追いこまれた消費者庁(2) ~242 号~(2024/06/19) | 景表法ニュースレター バックナンバー

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弁護士出身の実業家・リーガルマーケティング

創始者の林田です。

 

大正製薬の「パブロンマスク 365」広告に関し

ては、2019年1月15日に行われた消費者庁

の合理的根拠の提出要求から、大正製薬の実

質敗北が確定した2022年3月1日の第三者

委員会の結論まで、3年超の抗争が続きました

(正確にはその後も続いています)。

 

以前も取り上げましたが、「追いこまれた消費

者庁」というテーマのもと、今回も取り上げた

いと思います。

 

まずは第1幕。措置命令が下るまで。消費者

庁がいったん下そうとした措置命令を書き改め

るという異例の出来事がありました。

 

1.大正製薬は「パブロンマスク 365」の広告

にて、マスクについた「ウイルス」や「花粉ア

レルゲン」が「太陽光でも室内光でも」「分解

され除菌されます」と訴求していた。

 

2.2019年1月15日消費者庁が大正製薬

に1の広告の合理的根拠の提出を要求し、

同30日、大正製薬が提出。

同年3月5日弁明の機会付与通知(その際

に、予定される措置命令の内容開示。その内

容は、「資料は提出されたが合理的なものと

は認められなかった」がテンプレートで本件も

そうであったと思われる)。

 

3.同年3月19日大正製薬は弁明書を提出

(そこでは詳細な根拠が示され、また、措置命

令が下されれば、争う旨が記載されていたもの

と推察される)。

 

4.消費者庁は3月の措置命令ドラフトを書き

改めて提示した上で弁明の機会を再設定し、

同年6月7日に通知。6月17日に大正製薬弁

明書提出。

 

5.17日後の7月4日、消費者庁は大正製薬に

措置命令を下した(テンプレート型)。

 

次に第2幕。措置命令の後、大正製薬は消費

者庁が弁明の機会において示した実験を批判す

るプレスリリースを即座に行い、その後法的手段

を採りますが、次のように、結局敗北に終わり

ました。

 

6.同年10月1日、大正製薬は消費者庁に不

服申立(審査請求)。

 

7.不服申立を受けた消費者庁は措置命令に関

わっていないものを「審理員」として選任。

審理員は措置命令相当の意見書を提出(時期不

明)。

 

8.2021年9月29日、消費者庁は諮問説明書

を添付して総務省の第三者委員会に諮問。ここ

での理由付は審理員意見書の理由付と異なって

いた。

 

9.委員会は、5回審議(21年11/1、11/25、

22年1/13、2/17、2/25)

・消費者庁は2022年1月25日、資料提出

・2022年3月1日第三者委員会は、消費者庁

の結論妥当と答申

・なお大正製薬には2021年10月11日に、反

論があれば10月25日までに提出せよと通知

するも、大正製薬は何ら提出せず(第三者委員

会結論 P10)

 

10.2022年3月1日、第三者委員会は措置命

令が妥当との結論を示した。