追いこまれた消費者庁(3) ~243 号~(2024/06/26) | 景表法ニュースレター バックナンバー

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弁護士出身の実業家・リーガルマーケティング

創始者の林田です。

 

前回お話ししましたように、消費者庁と大正製

薬の抗争は次のように異例続きの展開となって

います。

 

1.消費者庁はいったん2019年3月にドラフ

トしていた措置命令を書き改め、同年7月に

下した。

 

2.2019年7月に措置命令を受けた大正製薬

は同年10月に消費者庁に審査請求を行ったが、

消費者庁が第三者員会に諮問を行ったのは

2021年9月で、約2年間も間が空いた。

 

3.審査請求が出ると消費者庁は措置命令を下

した担当者とは別の担当者を審理員として選任

し、その者が再審理を行うことになるが、その

審理員の意見書と消費者庁が諮問を行う際に付

けた説明書は、大正製薬の根拠を否定する理由

が異なっていた。

 

ちなみに、大正製薬が措置命令直後に行ったプ

レスリリースによると、弁明の機会において消

費者庁が示した説明は、消費者庁がこのマスク

にウイルスを付け48時間白色蛍光灯を照射し

ても二酸化炭素の放出は増えなかった(ウイル

ス等が分解されたら二酸化炭素が増えるという

前提)、というものでした(このように消費者庁

自ら実験を行い、その結果を弁明の機会にお

いて説明するというのも極めて異例)。

 

対し、消費者庁が第三者委員会への諮問の際に

示した説明は、大正製薬が行った試験は太陽光

に匹敵する強さの光で、そこから室内光での結

果を計算により導いているが、そのような手法

は一般的に認められているものではない、とい

うもの。第三者委員会も大筋においてこの説明

に従い、大正製薬の広告に合理的根拠はないも

のとする消費者庁の判断は正しい、と結論付け

ました。

 

つまり、大正製薬「パブロンマスク 365」は、

マスクに付着したウイルスや花粉アレルゲンが

太陽光や室内光で分解され除菌されると訴求し

ていたのに対し、消費者庁は当初、二酸化炭素

に着目した試験を行った、しかし、それでは勝

てないと見たのか、後に、大正製薬の試験方法

に一般性がないというロジックに変更したので

す。