おすすめ映画『シュリ』

1999年[韓国]

韓国のアクション映画。
当時はすごい話題でしたね。

北の工作員と南の諜報部員が恋人同士というこの設定で、もう勝ちなのでは?と思えます。
背負っているものが大きすぎて、ハッピーエンドではまず終わらないのだろうと予想をさせるところが、また切なさを増幅させますね。
構成はロミオとジュリエットです。

そして、主人公のジュンウォンの敵意を恋人のミョンヒョンに向けるため、相棒であるジャンギルが殺されます。
またも残酷な設定です。辛すぎます…。
脚本家はこうした酷さも必要なのです。

そしてクライマックス。
ジュンウォンは恋人ミョンヒョンに銃を向けることに。
そこには複雑な想いがあり、これが葛藤=ドラマの最高潮ポイントになっています。

政府レベルで撮影に協力するという韓国ならではのアクションシーンも話題になりました。
悲しい結末ではありますすが、見応えのある大ヒット作品。
個人的にはソン・ガンホが推しです。

おすすめ映画『アイアンマン』

2008年[アメリカ]

言わずと知れたアベンジャーズのリーダー・アイアンマン。
マーベルコミックの面白さがこれでもかと詰まった作品です。
天才科学者でもあり、軍事企業の社長でもあるトニーが商談でアフガニスタンを訪れた際にテロリストに拉致され、機械でしか動かない身体に改造されてしまいます。

テロリストの要求する兵器を完成させなければ、自分の身体のバッテリーが失われてしまうという仕掛けや、自社製品が人の命を奪ったという事実は、トニーの葛藤をかき立てる要素になっています。

やがてトニーは、自身でパワードスーツを製作し、それを着てテロリストたちに立ち向かうのです。
金儲けよりも大切なものに気づき、成長する……
設定良し、ドラマ良し、ビジュアル良しと、ヒーロー要素てんこ盛りで、もう誰がこれを応援しないんだ?と疑いたくなる展開です。
パート1だけでなく、すべてのシリーズが見応えアリです!

おすすめ映画『A.I.』
2001年[アメリカ]


スピルバーグ監督、ハーレイ・ジョエル・オスメント主演のとても切ないストーリーです。
「人間とは何か?」「愛とは何なのか?」といったテーマが突きつけられ、気を抜くと苦しくなります…

とある家族を愛することをプログラムされた少年型ロボット。
しかし、その家族の実際の子どもの病気が治ってしまい、ロボット(デイビット)は捨てられてしまうのです。
こうやって主人公の願いを取り上げてしまう設定は脚本に必ず必要です。すごい残酷ですが。
ロボットであることが、観ている側を余計に苦しくさせます。

そして母親の愛を求め続け、人間になりたいと思いながらも、デイビッドの願いは叶えられません。
ピノキオを例に出すところがとてもわかりやすいです。

ラストのデイビットの決断も心を締め付けられてしまいます。
ロボットの方が人間よりピュアって何だか…。
チャットGPTにでも聞いてみます。
悲しくさせられて、自分の感情とも向き合わされる作品です。
 

おすすめ映画『エイリアン2』

1986年[アメリカ]

監督にジェームズ•キャメロンを迎えて前作を上回った作品。
ただのSFホラーではなく人間ドラマもうまく組み込まれています。
個人的にはエイリアンシリーズで一番好きな作品です。

地球に戻った主人公リプリーは、エイリアンの話をしても誰にも信じてもらえず、しかも悪夢にうなされるようになってしまいます。
こうした背景を作ることで、もう一度恐縮の惑星に向かう理由づけになります。

そして再びエイリアンとの死闘が繰り広げられるのですが、ここにスパイスとして惑星でずっと一人で生き延びてきた少女・ニュートを登場させることで、リプリーの母性を描写しています。
さらにやっと倒したエイリアンには、「母」であるクイーンがいることがわかり、ラスボス二段構え。ターミネーターぐらいしつこい!
これで主人公のピンチがより煽られ、もう視聴者はハラハラが止まらないわけです。

時折、アンドロイドのビショップが人間らしい行動をとると何となく嬉しくなってしまいますね。

ラストは母親同士のガチンコ対決となりますが、この手の映画はエンタメとして何も気にせず、その都度ビビりながら観てほしいです!
 

おすすめ映画『ジョゼと虎と魚たち』
2003年[日本]

犬童一心監督がメガホンを取り、同名小説を実写化した映画。
なんと言っても作品全体の雰囲気がいいですね。
画づくりがとても素敵で引き込まれます。
そして名を連ねる演技派の俳優さんたち。
その中でも、池脇千鶴さんは一級です。
車椅子生活が自然すぎるぐらい自然で、魅力がダダ漏れ…。

同じ脚本でも、演じる俳優さんによってガラッと変わります。
私も自分の脚本を読んでもらうまで気づかなかったのですが、うまい俳優さんが演じると作品全体のクオリティーが信じられないぐらいアップします。
「そうきたか!」と感嘆させられることが多々あるんです。
映画やドラマは、俳優、脚本、監督、その他スタッフを含め、どのポジションが欠けても成立しません。

しかしながら、この作品を観ていると、ふとした時に自分が差別的な視点を持っていたことに気づかされます。
とても恥ずかしい気持ちになりますが、それだけ感情移入をさせられていたということになります

おすすめ映画『ヴィレッジ』

2004年[アメリカ]


