おすすめ映画『飢餓海峡』

1965年[日本]

1965 年に公開された水上勉の原作のクライムサスペンス映画です。
戦後の混乱期を死に物狂いで生きる人間たちがリアルに描かれた、今もなお語り継がれる名作です。

全体のドロドロとした雰囲気づくりが、これでもかとサスペンスを効かせ、しかも、昭和22年という時代背景が殺伐感に拍車をかけています。

質屋の強盗・放火事件を皮切りに、犯人の犬飼多吉の逃亡劇が描かれるという内容。
犬飼は逃げる道中で八重という芸者と出会って心を許し、自分が奪った金を渡すのてすが、この逃亡犯と芸者の恋愛模様も危うい感じで素敵です。
そして、犬飼を追う刑事・弓坂と味村。彼ら執念の捜査が徐々に犬飼を追い詰めていきます。

脚本もさることながら、三国連太郎さんや高倉健さん、名優たちの熱がハンパないですね。
どうしてこの頃の俳優さんたちは、こんなにパワーがあるのか不思議に思ってしまいます。

おすすめ映画『96時間』
2008年[フランス・アメリカ]


リーアム・ニーソン主演のアクション映画。
主人公のブライアンが、誘拐された娘をマフィアから救い出すというストーリーです。

まずはこのタイトル。
96時間は、誘拐された人が、この時間を過ぎると戻って来ないとされる目安。
これでタイムサスペンスも効かせ、全体のスピード感に拍車をかける仕掛けです。

元 CIA 工作員だけあって、ブライアンが強すぎる……。
一人でマフィアをガンガン殺していきます。
あまりに優秀すぎるとキャラとして面白くなくなるので、妻とは離婚して娘とも疎遠であるという弱点を設定し、ブライアンというキャラクターの魅力を引き出しています。
また、娘が奪われた相手がマフィア組織ということも、相手をフルボッコにしていい理由の1つとなっています。

要は「説得力」です。
このキャラクターがこういう行動をとるのに、説得力を持たせ、魅力的に映る設定が物語には必要なのです。

おすすめ映画『ゲーム』
1997年[アメリカ]


デビット・フィンチャー監督らしい、怪しげな雰囲気が魅力の映画です。

実業家のニコラスの誕生日に弟・コンラッドが、「人生を変える」ゲームの参加カードをプレゼントするところからこの物語はスタートします。
それからというもの、ニコラスの身の周りで奇妙な出来事が頻発するように。
兄弟間のお祝いの雰囲気から一転してミステリー要素が強まるのが展開として面白く、これから何かが起きるであろうことを予感させます。

ニコラスに起きる数々の試練。
「なぜ?」という疑問が常につきまとうようにして、中弛みしないようにサスペンスをキープしています。
さらに、そうしたハラハラ感とともに、ニコラスの価値観が変わっていく人間ドラマも描くのです。
訳もわからず資産を奪われ、ドン底に叩きつけられたからこそ、たくさんの気づきがあり、別れた元妻にも素直に謝罪ができたわけです。

そしてどんでん返しのオチ。
それまでの過程を思い返すと、「んなアホな〜」と思うポイントもチラホラありますが、地位や名声よりも大切なものに気づいたニコラスのキャラを視聴者に納得させてしまえば、そんなの関係なくなります。
終わり良ければすべてよしなのです。

おすすめ映画『Mr.ノーバディ』
2021年[アメリカ]


平凡な中年男がマフィアと戦うという、すごくわかりやすいストーリーです。
冴えない中年男が実は政府機関の人間で、しかもメチャクチャ強いという…。
まずはこの意外性が面白いですね。

わかりやすく何も考えずに観られる映画なのですが、これって実は難しいんです。
キャラクターに魅力があって、
主人公のはっきりした行動目的と壁があって、壁を越えたときの喜びもわかりやすくないと。
しかも、マニアックな設定を入れてしまえば、視聴者にそれを理解させる説明も入れなければなりません。
とにかくムダな部分を削ぎ落として、とにかくわかりやすさの精度を上げた映画です。

主人公のハッチ・マンセルおじさんが家族に失望されるシーンは心が痛いですね…。
とはいえ、最後は「頑張れオッチャン!」とファンになってしまう作品です。

おすすめ映画『いま、会いにゆきます』

2004年[日本]

市川拓司さん原作のラブファンタジー映画。
切なすぎます、ホントに…。
ありがちな設定なのかと思いきや、クライマックスではすべてが回収され、納得のストーリー展開です。

ファンタジー設定は、どうしても説明が必要になるので、それに時間を取られてしまう難点があります。
非現実ですから。
でも、この作品は家族の過去を回想で見せ、それぞれの想いの深さを表現することで、妻の澪が復活した理由など、どうでもよくなっちゃう展開に持ち込んでいます。
逆に「神様ありがとう!」と思えちゃうぐらいです。
これもキャラクターが成せる技であり、感情移入させてしまえば、多少の荒い設定は吹っ飛ぶという良い見本でしょう。

タイトルは澪の決意の言葉だとわかり、追い討ちで、バースデーケーキの謎も判明。
涙涙の展開です。

おすすめ映画『シュリ』

1999年[韓国]

