイトケア花粉バリアポット」と称する商品(以下「本件商品①」という。)

イ 「MoriLabo 花粉バリアスティック」と称する商品(以下「本件商品②」という。)

ウ 「MoriLabo 花粉バリアシール」と称する商品(以下「本件商品③」という。)

エ 「MoriLabo 花粉バリアスプレー」と称する商品(以下「本件商品④」という。)

 

⑵ 対象表示 

ア 表示の概要

 

 (ア) 表示媒体      

別表1及び別表2「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所

 

 (イ) 表示期間      

別表1及び別表2「表示期間」欄記載の期間 

 

 (ウ) 表示内容

a 本件商品①ないし本件商品③(表示例:別紙1 別紙2及び別紙3 別紙4及び別紙5 別紙6及び別紙7 別紙8及び別紙9

例えば、本件商品①について、令和5年3月28日から同年9月29日までの間、「エステー製品サイト」と称する自社ウェブサイト(以下「自社ウェブサイト①」という。)において、「香りで花粉をガード※ 花粉を直接覆って、アレル物質の働きを引き下げる」、「ナイトケア花粉バリアポット」及び「森のチカラでヘルスケア(モリラボ) MoriLabo○R」との記載と共に、人物の横顔の画像、半透明の六角形の集合体のイラスト、黄土色・黄色・緑色の各粒形のイラスト及び本件商品①の商品パッケージの画像等を表示するなど、別表1「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、同表「使用方法」欄記載のとおり同表「対象商品」欄記載の商品を使用するだけで、トドマツ精油の香りの成分が、浮遊するスギ花粉を含む花粉をガードする効果及びスギ花粉をコーティングすることによりアレル物質の働きを低減する効果等の同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしていた。

 

b 本件商品④(表示例:別紙10ないし別紙13) 

例えば、令和5年3月28日から同年6月9日までの間、自社ウェブサイト①において、マスクを着用した人物の画像と共に、「MoriLabo○R 花粉に直接アプローチ 次世代の花粉対策」、「花粉をWブロック※1」、「※1 スプレー時には、顔や髪のまわりに浮遊するスギ花粉をコーティングすることにより、アレル物質の働きを低減します。スプレー後には、肌や髪の表面をバリア層が包み込み、空気中のスギ花粉の付着を抑制します。」等と表示するなど、別表2「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、同表「使用方法」欄記載のとおり本件商品④を使用するだけで、スギ花粉を含む花粉が付着することをブロックする効果、及び本件商品④に含まれるトドマツ精油の香りの成分が、顔や頭髪の周りにおいて浮遊するスギ花粉をコーティングすることによりアレル物質の働きを低減する効果が得られるほか、顔や頭髪の周辺の空間に浮遊するウイルスが付着することを99%ブロックする効果等の同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしていた。

 

 イ 実際   

前記アの表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、エステーに対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。

 

 

⑶ 命令の概要

ア 前記⑵アの表示は、それぞれ、本件4商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。

イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。

ウ 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記⑵アの表示と同様の表示を行わないこと。

 

Ⅲ.メディアの報道

消費者庁が根拠となる資料の提出を求めたところ、500ミリリットルほどの容量の密閉された空間でのデータは示されたものの、一般的な使用環境での効果を裏付ける合理的な根拠は示されなかった、と報じている。(NHKニュース)

 

Ⅳ.薬事法ドットコムからのコメント

花粉対策訴求で措置命令を受けたものとして大正製薬のパブロンマスク事件がある。詳しくは特集 大正製薬パブロンマスク事件をご覧ください。