M・ナイト・シャマラン監督のミステリー映画。
まずは「何だこの世界観!」と思わせる状況設定が素晴らしいですね。
森には絶対に入ってはいけないという村の掟。
視聴者が「なんで??」と疑問に思うのは当然ですし、そこから見え隠れする「怪物」の姿……。
好奇心を掻き立てられます。

物語は進み、盲目の少女アイヴィーは、想いを寄せるルシアスのために、掟に背いて森を出ようとします。
局面を変えるのは、いつも人間の「愛」ですね。
こうしたアイヴィーの行動理由は、ハンデも含めて、視聴者の感情移入を誘発します。

そして、何かあるだろうと裏を読みながらも、村の掟と怪物に引っ張られてしまいました。
見事なミスリード!
ラストは衝撃です。
個人的にとても悲しい気分になりました。
そうせざるを得なかったんだろうなぁと色々と考えたり。
見え方はミステリーですが、登場人物たちの人間愛もしっかりしている映画です✌️

ちなみに今回の「シャマランを探せ!」は少し難しかったのではないでしょうか。

おすすめ映画『オールドボーイ』
2004年[韓国]

ある日突然、誘拐されて監禁された男の話。
2004年のカンヌ国際映画祭グランプリ作品です。
それにしても理由も知らされず、15年間も監禁されるって重すぎやしませんか??
自分だったらと考えると恐ろしいですね…。
実はこの作品、原作が日本のマンガなんです。
ハリウッドでもリメイクされていますし、やはりインパクトが大きい映画です。

監禁生活から解放された主人公のオ・デスは自分が閉じ込められた理由を解明するため、主犯への復讐に燃えて奔走します。
もうこの行動動機だけで物語は成立してしまいますね。
視聴者もなぜこんなことになったのか、理由を知りたくて仕方なくなるわけです。
あとは謎を小出しにして、好奇心を煽ります。

それからオ・デスは、ミドという板前と親密になり、二人で謎を追うのですが、この出会いが壮絶なラストに…。
監禁されていた謎はわかるのでスッキリしますが、基本的には気分が晴れる映画ではありません。

おすすめ映画『パージ』

2013年[アメリカ]

イーサン・ホーク主演の人こわパニック映画です。
夜7時〜朝7時まで殺人を含む犯罪が合法化されたという世界。
まずはこの設定が素晴らしいですね。
感心します。よく考えたなぁと。
色々な想像を掻き立てられる設定ですね。
この映画を一言で表せるし、宣伝のキャッチにも使えるし。

こうした特殊な世界で、人間はどうなるのか、
というところが興味のポイントとなるのですが、
案の定、人間の動物としての攻撃性が露呈するんですね。
極限の対立構造がわかりやすく出来上がります。

そんな世界で穏やかに過ごしたいサンディン一家。
ここで主人公が攻撃的だと魅力が半減してしまうので、
やむを得ず巻き込まれる事件を作ります。
この場合、サンディン一家に男が逃げ込んでくるシーンが
それにあたります。
ここから否が応でも戦わなくならなくなり、
主人公ジェームズがどう家族を守るのか、
ハラハラドキドキのストーリーとなります。

パージ法も突飛な設定ではないところがまたいいですね。
犯罪を12時間だけ合法化したことで、
犯罪率が下がるって、妙にリアリティーがあります…

おすすめドラマ『梨泰院クラス』

2020年[韓国]

真っ直ぐで誠実な青年が、数々の困難に遭いながらも、大手企業に立ち向かう物語。
何よりテーマがわかりやすいこと。
これは観やすさに繋がります。
そして主人公をトコトン追い詰めること。
ラスボスが巨大で、主人公がピンチになればなるほど、視聴者が感情移入してくれます。
さらに壁にぶち当たっても心が折れない主人公のキャラ。
勧善懲悪は最強なのです。

ここからオリジナリティーを出すには、この定石にどんなエッセンスを加えるかがポイントです。
本作では、SNS、ジェンダー、株式など、現代ならではのスパイスを取り上げ、さらにそれが困難打破の糸口になっているのが、感動を増幅させる要因となっています。

これまでのドラマにはなかったような、成功した後のストーリー、ヒロインの変更など、次の展開を期待させるフックも用意されています。
これもすべてはキャラクターにどう感情移入させるか。

個人的に好きなシーンは、セロイが父親から酒の飲み方を教わるシーン、セロイがイソに対する気持ちを自覚したシーン。
でも、挙げたらキリないです!

おすすめ映画『セッション』

2014年[アメリカ]

この作品を最高の一本に挙げる方も多いのではないでしょうか。

ジャスドラマーを目指す男子学生の成長物語。
とはいえ、そんな淡い雰囲気は一切ありません。
まさにガチンコ。ぶつかり合いの展開が続きます!

こうした登場人物のぶつかり合いも、主人公・アンドリューの夢がわかりやすく、意地でも上り詰めてやろうとする姿勢を事前に見せておくことによって、一歩も引かないキャラクターが成立するのです。

しかしながら、ラスボスにあたる指導者のフレッチャーも超クセ者で、ハラスメントを超えたイジメに近い指導をしてきます。
普通であれば、プロレスラーに歯向かう子犬に見えてしまうところを、アンドリューの執念が大きいことで、格上のフレッチャーとのバトルを成立させています。

アクシデントを乗り越えていくアンドリューにいつの間にか感情移入しているでしょう。
上辺だけでない、本音のガチンコバトルは圧巻です。