氷室神社 (大和国添上郡)


大和国添上郡
奈良市春日野町1-4
(有料P有、料金未確認)

■延喜式神名帳
高橋神社の論社

■旧社格
村社

■祭神
闘鶏大山主命
大鷦鷯命
額田大仲彦命


登大路に面した春日大社 別宮。南都四十四町の氏神。奈良で一番先に咲くと言われる「しだれ桜」と「献氷祭」で有名。ところがその「しだれ桜」は枝がすべて伐り取られており、ついに寿命がきたのかもしれません(2020年1月現在)。
◎創祀に関連する説話は紀に見えます。仁徳天皇62年に額田大仲彦命が闘鶏(つげ、都祁)へ狩猟に赴いた際に、窟に光るものを見つけこれは何であるのかを問うと、闘鶏大山主命は「氷室」であると答えたとあります。そして額田大仲彦命は氷を天皇に献上したと。
闘鶏大山主命は都祁氏の裔、そしてこの氷室は山辺郡(現在の天理市岩室)にある「都祁氷室」(現地未確認)。
この説話にまつわる三柱がご祭神となっていますが、全国に祀られる氷室神社もこの三柱。当社に端を発しているのかもしれません。
◎創祀そのものは「氷室神社縁起」に著されているようです。和銅三年(710年)に吉城川上流の「月日磐」に氷神を奉祀し、ここでできた氷を氷室に蓄え平城京に奉献したというもの。「月日磐」は春日遊歩道に現存するといい、下岩津根神社が鎮座するとのこと(現地未確認)。またここでいう氷室は「吉城川上氷室」などと称されているようです。
和銅三年は平城京遷都の年。以降、春から秋にかけて都に氷が納められました。
◎当社を式内社 高橋神社に宛てるのは「大和志料」。これは「月日磐」が座す下岩津根神社のこと。比定社は遥か南方の高橋神社





旧本殿の模型。