山崎神社 (岩出市)


紀伊国那賀郡
和歌山県岩出市赤垣内108
(境内に駐車可)

■祭神
大市比売命
須佐之男命
[配祀] 奥津彦命 奥津姫命 火迦具土命 大年神 水波能売命 八衢彦命 八衢姫命 久那斗命 誉田別命 八王子神 伊弉册命 天児屋根命 上筒男命 市杵島姫命 天照皇大神 三筒男之神 猿田彦之命 大倭姫之命 日本武命 稲瀬脛彦命 興玉命 瀬織津姫命 速秋津姫命 速須佐良姫命 気吹戸主命 大雀命 栲幡千千姫命 蛭子神


第75代崇徳天皇の大治元年(1126年)、鳥羽上皇が根来寺を下山し「熊野三山」へ向かう途中、雷雨が激しくなり立ち往生。供奉人が天神地祇に祈願したところ大市比売命が現れ、晴天に。後に上皇が使いのものを参拝させ、幣帛料・物品を供えたというもの。
◎この伝承を素直に解すると、既にこの時には鎮座していたものと思われます。そもそもの創建時期や由緒等は分からないようです。弘法大師が当社に日参していたという伝承もあるが、真相は不明。なお大市比売命が鎮めたのは雷神であるという伝承も。
◎これらとは別に大伴氏の始祖 カグツチ神を祀ったのではないかという考えも。大伴氏は「古屋家家譜」によると高皇産霊尊を始祖とし、続いて安牟須比命、香都知命、天雷命と続きます。大伴氏の出自を縄文からの「山祇族」とするなら、本来の始祖は安牟須比命。また宝賀寿男氏は香都知命・天雷命を安牟須比命と同神としています。
大市比売命が現れ鎮めたというのは、この安牟須比命(=香都知命、=天雷命)ではないかと。「香都知(かづち)」も「雷(いかづち)」のこと。
◎大伴金村の子である磐連公が「甲斐国山梨評山前(やまさき)之邑」に遷居したと「古屋家家譜」にはあります。甲斐国は日本武尊東征の際に祖先の武日命が従軍した所縁の地。
当地は「紀伊国那賀郡山前郷」。同じ那賀郡内の根来寺を、大伴連孔子古(クジコ)が開基したと伝わっていることを鑑みると、十分に可能性があろうかと考えます。
◎明治に現社名に改称するまでは大市姫神社。ご祭神には夫の須佐之男命と父の大山津見命が祀られています。配祀の神々は明治の合祀令によるものでしょうか。
悠然とした佇まいがとても美しい社。維持管理も徹底しておられます。