当初は速達料金8銭を適用し、事後的に速達料不足分22銭を徴収した速達書状(昭和16年) | 郵便・切手から 時代を読み解く

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切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

速達郵便物の差出時に、郵便局がいったん最低料金の8銭(郵便区市内)を徴収して郵便物を逓送し、事後的に「やはり速達料は30銭(郵便区市外)必要だった」ことが判明した場合に、その郵便物の配達が完了した後で、中身の手紙とは別に封筒だけを郵便局が回収し、差出人に不足分の切手を改めて貼付してもらい、差立て局がこれを抹消して手続きを完結させた実例が存在することについては、以前もこのブログで2回ほど画像と共に解説しました。

 

https://ameblo.jp/kenzaburo-ikeda/entry-10186070230.html

https://ameblo.jp/kenzaburo-ikeda/entry-12198921816.html

 

先日、その実例として3通目を入手しましたので、さっそく画像でご紹介します。

 

 

この速達書状の差立て局は高知高岡局で、差出日は昭和16年1月6日となっています。当初は東郷4銭切手3枚が貼付された速達書状で、料金は書状4銭に速達料(郵便区市内)8銭とされました。

 

ところが、その後になって、「この郵便物は速達料金30銭(郵便区市外)が正当」と郵便局が気付いたため、配達局である徳島江口局は1月7日この書状を配達した後、封筒だけを回収して再び高知高岡局に返戻し、高岡局では差出人に改めて不足分差額22銭として富士桜20銭切手と乃木2銭切手を貼付してもらい、1月9日付の日付印でこれを抹消して手続きを完了させたことが読み取れます。

 

このような使用例は、めったにお目にかかれるものではありませんが、私は幸いなことに複数の実例を入手する機会に恵まれています。