水分神
(ミクマリノカミ)


■表記
天水分神・国水分神など
記にのみ登場、紀には記されません。


■概要
水分(みくまり)は、「水」を「配る(くまる)」の意。水の分配を司る神、つまり農業用水の分配に関する非常に重要な神であったかと思われます。水利を巡り、大和国葛上郡の葛木水分神社と河内国石川郡の建水分神社の神同士が争ったなどという死活問題を含んでいた例も。
記においての記述は「速秋津日子速秋津比売の二はしらの神 河海に因りて持ち別けて生みませる神の名は沫那藝神(アワナギノカミ) 次に沫那美神 次に頬那藝神(ツラナギノカミ) 次に頬那美神 次に天之水分神 次に國之水分神 次に天之久比奢母智神(アメノクヒザモチノカミ) 次に國之久比奢母智神 [沫那藝神より國之久比奢母智神まで八神]」と。
前の四神までは「…ナギ・…ナミ」であったものが、水分神以降は「天之…・國之…」となっています。これは縄文から弥生への変遷ではないかと考えています。前の四神までは対象が自然、水分神は対象が灌漑施設という人工物。「クヒザモチ神」については不明ではありますが。


■祀られる社