神明神社 (湖南市)


近江国甲賀郡
滋賀県湖南市夏見1756
(駐車スペース有り)

■祭神
伊邪那岐尊
伊弉冉尊
天照大神


元伊勢「甲可日雲宮」の候補地の一。近江国南東端、「野洲川」を遡り南岸を山手へ向かって上った「夏見」集落内の社。
◎創建由緒等は伝わっていないようです。社頭案内板には「古老の伝説によれば、昔この神域の山で樹木を伐採すると人の老幼を問わず、必ず腹痛を起こし苦しむことがあり、神罰として恐れられていたようである。また、この地域に『里屋敷』といわれる地名が残っている。現在は田地山林となっているが、その昔は多くの人々が住んでいた里だった可能性がある。宮の北方に『八十田(やそだ)』と呼ばれる(登記名に実在する)この地域の田地では、神に供える米を作っていたようである。里人は明治維新まで鶏を食わず、老鶏はすべて宮に奉ずるといわれ、その森に捨てる風習があった」と。
◎よくある民俗説話ですが、大変貴重な習俗が近年まで残されていたようです。「里屋敷」の詳細地は不明。西面するご本殿の背後、つまり東方でしょうか。或いは南側でしょうか。「田地山林」ということから、そのどちらかかと思われます。北方「八十田」は、「野洲川」に向かって下った方向に田圃が広がっていたのだろうと思います。
◎前述のように当社は、元伊勢「甲可日雲宮」の候補地の一。他にも多く挙げられています。
・大神宮社(三上六所神社に合祀)(甲賀市土山町鮎河)
・川田神社(甲賀市土山町頓宮)
・甲可日雲宮(甲賀市土山町多羅尾)
・田村神社(甲賀市土山町北土山)
・皇大神宮(若宮神社 境内社)(甲賀市土山町大河原)
・神明神社(甲賀市水口町神明)
・日雲宮(甲賀市水口町神明)
・神明宮(上乗寺境内)(湖南市三雲)
◎かねてより元伊勢を含めた、倭姫命が辿った地については、採鉱地であった、或いは磐座などが座す太古からの霊地を追い求めていた考えていますが、当社も南方500mほどの山腹に八丈岩などの巨大磐座群が座しています。仮に当社南方が「里屋敷」であったとするなら開けていたはずで、当社地から磐座群を拝することができたように思います。
「甲可日雲宮」の是非はともかく、倭姫命が当地へも巡幸していたのではないかと考えています。
◎なお境内は前方後円墳「二子山古墳」の墳丘上とのこと。詳細は不明ながら、形状から後円部に鎮座しているようです。


鬱蒼とした樹叢に覆われ、寂れきった境内。現在の姿は「元伊勢」と呼ぶには相応しくない状態になっています。