景表法ニュースレター バックナンバー

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弁護士出身の実業家・リーガルマーケティング

創始者の林田です。

 

今日はQ&Aです。

 

Q.機能性表示食品でジャパンプレミアムとい

う商品があります(>表示見本)。

 

認知機能に関して「DHAには、中高年の認知

機能の一部である、日常生活における数に関す

る情報の記憶と数・ことばに関する情報の判断

や読み書きをサポートする機能があることが報

告されています」という表示が認められていま

す。

 

そのLPには、「脳細胞は毎日およそ10万個死

滅! → しかも脳の神経細胞は、一度死滅する

とほとんど増えることはありません →今から

対策できない? →調べるとある成分の不足に

気づきました →それが!青魚のサラサラ成分

DHA・EPA」と続くのですが(>該当箇所)、

これはOKですか?

 

A.1.「脳細胞が毎日10万個死滅する」とい

う話が一般論なら何の問題もありません。

 

2.しかし、本件では、本件商品の関与成分で

あるDHAでそれが対策できる、つまり、脳細

胞の死滅を減少させることができると読めま

す。

 

3.しかし、そのエビデンスはないようで、そ

うすると、景表法違反となります。

仮にあったとしてもそこは本件商品の機能性と

して認められていないので、認められた機能性

の逸脱にもなります。

弁護士出身の実業家・リーガルマーケティング

創始者の林田です。

 

臨床試験の勉強をしたことのある方はご存知と

思いますが、ビフォーアフターの比較方法とし

ては―

(イ)ビフォーの測定値とアフターの測定値を

比較する方法もあれば、

(ロ)ビフォーアフターの変化量(差分)を比較

する方法もあります。

(ハ)そして、比較対象としては、群内比較

(商品のビフォーアフター比較)もあれば、群

間比較(本物群とニセ物=プラセボ群を比較

するやり方)もあります。

 

今日はそんなQ&Aです。

 

Q.カテキンに関する論文に腹部全脂肪面積

の変化を示すグラフがありました(>グラフ)。

 

この論文をもとに、えがおさんのHPでは、

「お腹の脂肪の減少データ」のグラフが示され

ています(>該当グラフ)。

 

一見、プラセボとの間で「23.6cm2」の差があ

るように見えるのですが、これはOKですか?

 

A.1.まずこのグラフはビフォーアフターの

変化量を示すグラフです。

 

2.よって、「-○○cm2」という表記はビフォーア

フターの変化量を示すものでなければなり

ません。

 

3.えがおさんのグラフは一見プラセボとの差

(群間比較)にも見えるのですが、右側の吹き

出しには「12週間後にお腹の脂肪が約23cm2

も減少」と書いており、ここで群内比較である

ことがわかるので、これでOKです。

弁護士出身の実業家・リーガルマーケティング

創始者の林田です。

 

今日はQ&Aです。

 

Q.(あ)楽天内LPで「楽天1位・18冠」と訴求

している例があります(>該当箇所)。

しかし、そのうち15は「リアルタイムランキング」

です(>)。

これはOKですか?

 

(い)またこのLPではレビュー投稿すると特

典がもらえることになっています(>該当箇所)。

医療法人社団祐真会事件では類似の仕組みが

ステマ規制違反として措置命令を受けましたが

(>措置命令DB)、これはOKですか?

 

A.1.(あ)について

(1)まず、注が小さすぎる点が問題です。こ

れでは打消し表示として不十分とされ、「楽天

1位・18冠」が不当表示とされる可能性大です。

 

(2)最近の消費者庁は、「No1表示」について

根拠があるにしてもそれが合理的なものか否か

を吟味しています。

その観点から言うと、「リアルタイムランキング」

は合理性のあるものかどうかが問われます。

 

(3)なお、そのランキングに基づくNo1表示に

合理性がないとされた場合、景表法違反を問

われるのは、ランキング付与機関ではなく、そ

れを使っている広告主です。

 

2.(い)について

このレビューは依頼に基づいて投稿しているの

で、そのことがわかる表示が必要です。

「PR表示」「タイアップ投稿」「依頼による投稿」

等々です。

これがないと、ステマ規制違反となります。

医療法人社団祐真会事件は、こういう表示がな

い事例でした。

弁護士出身の実業家・リーガルマーケティング

創始者の林田です。

 

前回お話ししましたように、消費者庁と大正製

薬の抗争は次のように異例続きの展開となって

います。

 

1.消費者庁はいったん2019年3月にドラフ

トしていた措置命令を書き改め、同年7月に

下した。

 

