いよいよ国の重要文化財に指定されている菊池家曲り家です。
岩手県に来てから曲り家は何軒か見ていますが、
重要文化財のものは初めて。
こちらの曲り家は寛延3年(1750年)ごろに建てられたもので、
最初は母屋だけの直ご屋(すごや)だったそうです。
竣工直後に曲り部分の馬屋を増築して、
現在のL字型の曲り家になったそうです。
直家から曲り家への過程が分かる遺構ということで、
重要文化財に指定されたのだそうです。
裏側まで回ってみると御蚕神堂と書かれた建物がありました。
御蚕神堂と書いてオシラ堂と読むそうです。
ここは曲り家の中から行けるというので、
早速曲り家へ入ってみることにしました。
曲り家の軒先には干し柿が吊るされていました。
岩手県では一般の民家の軒先でもよく見かけます。
こちらが増築された部分の馬屋。
壁や天井などをよく見てみましたが、増築したと分かりませんでした。
プロは分かるのかな?
馬屋を背にして入口方面を撮ってみました。
外からの光がまぶしい。
入口脇には藁でできた雨具などが掛けられていました。
近代的な資料館や博物館の中に展示されているものよりも、
こういう場所にある方が実際に人が使っている感じがして、
これを着て出かける人の姿なども思い浮かびます。
土間です。
大きなかまどがありました。
台所です。
真ん中に大きな囲炉裏がありました。
そしてここでは遠野の民話のテープが流れていました。
地元のおばあちゃんが語っているのか、
ボソボソと話しているので聞き取りにくく、よく理解できなくて残念。
でもここは暖房が利いていたのが嬉しかったです。
炉端に座り、しばし暖を取らせて頂きました。
と言っても囲炉裏の中の火は模造でした。
偽物の火でも、雰囲気が出ていて良かったです。
台所のお隣はじょい。
「じょい」って耳慣れない言葉なのですが、漢字で書くと「常居」。
つまり家族がいつもいる居間のことです。
寝部屋は2部屋ありました。
結構狭く、片隅に箪笥と布団が置かれていました。
表座敷には、蚕棚や機織り機が展示されていました。
遠野地方も養蚕が盛んだったようです。
いよいよ外から見た御蚕神堂へ行きます。
じょいから御蚕神堂へ続く渡り廊下です。
廊下の左右には、養蚕の道具やオシラサマの展示がありました。
オシラサマとは民間信仰の神様だそうです。
遠野にはオシラサマの伝説が残っているそうで、
そのことについても詳しく書かれていました。
遠野物語に収録されているオシラサマ伝説を簡単に。
昔、夜は馬屋に行って寝るほど馬を愛した百姓の娘がいて、
そのことを心配した父が
娘の愛している馬を桑の木に吊り下げて殺してしまいました。
馬の死を知った娘は馬の首にすがりついて泣き出しました。
父はその姿を見て、斧で馬の首を切り落としてしまいます。
すると馬の首は娘を乗せて天に昇ってしまいました。
なんとも悲しい伝説です。
この二人がオシラサマという神様になったということで、
桑の木に1つずつ男女の神様の顔か、
娘と馬の顔が彫られているのだそうです。
遠野地方のオシラサマは養蚕の神様だそうですが、
桑の木=養蚕ということなのでしょうか。
ここだけやけに電気が明るい渡り廊下を曲がると、
色の洪水が目に飛び込んできました。
すごい…。
狭い部屋の真ん中に大きな柱(?)があるので、アングルが…。
祭壇のようなものがありました。
青森にもおしらさまがあるので、
青森のおしらさまについて書かれた説明文が置かれていました。
壁に飾られている一体一体がオシラサマです。
本体は約30センチくらいの大きさで、
願い事を書いたカラフルな布を重ねて着せています。
チラッと見ましたが、
ほほえましい願い事から「死」なんて物騒なものまで様々。
神秘的と聞いていたオシラ堂ですが、私は不気味に思ってしまい、
写真も碌々撮らずに退散してしまいました。
狭い空間に人々の願いがぎっしり詰まっている
濃密な空気に耐えられなくなったのかも…。
ちょっと怖くなって外へ出ると、こんな方に出会えました。
河童の守っ人(まぶりっと)のカッパおじさんこと運萬さんです。
ちなみに“カッパおじさん”はあだ名ではなく役職名だそうですよ
売店の方も仰っていましたが
カッパおじさんも「水が少なくて今は河童がいない」と仰っていました。
単独で記念写真を撮らせて頂きたかったのですが、
この時はお忙しいかったようで撮影は叶わず、
撮ったお写真の掲載許可だけ頂きました。
もっと水が多かったら、手に持っている竿をカッパ淵で垂らす姿を
見られたかもしれません。
でも、ちょっと怖い思いをした直後だったので、
カッパおじさんに出会い、楽しい会話をさせて頂けて良かったです。
今回のおでかけ
★遠野伝承園
住所:岩手県遠野市土淵町土淵6地割5-1
電話:0198-62-8655
開園時間:9:00~17:00
休園日:年中無休
入園料:大人 320円、小・中・高校生 220円
駐車場:普通車 100台、大型車 8台(無料)
公式ウェブサイト:遠野伝承園
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