月日磐 (下岩津根神社)


大和国添上郡
奈良市春日野町 (春日山原始林内)
(「春日野町158」の「月日亭」さんの向かい辺り)

■延喜式神名帳
高橋神社の論社


「水谷川(みずやかわ)」上流の川中に座す「月日磐」。「月」と「日」の紋様が彫られ、かつては「星」の紋様があったという情報も。社殿等は既に存在しないものの下岩津根神社と称され、「大和志料」は「式内社 高橋神社」に宛てています。
◎「水谷川」は「春日山」を源流とし、下流は「吉城川」、「佐保川」などとなる南都の大切な水脈。古来はこの川の清水で神饌調理が行われており、またその下で禊が行われたという記録も。そして春日大社の大祓式には形代も清められるとのこと。神聖な川であり、春日大社においては大変に重要視していることが窺えます。
◎奈良時代にはここに「氷室」があったとされ、春日大社別宮である氷室神社はかつてここに鎮座していたと伝わります。
「氷室神社縁起」には、平城京遷都の和銅三年(710年)に「吉城川」上流の「月日磐」に氷神を奉祀し、ここでできた氷を「氷室」に蓄え平城京に奉献したとあるようです。これが当社のことであり、この「氷室」は「吉城川上氷室」などと称されているとのこと。
古めかしい石灯籠と祭壇状のものが残っており、旧社地跡のように見受けられます。
◎「月日」に関しては、朝廷に納める「調(つき)」と「氷(ひ)」を由来とするという説もあるようです。


春日大社摂社 水谷神社から「春日山遊歩道」へ。

「水谷川」沿いを10分足らず歩きます。

右手に「月日亭休憩舎」が見えて来ました。このすぐ向こうに。

「右 月日磐・左 鶯の瀧」と刻まれる石碑。

立看板の文字は消えていますが、下ります。


真ん中やや左のもっとも大きな岩が「月日磐」。

左側面下方に月と日の紋様。



石灯籠と祭壇らしき跡。

祭壇らしき跡をUPで。

「月日亭休憩舎」の奥に石碑が立ちます。

「洞楓」と刻まれます。由緒等は不明ながら、この辺りは「洞の紅葉」という名所であるとのこと。