2.2019年7月に措置命令を受けた大正製薬

は同年10月に消費者庁に審査請求を行ったが、

消費者庁が第三者員会に諮問を行ったのは

2021年9月で、約2年間も間が空いた。

 

3.審査請求が出ると消費者庁は措置命令を下

した担当者とは別の担当者を審理員として選任

し、その者が再審理を行うことになるが、その

審理員の意見書と消費者庁が諮問を行う際に付

けた説明書は、大正製薬の根拠を否定する理由

が異なっていた。

 

ちなみに、大正製薬が措置命令直後に行ったプ

レスリリースによると、弁明の機会において消

費者庁が示した説明は、消費者庁がこのマスク

にウイルスを付け48時間白色蛍光灯を照射し

ても二酸化炭素の放出は増えなかった(ウイル

ス等が分解されたら二酸化炭素が増えるという

前提)、というものでした(このように消費者庁

自ら実験を行い、その結果を弁明の機会にお

いて説明するというのも極めて異例)。

 

対し、消費者庁が第三者委員会への諮問の際に

示した説明は、大正製薬が行った試験は太陽光

に匹敵する強さの光で、そこから室内光での結

果を計算により導いているが、そのような手法

は一般的に認められているものではない、とい

うもの。第三者委員会も大筋においてこの説明

に従い、大正製薬の広告に合理的根拠はないも

のとする消費者庁の判断は正しい、と結論付け

ました。

 

つまり、大正製薬「パブロンマスク 365」は、

マスクに付着したウイルスや花粉アレルゲンが

太陽光や室内光で分解され除菌されると訴求し

ていたのに対し、消費者庁は当初、二酸化炭素

に着目した試験を行った、しかし、それでは勝

てないと見たのか、後に、大正製薬の試験方法

に一般性がないというロジックに変更したので

す。

弁護士出身の実業家・リーガルマーケティング

創始者の林田です。

 

大正製薬の「パブロンマスク 365」広告に関し

ては、2019年1月15日に行われた消費者庁

の合理的根拠の提出要求から、大正製薬の実

質敗北が確定した2022年3月1日の第三者

委員会の結論まで、3年超の抗争が続きました

(正確にはその後も続いています)。

 

以前も取り上げましたが、「追いこまれた消費

者庁」というテーマのもと、今回も取り上げた

いと思います。

 

まずは第1幕。措置命令が下るまで。消費者

庁がいったん下そうとした措置命令を書き改め

るという異例の出来事がありました。

 

1.大正製薬は「パブロンマスク 365」の広告

にて、マスクについた「ウイルス」や「花粉ア

レルゲン」が「太陽光でも室内光でも」「分解

され除菌されます」と訴求していた。

 

2.2019年1月15日消費者庁が大正製薬

に1の広告の合理的根拠の提出を要求し、

同30日、大正製薬が提出。

同年3月5日弁明の機会付与通知(その際

に、予定される措置命令の内容開示。その内

容は、「資料は提出されたが合理的なものと

は認められなかった」がテンプレートで本件も

そうであったと思われる)。

 

3.同年3月19日大正製薬は弁明書を提出

(そこでは詳細な根拠が示され、また、措置命

令が下されれば、争う旨が記載されていたもの

と推察される)。

 

4.消費者庁は3月の措置命令ドラフトを書き

改めて提示した上で弁明の機会を再設定し、

同年6月7日に通知。6月17日に大正製薬弁

明書提出。

 

5.17日後の7月4日、消費者庁は大正製薬に

措置命令を下した(テンプレート型)。

 

次に第2幕。措置命令の後、大正製薬は消費

者庁が弁明の機会において示した実験を批判す

るプレスリリースを即座に行い、その後法的手段

を採りますが、次のように、結局敗北に終わり

ました。

 

6.同年10月1日、大正製薬は消費者庁に不

服申立(審査請求)。

 

7.不服申立を受けた消費者庁は措置命令に関

わっていないものを「審理員」として選任。

審理員は措置命令相当の意見書を提出(時期不

明)。

 

8.2021年9月29日、消費者庁は諮問説明書

を添付して総務省の第三者委員会に諮問。ここ

での理由付は審理員意見書の理由付と異なって

いた。

 

9.委員会は、5回審議(21年11/1、11/25、

22年1/13、2/17、2/25)

・消費者庁は2022年1月25日、資料提出

・2022年3月1日第三者委員会は、消費者庁

の結論妥当と答申

・なお大正製薬には2021年10月11日に、反

論があれば10月25日までに提出せよと通知

するも、大正製薬は何ら提出せず(第三者委員

会結論 P10)

 

10.2022年3月1日、第三者委員会は措置命

令が妥当との結論を示した。