韓国のアクション映画。
当時はすごい話題でしたね。

北の工作員と南の諜報部員が恋人同士というこの設定で、もう勝ちなのでは?と思えます。
背負っているものが大きすぎて、ハッピーエンドではまず終わらないのだろうと予想をさせるところが、また切なさを増幅させますね。
構成はロミオとジュリエットです。

そして、主人公のジュンウォンの敵意を恋人のミョンヒョンに向けるため、相棒であるジャンギルが殺されます。
またも残酷な設定です。辛すぎます…。
脚本家はこうした酷さも必要なのです。

そしてクライマックス。
ジュンウォンは恋人ミョンヒョンに銃を向けることに。
そこには複雑な想いがあり、これが葛藤=ドラマの最高潮ポイントになっています。

政府レベルで撮影に協力するという韓国ならではのアクションシーンも話題になりました。
悲しい結末ではありますすが、見応えのある大ヒット作品。
個人的にはソン・ガンホが推しです。

おすすめ映画『アイアンマン』

2008年[アメリカ]

言わずと知れたアベンジャーズのリーダー・アイアンマン。
マーベルコミックの面白さがこれでもかと詰まった作品です。
天才科学者でもあり、軍事企業の社長でもあるトニーが商談でアフガニスタンを訪れた際にテロリストに拉致され、機械でしか動かない身体に改造されてしまいます。

テロリストの要求する兵器を完成させなければ、自分の身体のバッテリーが失われてしまうという仕掛けや、自社製品が人の命を奪ったという事実は、トニーの葛藤をかき立てる要素になっています。

やがてトニーは、自身でパワードスーツを製作し、それを着てテロリストたちに立ち向かうのです。
金儲けよりも大切なものに気づき、成長する……
設定良し、ドラマ良し、ビジュアル良しと、ヒーロー要素てんこ盛りで、もう誰がこれを応援しないんだ?と疑いたくなる展開です。
パート1だけでなく、すべてのシリーズが見応えアリです!

おすすめ映画『A.I.』
2001年[アメリカ]


スピルバーグ監督、ハーレイ・ジョエル・オスメント主演のとても切ないストーリーです。
「人間とは何か?」「愛とは何なのか?」といったテーマが突きつけられ、気を抜くと苦しくなります…

とある家族を愛することをプログラムされた少年型ロボット。
しかし、その家族の実際の子どもの病気が治ってしまい、ロボット(デイビット)は捨てられてしまうのです。
こうやって主人公の願いを取り上げてしまう設定は脚本に必ず必要です。すごい残酷ですが。
ロボットであることが、観ている側を余計に苦しくさせます。

そして母親の愛を求め続け、人間になりたいと思いながらも、デイビッドの願いは叶えられません。
ピノキオを例に出すところがとてもわかりやすいです。

ラストのデイビットの決断も心を締め付けられてしまいます。
ロボットの方が人間よりピュアって何だか…。
チャットGPTにでも聞いてみます。
悲しくさせられて、自分の感情とも向き合わされる作品です。
 

おすすめ映画『エイリアン2』

1986年[アメリカ]

監督にジェームズ•キャメロンを迎えて前作を上回った作品。
ただのSFホラーではなく人間ドラマもうまく組み込まれています。
個人的にはエイリアンシリーズで一番好きな作品です。

地球に戻った主人公リプリーは、エイリアンの話をしても誰にも信じてもらえず、しかも悪夢にうなされるようになってしまいます。
こうした背景を作ることで、もう一度恐縮の惑星に向かう理由づけになります。

そして再びエイリアンとの死闘が繰り広げられるのですが、ここにスパイスとして惑星でずっと一人で生き延びてきた少女・ニュートを登場させることで、リプリーの母性を描写しています。
さらにやっと倒したエイリアンには、「母」であるクイーンがいることがわかり、ラスボス二段構え。ターミネーターぐらいしつこい!
これで主人公のピンチがより煽られ、もう視聴者はハラハラが止まらないわけです。

時折、アンドロイドのビショップが人間らしい行動をとると何となく嬉しくなってしまいますね。

ラストは母親同士のガチンコ対決となりますが、この手の映画はエンタメとして何も気にせず、その都度ビビりながら観てほしいです!
 

おすすめ映画『ジョゼと虎と魚たち』
2003年[日本]

犬童一心監督がメガホンを取り、同名小説を実写化した映画。
なんと言っても作品全体の雰囲気がいいですね。
画づくりがとても素敵で引き込まれます。
そして名を連ねる演技派の俳優さんたち。
その中でも、池脇千鶴さんは一級です。
車椅子生活が自然すぎるぐらい自然で、魅力がダダ漏れ…。

同じ脚本でも、演じる俳優さんによってガラッと変わります。
私も自分の脚本を読んでもらうまで気づかなかったのですが、うまい俳優さんが演じると作品全体のクオリティーが信じられないぐらいアップします。
「そうきたか!」と感嘆させられることが多々あるんです。
映画やドラマは、俳優、脚本、監督、その他スタッフを含め、どのポジションが欠けても成立しません。

しかしながら、この作品を観ていると、ふとした時に自分が差別的な視点を持っていたことに気づかされます。
とても恥ずかしい気持ちになりますが、それだけ感情移入をさせられていたということになります